天皇杯川崎戦は貴重な経験が多かったので、もう少し引っ張ります。
といっても、ピッチ上ではなく中継の話がメインになりますが、この試合では川崎が相手だったためか、DAZNではなくスポーツライブ+で中継されたせいか、珍しく佐藤寿人が解説でした。
寿人の解説は、非常にわかりやすく丁寧でしたね。
どちらに肩入れするでもなくイーブンに試合を分析していましたし、トークもスムーズで聞きやすい口調でした。
これから解説業に本腰を入れていくのであれば、日本代表戦での抜擢などもあり得るかもしれませんね。
ちょうど現在は、広島で指導を受けた森保監督が日本代表の監督でもあるわけですし。
川崎戦では両チームに関して十分に予習をして解説に臨んでいた印象で、そこが何よりも素晴らしいことだと思います。
ジェフ戦の解説でよくあるのが、ジェフというクラブの歴史や選手のイメージなどから、最初はジェフを持ち上げて話をするものの、試合を通じて徐々に実情を知って厳しい評価をされるパターン。
それだけ普段のジェフをチェックしていないのだろうなと思うのですが、寿人はしっかりチェックして選手のポジションなども把握していましたね。
ジェフOBは有望な解説者が少ない印象ですし、そもそも長くジェフでプレーして引退する選手も少ない状況です。
戸田も一時はジェフ戦を解説してくれていましたが、一気に有名解説者になった後、慶応大コーチに就任し現在は一橋大サッカー部の監督に就任。
下村の解説もとてもわかりやすく公平な分析をしていたのですが、以下の通り今年1月末に解説業からの卒業を発表してしまいました。
突然ですが…
— 下村東美(Tomi Shimomura) (@tomi_shimomura) 2021年1月30日
新たなチャレンジの為、
サッカー解説者を卒業します!
Jリーグ解説・欧州解説において
これまでたくさんの方々と触れ合えた事、心より感謝申し上げます。
2ndキャリアを終え3rdキャリアへ!
引き続きよろしくお願い致します。
下村東美
そうなると寿人にも期待したいところですが、J2の解説はやってくれないかもしれません。
愛媛の選手が解説者を批判したりとか、審判の質に不満の声が上がることも多いですが、J2では仕方ないところもあるでしょう。
解説や審判なども含めてより良い環境を求めるのであれば、まずは自分たちが上に上がるべきでしょうね。
そんな寿人の川崎戦での解説ですが、基本的にはジェフの善戦が目立った試合でしたので、前向きなコメントが多かったと思います。
主にジェフが川崎の攻撃に耐え続けた後半から、粘り強い守備を褒めていたことが多かったように思います。
特にチャンの活躍が目立った試合でしたが、川崎が地上戦の攻撃を仕掛けてくることが多かったため、チャンにとってやりやすい部分があったのかなとも思います。
一方で、前半に関しては川崎が一方的に攻める展開になっていたこともあって、ジェフを不安視する解説も多かった印象です。
守備ではジェフが後方のスペースを潰して前へ行かず、川崎にボールを散らされていただけに、ボールを出し入れされると守備がずれてくるので、誰が誰に付くのかはっきりしないといけないという話をしたり。
攻撃でもジェフは守備に力を入れているだけに、攻撃に人数をかけられないという課題を指摘していました。
さらに攻撃において、ジェフはパスの受け手が1人しかいないから、1人1人が頑張らないといけない状況にあると話していました。
一方で川崎は多くの選手が攻撃に絡み、パスの受け手が複数いるから1人1人の負担が少なくなると。
このあたりは聞いていて、そうやって試合を見ているのかと勉強になるお話でした。
それだけ、ジェフは攻撃時に人数がかけられていない。
人数がかけられていないから、個に依存する攻撃になってしまっているということになるのでしょう。
個人技に頼ってしまっているという問題は、見木も以前指摘していましたね。
現状でいえば、チームも固まってきているだけに、やれるべきことから考えざるを得ないところがあると思います。
ただ、客観的に見れば、このスタイルだと前にプレスに行けないし、攻撃に人数もかけられない。
結果的に個に頼る部分が大きくなってしまうわけですし、それでどこまで行けるのかな…という不安も大きいように思います。
その上で、オリンピック中断明けのチームに何を望むのか。
昇格という結果が出れば言うことはないですが、そうではなかった時にどう考えるのか。
個人的には今のサッカーにどこまで伸びしろがあるのかが、これからシーズン終盤までの重要な題材となるのかなと感じています。