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ズッ友・京都から学ぶ J1昇格への道のり

 ジェフがJ2に降格したのが2010年。
 京都がJ2に降格したのが2011年。
 そこから続いたズッ友の関係が、ついに終わりを迎えようかとしています。

 2017年には京都の公式サイトにも取り上げられたこのネタですが、私が2014年5月頃につぶやいたのが始まりだと思っています。
 少なくとも自分がつぶやくまで同じ表現をしていた人を私は知らないですし、そこから認知されていったものだと思います。
 当然ですが決していい意味で言ったつもりはなく、悪い意味での腐れ縁であり、本来であれば一刻も早く解消されるべき関係性です。


 お互いに長い歴史があるクラブで、大きな親会社がバックにいて、予算はそれなりにあって、フロントには複雑な問題があると言われてきた。
 そして、1年差でJ2へと降格し、なかなか昇格が出来ずに低迷。
 2009年から降格した東京Vも同時期に降格した歴史の深いクラブですが、経営事情は大きく違います。

 境遇が近いことによる必然なのか、私の周りにもいつの間にか京都サポが増えていました。
 相談することも増えてお互いの話を聞いていると、やはりジェフに近い内部事情があった。
 そこから生まれた、ズッ友という言葉でした。


 しかし、今季の京都は、シーズン序盤から勢いがあって現在昇格圏内の2位。
 残り2試合で3位甲府とは勝点6差がついているため、次の試合で勝つか引き分けるかで昇格が決まり、負けても甲府が勝たなければ昇格となります。
 このタイミングで、その京都とジェフが対戦するのは運命なのでしょうか。

 似通った環境にある両チームですが、近年のジェフは順位も下げて、J1昇格に向けて箸にも棒にもかからないような状況です。
 京都も2017年には12位、2018年に至っては19位まで低迷していたわけですから、そこから昇格圏内まで立て直したのは見事としか言いようがありません。
 J2に降格して一度低迷してから這い上がる難しさは痛いほど感じるところですし、ジェフとしても京都を分析して少しでも浮上のヒントを得たいところではないでしょうか。


 今年の京都はキジェ監督の下、運動量豊富でスピード感のあるアグレッシブなサッカーを展開しています。
 過去2年間も良いサッカーをしていたとはいえ、また少し違ったスタイルになっていると思います。
 成績も含めて、今年から指揮を執るキジェ監督の招聘が当たったと言えるでしょう。

 監督は長く続けた方が、結果が出るという見方もあると思います。
 しかし、下記の表のように、過去3年間のJ1昇格チームを見ると、むしろ短期間で結果を残しているケースの方が多い。
 京都もこの3年間、毎年監督を変えつつ、現在の結果となっています。

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 もちろん、だからといって、「頻繁に監督を交代すべきである」と主張するつもりでありません。
 しかし、「ジェフは短期で監督を変えるからうまくいかない」とか、「長く監督が指揮を取ればチームは強くなる」という見方は、安易な発想だと思います。
 うまくいっているチームが監督を変えていないだけであって、必ずしも長期政権=成功ではないでしょう。


 J1時代のジェフもオシム監督が就任する前から、東欧路線でベースを築き上げていたと言われていますが、エンゲルス監督、ベルデニック監督、ベングロシュ監督など、短期間で監督交代が続いていました。
 オシム監督はジェフでは珍しく長い3年半監督を務めて結果も残しましたが、逆にJ2に降格してから複数年続けた関塚監督やエスナイデル監督は最終年にチーム崩壊。
 今年の琉球や金沢などを見ても、むしろ長期政権の難しさも感じます。

 改めて考えると、大事なのは単純に良い監督を招聘できるかどうかでしょう。
 優秀な監督なら長く続けて積み上げを作ってくれるかもしれませんが、そうではない監督に長期間任せるとむしろチームを弱体化しかねない。
 その点で京都のキジェ監督招聘はパワハラ問題もあっただけに失敗すれば大バッシングにあう恐れもありましたが、見事に大成功を収めたと言えるのではないでしょうか。


