前節栃木で試合終盤にゴールを決め、勝利を遂げたジェフは8位に浮上。
一桁順位での今季終了が、現実味を帯びてきました。
一桁順位での終了となれば、2016年のエスナイデル監督時代の6位以来。
実に4年ぶりとなります。
J2降格当初はJ1に昇格できなかったとはいえ、2010年から2015年までは一桁順位の常連にいたわけですから、久々に戻ってきたとも言えるかもしれません。
ただ、今季に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響でJ1からの降格チームがなく、J3降格チームもなしでスタートしています。
その分、レベルは下がっている印象も拭えません。
そこは差し引いて考えるべきかなとも思いますが、ここ数戦は上向きで久々に結果が残せているのは嬉しいですね。
栃木戦でも攻撃面には課題を感じましたが、守備のバランスは良かったと思います。
久々に相手を押し込んで、相手のクリアボールを回収して、また攻めるという流れが出来ていたと思います。
こういった状況が作れると安定して戦えるように思いますし、攻撃に関しても質より量でやれる試合が少なくありません。
一方でセットした状態での守備には不安が残り、大宮戦、東京V戦、山口戦でも相手にボールを持たれると、苦戦する時間が出来てしまう。
前線がハーフウェイラインより後方で守る状況も珍しくなく、後方のパスの出所を抑えきれずに、そこから揺さぶられ縦パスを出されてしまう。
これでは「相手にボールを持たせている」とまでは言えないですし、守備的なチームなはずなのにセット守備に課題を感じる点は、尹監督体制になってから長らく変わらないですね。
明後日のジェフは、水戸と対戦。
現在の水戸は、14勝9分14敗の勝点51で順位は10位。
ジェフは現在15勝12分10敗の勝点57で8位ですので、中位のライバルチームということになります。
今年の水戸はシーズン中に住吉ジェラニレショーンが広島に、柳澤がG大阪に、平野が浦和に個人昇格する悩ましい状況となっています。
それに対応する形で、C大阪から藤尾、浦和から伊藤、鳥栖から今掛、横浜FCから古宿、八戸から黒石など、若手を中心に中心に補強。
また、昨年まで韓国の江原FCでプレーし、フリーになっていた中里も加入しています。
今年も若い選手たちの活躍が目立つ水戸ですが、特徴的なのがスタメンが頻繁に入れ替わっていること。
特に前線や2列目の顔ぶれは固定化されておらず、毎試合のように変わっています。
メンバーが変わってもスタイルは維持できている印象で、選手たちを競争させてチームを育てていこうという意識が強いのかなと感じ取れます。
水戸は昨年からジェフOBの秋葉監督が就任し、攻撃的でアグレッシブなサッカーを展開しています。
1年目は後方で細かくパスを繋いで狭いエリアで前を向き、そこから展開してチャンスを作るパスサッカーを目指していた印象です。
しかし、今年はより前への意識が強く、前線の選手たちの積極的な動き出しが武器となっているように思います。
特に特徴的なのが、シュートへ持ち込む意識が高い動きを見せていること。
前線でボールを引き出す際も、なるべく前を向ける体勢を取ったり、少し膨らんだところからゴール前に侵入したりと、シュートに直結する動きを意識しているのではないかと思います。
昨年から引き続き前への人数のかけ方、思い切ったスプリントも多く、見ていて清々しいサッカーをしているチームだと思います。
一方で開幕前からシーズン中にかけての主力流出の痛手は大きく、選手層の面では厳しさを感じ、特に最後の精度で苦労している印象があります。
前節北九州戦もチャンスを作りながら決めきれず0‐0で終わっていますし、最後の決定力やラストパスの精度は個々の能力に依存するところが大きいのではないでしょうか。
また、若いチームということもあってか波が激しく、ここ4試合は勝ち星から遠ざかっています。
ジェフは先ほども話した通り、セットした状態での守備に不安があるだけに、その時間帯になった時にうまく凌げるか。
その状況を改善できるかどうかが、尹監督体制における大きな課題ではないかと思います。
水戸は後方でのミスも多いイメージですから、良い守備が出来ていれば、チャンスは回ってくるかもしれません。
ここ最近のジェフは下位チームとの対戦も多かったですので、中位の水戸相手にどういった戦いが出来るか。
水戸も勢いに乗らせると怖いですが、隙は少なくないチームだと思いますから、うまくそこを突きたいところ。
シーズンも終盤ということで、結果ももちろん大事ですが、来季へ希望の繋がるような内容を期待したいですね。