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ジェフ経営情報'21 コロナ禍でも「チーム人件費」大幅増で赤字転落

 Jクラブの経営情報がリーグから発表されていますので、今年も取り上げていきます。

aboutj.jleague.jp

 昨年度は新型コロナウィルス感染症の影響で、各クラブの経営が悪化。
 上記リンク先のPDFでも詳しく書かれていますが、全クラブ総額での収益が前年比で約230億円の大幅減。
 営業費用も109億円減少したそうです。

www.nikkei.com

 単年度の赤字も、23クラブから35クラブと増えています。
 主に入場料収入とスポンサー収入の減少が、響いたとのことでした。


 その上で、昨年のジェフの状況はどうなっていたのか、見ていきたいと思います。

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 まず『営業収益』の部ですが、全体で約3億3500万円ほど、大きく減少しています。
 特に「入場料収入」の減少が大きく約1億9300万円ほど減っており、観客を動員できなかったことが、一番の損失となっていることがわかります。
 ただ、ありがたいことに、「広告料収入」は約4800万円しか減少していません。

 そのため、『営業収益』の25億円をキープしていますが、これはJ2で大宮、磐田に次ぐ3番目の数字でした。
 確かに前年に比べると減少に進んでいますが、3年前までの収益レベルは維持しており、むしろJ2から長らく抜け出せない状況で、収益が増えていた過去2年間の方が凄いことだったと思います。
 それを支えたのは主に「広告料収入」であり、クラブの営業とスポンサーによるものが大きいでしょうから、改めて感謝したいと思います。

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 一方で『営業費用』も1億円以上減少した「トップチーム運営経費」を筆頭に、軒並み減額となっています。
 コロナの影響で観客などが動員できず、その分コストが抑えられた部分もあるのではないでしょうか。

 しかし、唯一増額となった項目が「チーム人件費」で、ここだけで約2億9100万円も増加しています。
 2010年までは「チーム人件費」を公開しておらず、それまでの「人件費」項目はスタッフも込みだったのではないかと思うのですが、昨年度は「チーム人件費」が公表されてから過去最高の約14億4400万円がかかったことになります。
 これは減額となった大宮、磐田を上回り、J2トップの「チーム人件費」となっており、コロナ禍による影響も考えると意外なデータのようにも感じます。


 移籍金などは分割払いが多いと言われており、昨年だけの費用を反映されたものではないのかもしれません。
 しかし、他チームは「チーム人件費」を抑える方向で動いており、Jクラブ全体でも16億円以上減少したとのこと。
 一方で昨年のジェフは新井章太、田口、川又、山下など、ベテランを中心に経験豊富な選手を補強したイメージがあり、その分年俸が上がったということでしょうか。

 それだけ勝負を賭けにいったのではないかと思いますし、高橋GMの契約が切れる年だったため、総力をかけたシーズンだったということでしょうか。
 しかし、監督交代1年目に勝負を賭けるという判断は現実的だったのか。
 しかも、攻撃的なエスナイデル監督から守備的な尹監督へのシフトということで大幅な方向転換が求められた年でもあったわけですから、ちぐはぐな運営のように思えてしまいます。

 それでも結果が出ればよかったのでしょうが、残念ながらチームは14位と低迷。
 結果的に前回同様にGM変更時に監督の交代をすることも出来ず、やりにくい部分が残ってしまったようにも思います。
 このあたりの広い目で見たクラブ運営のセンスに、欠けているところがあるのかもしれません。

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 結果的に、『当期純利益』は約1億7600万円の赤字となりました。
 ただ、「チーム人件費」だけで約2億9100万円が増加しているわけで、前年までの「チーム人件費」に抑えられていれば赤字にはならなかったことになります。

 コロナよる影響が予測される前から、ある程度「チーム人件費」が固まっていた可能性もあるでしょう。
 ただ、問題なのは「チーム人件費」を増やしても結果に結びつかないことで、現状だと本当に無駄なコスト増加になってしまっています。
 2年連続の赤字は避けたいですし、今年からは工夫を凝らしたチーム強化が、より一層求められることになるのではないでしょうか。

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 『流動資産』が約3億5600万円分、大幅に増加しているのが気になるところですね。
 一方で『固定資産』が約2億円ほど減少していますので、何かを売却したということでしょうか。
 ここに関しては情報が出ていないだけに、何とも言えないところがありますね。

 基本的には親会社などの支援もありますし、資本面では今のところ問題はないのでしょう。
 ただ、例年『繰越利益余剰金』の赤字が続いているのは気になるところで、少しずつでも解消していきたいところではないでしょうか。
 赤字総額が大きいため『流動負債』も蓄積し、『負債』全体も大きくなっているということになります。

 どのクラブも基本的には同じだと思いますが、このコロナ禍で少数の親会社やスポンサーだけに頼るのは怖いところがあると思いますし、今年に入ってコロナによる経営への影響がよりはっきりと出ていく可能性も十分に考えられると思います。
 だからこそ、より一層健全な経営と賢いチーム運営が、問われることになるのではないでしょうか。
 ジェフはJ2に降格してからお金に頼ったチーム強化をしていた傾向がありますから、むしろこれを脱却するチャンスと思って頑張ってほしいですね。