 もう1つ京都が成功したバックボーンには、若手育成があるのではないでしょうか。
 京都はアカデミーはもちろん、新人補強にも力を入れている印象です。
 J2に降格してからも多くの生え抜き選手を選出しているため、例えJ1に引き抜かれても次がどんどんと出てきていますね。 

 ジェフも今季は若干年齢層が下がったとはいえ、まだベテラン補強に頼っている印象も強い。
 京都はスタメンだけでなく、控えやメンバー外の選手も含めて若手有望株が揃っている印象です。
 そういった若手選手がいることで、前年、前々年と8位と好調だったチームの流れを繋いで、今年さらに飛躍出来た部分があったのではないでしょうか。

 若手が活躍すればチーム全体の勢いにも繋がるし、何よりも成長の伸びしろが大きい。
 今年ブレイクした20歳の川崎を筆頭に、21歳の福岡、22歳の若原や萩原、23歳の麻田などが成長を遂げたことによって、チーム全体のレベルアップにも繋がった印象です。
 年齢層が高いと伸びしろという面ではどうしても厳しいところがあるでしょうし、若手が主体だとハングリー精神という面でも期待が出来るのではないでしょうか。


 さて、改めて現在の京都のスタイルを確認すると、何度か話しているようにキジェ監督はオシム監督に近いサッカーを実施していくイメージです。
 攻守に切り替えが早く、素早くパスを繋いでいくと、そこを起点として選手も2人、3人と駆け上がっていく。
 1人1人の運動量が豊富でスピードがあるので、攻撃にキレを感じますね。

 守備においても、積極的にプレスをかけ、球際にも強い。
 1トップのウタカはそこまで走れないですが、その分2列目が守備に行くし、ウタカ自身も大事なところではチェイスしていく。
 そのウタカが攻撃でも変化をつけるわけですが、あくまでもベースは他の走り込んでいく選手たちといった印象で、オシム監督時代のジェフでいうとマリオ・ハースに近い役回りと言ってもいいのかもしれません。


 キジェ監督はこのサッカーを、今季の初めから…というよりも、湘南時代からぶれずに実行しています。
 スタイルが変わらないからこそチームの完成度が高いし、積み重ねも出来ている。
 逆説的に言えば、積み重ねが作れる監督だからこそ、大きくスタイルを変えずに1つの方向性を貫けるし、それによって安定してチームを構築できるとも言えるのかもしれません。

 前節の京都は、ジェフ同様に現在好調で11戦負けなしの岡山と対戦。
 岡山はさすがの勢いと自信を感じるプレーで、お互いにチャンスを作りましたが、ゴールは奪えずに0‐0で終わっています。
 京都は昇格目前で、若干プレッシャーもあったでしょうか。


 一方のジェフも現在好調で、岡山と同じく11戦負けなし。
 ただ、下位チーム相手には勝てるものの、中位以上相手だと引き分けが多くなってます。
 明後日の京都戦、最終節の岡山戦で、来季に向けての最後のテストとなっていくのかもしれません。

 好調時のジェフは相手を押し込んで、ボールを奪い、さらに攻めて行く展開で、流れを作っています。
 しかし、京都はアグレッシブに戦ってくるチームですから、常に押し込んでいくのは難しいかもしれない。
 どれだけジェフが押し込んで主導権を握れるか、主導権を握れなかった時にどう立ち振る舞うのかが見どころではないでしょうか。


 ここまで話しておいて今さらですが、京都が昇格に失敗する可能性もまだあり得ます。
 ちなみに、京都の試合日程はジェフ戦後に金沢戦。
 甲府は山口戦、水戸戦で、どちらも中位以下の対戦相手が続きますので、取りこぼした方が終わりということになるでしょう。

 ジェフとしてはライバルでもある京都に、目の前で勝たれて昇格されてしまうのは屈辱だと思います。
 ジェフが勝っても京都昇格の可能性は残りますが、ズッ友として最後の意地は見せたいところ。
 京都年もプレッシャーあるでしょうし、何よりホーム最終戦でもありますから、上位相手に良い試合をしてほしいですね。