当ブログはプロモーションを含みます

尹監督「一人一人の能力の差はあった」

jefunited.co.jp

 京都戦後の尹監督のコメントを、見ていきたいと思います。
 まず小林のスタメン復帰に関して、高橋も素晴らしかったけれど、練習でもよかった小林を選んだ。
 コンディションを重視したと、答えています。

 熊谷が負傷してから、琉球戦、北九州戦と高橋がボランチでスタメン出場しています。
 しかし、このコメントからすると、小林も候補ではあったということでしょうか。
 僅差で選んでいたということなのかもしれません。


 ただ、当然すべてを正直に話しているわけではないかもしれないですし、京都対策で守備を重視して小林を選んだ可能性もあるのかもしれません。
 また、北九州戦では高橋が相手プレスの標的になっていた印象もあり、そこでボールをロストするシーンもありました。
 京都はより厳しいプレッシャーが予想されるということもあって、小林にしたのかなとも思います。
 
 小林に関しては特に前半、前からのプレスがはまらず防戦が続いていた状況で何とか耐えていた印象でしたが、萩原にかわされてシュートを打たれるなど、苦労した部分もあったと思います。
 田口の負傷で後半から出場した高橋もウタカにかわされて危険なシーンを作られていますし、他の選手も含めて京都の勢いに飲まれた部分はあったのではないでしょうか。
 後半途中から投入されたサウダーニャは確かに惜しいシュートもありましたが、どうしても個人技での勝負が目立ち攻撃が単発になりがちなのが、難しいところですね。


 そのあたりもあって、タイトルでも取り上げた通り、会見で京都に対して聞かれ「1人1人の能力差はあった」という解答になったのでしょうか。
 ただ、先日ズッ友の話をした時に「お互いに予算はそれなりにあって」と話しましたが、実はジェフの方が予算規模は大きい状況です。

yukkuriikou.hatenablog.com

 前年の経営データで見ると、ジェフの総費用は約26億円なのに対して京都は約19億円なので7億円もの違いが。
 さらに人件費もジェフが約14億円なのに対して、京都は約9億円と5億円も差があります。
 移籍金などは別項目だったとしても、結構な開きがあると言えるでしょう。

 人件費がそのまま戦力値になるわけではないかもしれませんが、これだけの差があればジェフも戦力に乏しいわけではないはず。
 それだけに、あまり選手の能力差を言い訳にはしてほしくないようにも思ってしまいます。
 もちろん、尹監督は「監督の力不足」とも話しており、言い訳ではなく選手を𠮟咤する意味で言ったのであれば納得出来ますが、シーズンを通して見ると京都はうまく選手を伸ばしていた印象もあります。


 特に注目されているのは弱冠20歳の川崎だと思いますが、シーズン序盤は川崎も課題も多かった印象です。
 バイスが前方に上がっていって、川崎はそれをカバーするだけだった印象ですが、それだけ川崎自身は攻撃面では良さが出せなか.った。
 それでも豊富な運動量とボール奪取能力を買われて我慢して1年使い続けると、ジェフ戦では1試合で何度もゴール前に飛び出すほど、攻撃面でも脅威になっていきました。

 ベテランの庄司などがいるにも関わらず、川崎をチームの軸となるアンカーに抜擢したことからも、キジェ監督は自分のスタイルに合う選手を、自らの手で育て上げチーム全体を成長させようとしたのではないでしょうか。
 そこが予算の厳しい湘南でも成功した秘訣なのでしょうし、京都もジェフより人件費は少なくとも、あれほどのサッカーを見せたのは、川崎を筆頭にこの1年で若い選手を伸ばせたからではないかと思います。
 福岡、麻田なども自信を持ってプレーしていましたし、選手が育ったことでポジションごとに隙のないチームになった印象です。


 また、京都も決してすべてを持ち合わせているわけではなく、高さに関しては物足りない部分もあったと思います。
 左右SBも中盤も小柄な選手ばかりで、高さがあるのは1トップのウタカと2CBくらい。
 その分、セットプレーでは変化をつけてくることも多かったですが、単純な高さ勝負ではジェフに分があり、そこに救われた部分もあったと思います。

 それでもキジェ監督の理想とするサッカーを目指すため、高さはある程度諦めても運動量やスピードを重視したメンバーになっている。
 自分たちのスタイルにあった選手たちをチョイスすることによって、選手たちの強みを出しやすい状況を作る。
 それによって選手たちが伸び伸びとプレーできるようになり、結果的に「一人一人の能力」を出しやすいチームになっているということではないでしょうか。


 京都の成功を見ていると、改めて明確な方向性を確立することの重要性を感じます。
 ジェフも守備重視のサッカーを目指していることはわかり、個々の守備意識が高まっていることは感じます。
 しかし、一言に守備的なサッカーと言っても引いて守るのか、前に出ていくのか、バランスを取るのかで大きく違うはずですし、明確な方向性とまではいっていないように思います。

 物量で勝負できるのであれば、アバウトなチーム作りでもいいのかもしれませんが、J2で上位の予算につけているとはいえ、他を圧倒するほどの経営規模でもないはずです。
 その中でいかに、選手の能力を引き出して、強いチームを作っていくのか。
 上位進出のためにはここからさらに1ランクも2ランクも上を目指さなければいけないと思いますし、そのためにはよりチームとして明確な強みを作らなければいけないのではないでしょうか。