秋田戦でもサウダーニャが下がって受けて、チャンスメイクをするシーンがいくつかありましたね。
ここまでのところサウダーニャは、中盤まで下がってキープして、チャンスメイクをする。
あるいは、周りに預けて自分が走り込むパターンが目立っている印象です。
キープ力があるだけでなく、難しい体勢でも前にパスが出せるので、相手のプレッシャーをうまくかわせれば、状況を打開することが出来る。
この動きとカウンター時のスピードある仕掛けと、左足でのパワーのあるシュートが武器となっていると思います。
最近だとカウンターや左足でのシュートは警戒されていることもあって、キープからの展開の方が目立ちつつあるようにも感じますね。
秋田戦での12分のシーンでは、サウダーニャのチャンスメイクから、矢田が決定機を迎えています。
このシーンは、GK新井からのゴールキックからスタート。
サウダーニャを目がけたボールは増田に跳ね返されますが、そこから中盤でヘディングでの競り合いが続きました。
小林が拾って前に浮き球のパスを供給すると、サウダーニャが競り合います。
この時に体を入れてキープし、体勢が崩れながらも裏へとスルーパス。
これに矢田が反応し裏を取ってGKと一対一になりますが、シュートはGK田中に止められてしまいました。
ゴールには結び付かなかったものの、サウダーニャの打開力が際立ったシーンだと思います。
相手とボールに体を入れる動きがうまかっただけでなく、そこからのラストパスも精度が高く良く矢田が見えていたと思います。
攻撃センスの高さが、うかがえますね。
この場面でも、結果的に増田が高い位置まで上がったことで生まれたスペースに、サウダーニャがラストパスを通していることになります。
1トップが下がってゴール前を空けて、2列目が飛び出すということで、やはり0トップにも近い関係性となっているように思います。
この形を今後は追及していくことになるのでしょうか。
ただ、ここでも秋田は後方3枚が戻っていますし、20分頃まではハイプレスで潰しに来ていた分、CBが前に釣られて後方が空いたともいえるでしょう。
ジェフからすれば結果的にカウンターのような形になったともいえますが、それ以降は相手が引いて構えてきたため、同じような攻撃は作りにくくなりました。
問題はその遅攻時の形作りではないかとも思います。
また、0トップに近い形を実行するのであれば、どうしてもシャドーがゴール前でのプレーを要求される可能性が高い。
サウダーニャはこの時も2回ほど空中戦で競り負けていますし、秋田戦後半の安田のクロスにあわせられなかったところを見ても高さは期待しづらい。
同じシステムの磐田が大津を起用しているのも、シャドーの位置で大津に起点となってほしかったり、ゴール前で競り合ったりしてほしかったりといった意識があるのではないかと思いますし、1トップだともう1人ゴール前に侵入できる選手がほしいところではないでしょうか。
同じように1トップでチャンスを作れる選手ということを考えると京都のウタカがいますが、ウタカの場合はゴール前でも存在感を発揮できるところが大きいですね。
あるいは、古い話になりますが、柏にてチャンスメーカーのフランサが1トップに入り、トップ下に李忠成を置いて、守備時は李が下がって体を張り、攻撃時は李がフランサを追い越して、ゴール前に走り込むフランサシステムといった戦術もありました。
基本的には2トップの方がやりやすい気もしますが、2トップだと前線が重くなりかねいないし、守備では3バックの方がうまくいっている状況ですので、現状をベースとしてどういった工夫を作れるのかといったところでしょうか。
また、サウダーニャは一発でのチャンスメイクは期待できるものの、なまじそこで打開出来てしまうからこそ、シンプルなプレーが出来ていないところがあると思います。
マークが厳しく状況が悪くても個人技で打開しようとしてしまうため、そこでボールを奪われる回数も増えるし、結局近くに落としても時間がかかってリズムが悪くなってしまうことが多い。
そこは若さもあるのかもしれませんが、シンプルにやるべきところはやって、周りを活かすことも覚えてほしいところですね。
その点でうまくいっているのが、今年の京都でウタカが前線での仕事に専念して、中盤での動きは他の選手に任せる。
そこにウタカを落とし込んだキジェ監督は、さすがだと思います。
ただ、サウダーニャの場合はゴール前で強さを発揮できないのが大きな悩みだと思いますし、パスワークで完全に崩すサッカーをしているわけでもないだけに、やはりゴール前で強さを見せられる選手が他に欲しいところではないかとも思ってしまいますね。