新潟戦ではサウダーニャに代わって、ソロモンが1トップでスタメン出場を果たしました。
ソロモンのスタメン出場は5月1日の新潟戦以来で、これが今季2度目。
サウダーニャは13試合連続でスタメン出場していましたが、途中出場にとどまりました。
先週もブログでスタメン交代の可能性を指摘したように、サウダーニャのスタメン起用はかなり厳しい状態になっていたと思います。
サウダーニャなりに頑張ろうという意欲は感じましたが、守備が甘いのでどうしてもそこから押し込まれやすい状況になっていた。
それに加えて5バックと後方が重いシステムにしているため、全体が極端に押し込まれ防戦一方になりがちでした。
低い位置で跳ね返して攻撃を仕掛けるわけですが、最前線のサウダーニャがピッチの4分の1付近まで押し込まれているため、そこから攻撃に移るのも厳しい状況でした。
それでもサウダーニャは低い位置から、前方に4人、5人と相手選手がいても、強引にドリブルでゴールに迫ろうとするため、どうしてもボールロストが増えてしまう。
ボールロストが多く被カウンターの危険性が高まるため、他の選手も前に出て行けず、さらにサウダーニャが孤立して潰されてしまうという、悪循環にはまっていたと思います。
加えて、サウダーニャは空中戦に弱いため、今までのようなロングボールからのビルドアップが出来ない。
またジェフはサイド攻撃がメインなのに、クロスに対して強さを発揮できないため、チームとして攻撃の狙いが作れない。
偶発的に起こるドリブル突破には可能性も感じるものの、デメリットの方が多い状況だったと思います。
ちょうど先日、Numberの記事でオシム監督が東京五輪で行われた日本対スペイン戦について、こう話しています。
本当に簡単にボールを失ったし、それぞれがひとりでプレーした。
(中略)
日本もプレーができることは示し、ボールをキープして連携を深めようともしたが、あまりにひとりでプレーしすぎた。あんなふうに個人プレーに走れば、コントロールとキープだけなら容易にできる。その結果、最後にあんな形で負けて何も得られなかった。相手の方が優れていたわけではなかった。ただ彼らはずっとシンプルでよりダイレクトだった」
メディアにとって彼のような選手は扱いやすいだろうが、忘れてならないのはサッカーはコレクティブな競技であることだ。個のプレーが行き詰まったときに勝つのはコレクティブだ。それが今日の試合でよくわかったはずだ。スペインがそれを証明した」
エゴイスティックなプレーを嫌うオシム監督らしいコメントですが、オシム監督の意見を聞く前からあれで大丈夫なのかなと思っていました。
特に久保の話をしているのではないかと思うのですが、個人での打開ばかりを狙って周りとプレーすることが少なかった。
それによってボールロストが増えて守備の機会も増え、チームを苦しい状況にしていた部分があったと思います。
こういったプレーばかりでは海外での大きな成功をあげるのも厳しいのではないかと思いますし、個人技頼りでは限界があると思います。
それにサウダーニャも近いというか、久保など以上に連係プレーは下手な選手だと思います。
せっかく体格には恵まれているのに、それを活かしきれていない印象も強い。
もちろんまだ若いからこれからの選手とはいえ、オシム監督が「メディアにとって彼のような選手は扱いやすい」と言っているように、周りが甘やかし続ければ進歩はないのかもしれません。
一方で先日の新潟戦でのソロモンは、期待以上に良かったと思います。
激しいプレスをかけ続けて体を張っていたし、空中戦でも舞行龍などを相手に競り勝つ場面が目立っていました。
ジェフU-18から昇格して1年半が経ちましたが、かなり逞しくなった印象でしたね。
ゴールキックのターゲットとして活躍したことでいわゆる自陣回復が出来たし、ソロモンが前方で競り合うことでセカンドボールでも優位に戦えたことがチームにとって非常に助かりましたね。
プレーの判断も良く周りを活かせていましたし、その点ではサウダーニャを上回っているかもしれません。
ブワニカも含めて同世代なわけですし、お互いに刺激を与え続けてくれればと思います。
ただ、チームの課題もあって、ゴールに関してはソロモンも期待しづらかった。
この日もクロスからの展開が多かったとはいえ、完全にフリーな状態でクロスを上げる形は作れなかったし、相手がセットした状況でクロスを上げることが多いので、守備の準備が整っている状況で勝負しなければいけないのが辛かったですね。
それでもソロモンが入ったことで、普段よりはゴール前の迫力を感じるシーンが作れていたのではないでしょうか。
今後もソロモンのスタメンをもう少し見たいところですが、尹監督は新人を抜擢してもすぐに外してしまうことが多い。
さらに前回スタメン時も新潟戦だったことを考えても、プレスに弱い新潟相手の特別対策だった可能性もあります。
そう考えるとソロモンの起用が続くかどうかはわかりませんが、ソロモンとしては久々のスタメンということもあってかコンディションも良さそうでしたし、この状態を維持することを第一に頑張ってほしいですね。