キックオフ直後はむしろ東京Vの方がいい入りをしていた印象すらあっただけに、5‐1という結果はまさかの展開となりました。
ジェフの見事なシュートも多く、決定力がものをいったという部分もあるでしょう。
ただ、やはり東京Vに関しては、守備が軽すぎた印象もあります。
ジェフが早々にあげた先制点もフリーの田口からクロスが上がり、フリーの福満が折り返して、船山が押し込んだもの。
パスの出し手も受け手もフリーになっていたわけですから、そういった守備をしていると失点も仕方なしと言えると思います。
ジェフとしてはそういった相手の甘さを、しっかりとモノにした試合と言えるでしょう。
東京Vはジェフが前半のうちに2点をリードしたこともあり、後半からは守備で気持ちが切れた部分もあるのかなと思います。
もともと前体制からいかに攻撃のためにサッカーをするのかというチームの方向性もあって、守備の意識が疎かになる印象があります。
そのため、攻撃だけ見て好調のように思えても、守備では気の抜けたようなプレーをしてしまうことが多いのではないでしょうか。
ただ、軽い守備からの失点は今回だけではないですし、ここまでくるとメンタル的な問題もあるのではないかといった印象もあります。
やはりどこかでパワハラ騒動が、尾を引いているところがあるのではないかと思ってしまいます。
元ジェフ関係者も多いだけに、来年のクラブ状態が心配になりますね。
前節の大宮もそうですが、琉球も勝てなくなって監督を交代していますし、松本なども本来もっと力があるはずで、今季のJ2は自滅していくクラブが多い気がします。
その中でジェフは相手の隙を付き着実に勝って3連勝を遂げたことは見事だと思いますが、東京Vにうまく攻撃を作られた展開も多かったですし、5‐1はちょっと出来過ぎな印象もありますね。
ただ、ジェフも以前に比べて、攻守に前へ人数をかけられるようになった印象で、そこがこの成績を生んでいるのかなとも思います。
■東京Vが良い攻撃を見せるもジェフが2点リード
好調のジェフはメンバーを継続。小田は11日(月)の練習試合に90分間出ていましたが、メンバー外が続いています。
怪我による離脱だと思っていたのですが、戦力として評価されていないのか、来年の契約の絡みもあるのでしょうか。
井出などが負傷中の東京Vは、端戸、戸島も不在。
CBに東京Vユース出身で、ソロモンと同い年の馬場が入りました。
GKもマテウスがスタメン復帰し、1トップに小池が入っています。
立ち上がりは東京Vが攻め込んでいきましたが、6分にジェフが先制。
田口のアーリークロスから、逆サイドの福満がフリーに。
福満のキックはミスキックになりますが、船山が頭であわせてゴール。
その後も攻めるのは東京V。
東京Vは中盤で流動的に選手が動き、ジェフはそこを捕まえきれていない印象。
ジェフもカウンターを狙うも、潰されて防戦一方に。
22分、東京Vが同点に。
中盤のそこでフリーになった佐藤優平からロングパス。
ファーを走り込んだ杉本が落として、山下がゴール前で合わせてゴール。
25分にも東京Vの攻撃。
左サイドを抜け出した森田がするすると仕掛けていきシュート。
しかし、GK新井がキャッチ。
29分にも東京Vの攻撃。
杉本が左サイドで受けたところから、一度も度して佐藤優平がアーリークロス。
若狭が飛び込みますが、GK新井がセーブ。
劣勢が続きましたが、32分にジェフが勝ち越し点。
福満がプレスをかわすロングパスを展開したところから、左サイドを見木が持ち上がって末吉が受けてクロス。
これを後ろから走り込んできた田口が、ボレーで合わせて2‐1。
35分、東京Vの攻撃。
左サイドの山本から、杉本がインサイドで受けます。
そのまま持ち上がってミドルシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
38分にはジェフの攻撃。
左サイド奥のスローインから、船山、田口とパス交換をして、船山が浮き球のパス。
熊谷がハーフスペースを走り込んで、田口が受けてシュートを放ちますが、相手がブロック。
42分にはセットプレーからジェフのチャンス。
左サイドからのCK。
船山が蹴ると鈴木が合わせますが、決めきれず。
このプレーで得たCK。
船山が意表を突いてゴールから離れたボールを蹴ると、田口がダイレクトボレー。
これを福満がヒールで少し触ってゴール。
46分、東京Vの攻撃。
中盤の佐藤優平から、浮き球のパス。
山下が拾って末吉をいなしシュートを放ちますが、これも決まらず3‐1で折り返します。
■後半序盤に2点を追加し試合を決める
2点ビハインドの東京VはHTで石浦を下げて、佐藤凌我を投入。佐藤凌我が1トップで、インサイドに小池が移りました。
しかし、後半開始早々にジェフが追加点。
佐藤優平からの縦パスを受けた小池が、ポストプレーでミス。
これを福満が拾うと、少し持ち上がってミドルシュートを決め4‐1。
53分にもジェフが5点目を上げます。
右サイドからのCKを船山が担当。
これを拾って末吉がクロスを上げ、ファーでフリーになったチャンが折り返し、新井一耀が足元でゴール。
58分、東京Vは山下、杉本を下げて、新井瑞希と梶川を投入し、小池が右、梶川がインサイド。
60分、東京Vの攻撃。
山本からのパスを受けた新井瑞希が新井一耀をいなして持ち上がり、シュートまで持ち込みますが枠の外。
64分には東京Vの決定機。
梶川からの縦パス。
右サイドで小池が裏を取って繫ぎ、若狭も飛び込んでシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
66分、ジェフは船山、ソロモンを下げて、矢田、サウダーニャを投入。
75分、東京Vは足を痛めた佐藤優平に代えて、加藤を起用。
77分、末吉、福満を下げて、安田、米倉を投入。
5点目が生まれた後は、一進一退といった印象。
82分、ジェフは見木を下げて高橋を投入。
85分、東京Vは守田を下げて18歳の阿野を投入。
87分、東京Vの攻撃。
中盤でボールを奪ったところから、新井瑞希が右前方へ展開。
小池が持ち上がってシュートを放ちますが、枠の外。
92分、ジェフの攻撃。
中盤でボールを奪ったところから、矢田が左サイドを持ち上がってクロス。
サウダーニャが足元で合わせますが、大きくふかしてしまいます。
そのままジェフは5‐1で逃げ切り。
ジェフは昨年の8月以来となる3連勝を遂げました。
■ジェフ好転のキッカケは前への姿勢
東京Vの攻撃は決して悪くはなかったと思います。特にインサイドからの攻撃が厄介で、ジェフはうまく対応しきれていなかった印象です。
東京Vはインサイドの選手が、ジェフのシャドーの後ろでボールを持とうとする。
ジェフのシャドーはそこに釣られて下がってしまうと、5‐4‐1状態になり押し込まれ、シャドーが前に出るとインサイドに間を取られて起点になってしまう。
東京Vはウイング、SB、インサイドが大外とハーフレーンで流動的に動き回って、ジェフのサイドを混乱させていきました。
そういった東京Vの攻撃によってサイドを警戒していると、中央が空いてしまう。
そこからの楔のパスも効果的に使ってきており、中も外も良いリズムでパスを繋いでいく。
さらに運動量もあって、仕掛けられる選手もいてということで、ただボールを回すだけでなく、人も動くことでゴール前に侵入する形を作れていました。
ジェフも後方でよく耐えていたとは思いますが、先制後から最前線のソロモンも低い位置で長時間守っていたように、押し込まれすぎていたと思います。
それでも足せる状況を作れていればいいのかもしれませんが、東京Vはアンカーの佐藤優平から決定的なパスを出せるだけに、決していい守備状態ではなかったと言えるでしょう。
実際、その佐藤優平からのパスでゴールが生まれているだけに、シャドーなどの動きでジェフを5‐4‐1にして押し込み、後方から縦パスを出してゴールに迫るという東京Vの形は狙い通り実現できていたはずです。
しかし、守備に関しては、開始早々にフリーな選手を簡単に作って失点。
さらに田口のスーパーゴールもあって、前半だけで3失点。
後半の福満のゴールも新井一耀のゴールも守備が甘かったですし、守備の甘さを感じざるを得ませんでした。
東京Vは永井監督時代からいかに攻撃を作るのかを主眼に置いている印象で、それが前半からある程度出来ていた。
出来ていたからこそ、なぜ2点もビハインドで折り返したのかといったところで、メンタル的に落ちてしまったところもあるのかなと思います。
攻撃には理想を感じるけれど、守備に関しては攻撃に移るプレス以外で理想の形が築き切れていないため、守備が大きな足かせになっている部分があるのかなと外からは感じてしまいます。
一方のジェフは前節に続いて、守備に関しては不安も感じる部分があったと思います。
特に前半はインサイドの選手などを捕まえきれず、そこから迷いを感じたし、後方に引き過ぎて佐藤陽平をフリーにさせ過ぎていた。
途中からインサイドにはボランチが強くいくようになり、若干の修正はできたかと思いますが、基本的には最終ラインで跳ね返す苦しい展開だったと思います。
ただ、前半終盤頃から攻撃時にうまく人数をかけられるようになり、そこから全体が前に出られるようになった。
それと相手のミスを突いての攻撃とスーパーゴールもあって、試合をものにできた展開だったかなと思います。
シーズン序盤よりも、セットプレーでゴールを狙えるようになったことも大きいですね。
さらに、シーズン前半に比べて攻撃時に人数をかけられるようになったことが、ジェフの大きな変化ではないかと思います。
DAZNの実況・解説はジェフの堅守を褒めてはいましたが、ここ数戦決してセットして守る形が良かったわけではないと思います。
むしろ攻守に前に出ていってボールを回収して、セットした守備の時間を減らせるようになったことが、好転のキッカケだったと言えるでしょう。
この日もセットした時の守備には、若干の不安もあったと思います。
セットした状態から失点もしているわけだし、間を取られてシュートまで持ち込まれることも多かった。
けれど、試合途中から前に出て行けるようになったことが、ジェフにとっては過去と一番違うところではないでしょうか。
前に出て行った後の攻撃の質に関しては、相手チームなどと比べても細部までは詰められていないと思うのですが、今日の東京Vなどは守備に課題があるだけに、攻め返しやすかったという部分もあるのかもしれません。
セットした守備も含めて、細部を詰めて、強いチーム相手にも戦えるようになること。
そこがシーズン終盤に向けての目標でしょうか。