尹監督が来季も続投すると、スポニチが報じました。
現在の好調を考えると、自然とも言える流れでしょうか。
「続投する」と明言されていますし、尹監督側も合意する方向なのではないかと思います。
クラブとしては監督を続投するにしても交代するにしても大義名分というものが必要ですから、シーズン終盤の成績というのは極めて重要になるところがあるでしょう。
しかし、ジェフは例年シーズン終盤に強い傾向があるし、その終盤の好調が翌年に繋がらないことが多いところがあります。
F1にも契約が切れるシーズン終盤だけは強いと言われているドライバーもいますし、好調時だけを見ずに総合的に判断する必要があると思います。
また、10月末に発売されたサカダイには、尹監督が退団する可能性も報じられていました。
これが誤報だったのか、それともそこから1ヶ月の成績を見て判断を変えざるを得なくなったのか。
実際、それまでの成績と内容はそこまで良くなかったとも言えますし、そこで転換したのであればその影響も多少気になるところがあります。
もちろん、個人的にもここ数戦の成績で見れば続投が妥当かなとは思いますが、かといって続投すれば来シーズンも安泰と思えるほどの試合内容でもないと思います。
他方で今年は監督交代しているJクラブが非常に多いですから、交代を検討するチャンスではありました。
京都戦でも負けはしなかったとはいえ、力の差を見せつけられたと言っていいでしょうし、ここからさらに強くなるためには、大きな壁があるのではないかと感じます。
京都はその壁を、監督交代という手段で乗り越えたようにも思います。
しかし、尹監督はキジェ監督のようなスペシャルな戦術を持っているわけでもないし、コツコツと積み上げてきたというよりは戦い方を入れ替えて好調に結びついた印象があります。
簡単に乗り越えられる壁ではないことはわかりますが、大事なのは具体的にどう乗り越えるつもりなのかというところですね。
現在は失点が減っていると言っても、北九州戦で解説された幸谷氏も指摘されていたように、5‐4‐1の状態では中盤にスペースがある課題もある。
プレスに関しても前に勢い良く行けている時はいいですが、左右に揺さぶられると逆サイド前方がぽっかりと空いてしまう傾向がある。
後方に人数を固めることと、守備意識を高めたこと、球際に強い選手を起用していることなどで失点は減っており、それが収穫の1つであることには間違いないですが、組織的な守備が構築できているとは言い難いと思います。
その点がより明確になったのが、京都のプレスだったと思います。
京都は守備時にサイドで3人、4人と一気に囲い込んできましたが、そこからジェフが逆サイドに逃げようとすると、そこにも他選手がプレスに来ていた。
それだけチームでピッチ全体にプレスをかけて行く組織が出来ていると言えるでしょうし、プレスの練度においてジェフとは大きな差を感じました。
攻撃に関しては言わずもがなで、ここからどうチームを強化していくのかという点において、悩ましいところがあるようにも思います。
確かに最低限の戦い方は出来ているだけに、来季も降格しなければ良いというのであれば、尹監督の続投は歓迎できるかもしれません。
ただ、さらに飛躍を遂げるということを考えると、ここからどういった手法が考えられるのか。
今季最終戦で対決する岡山も現在12戦無敗と、ちょうどジェフと同じ試合数負けていないことになります。
それでも先日、有馬監督の解任が発表されたのも現状維持なら続投で良いけれど、さらなるステップアップを図るためには監督を交代するしかないという判断だったのかもしれません。
当然リスクは増すはずですが、それでも上を目指したいということなのかなと思います。
ともかく、このままの流れで来季も好成績が納められるほど簡単ではないでしょうし、安易に考えてもいけないのではないかと私は思います。
先日も取り上げた通り、鈴木大輔も「来年も同じような形でできればいいだろうという考えはすごく怖い」と話しています。
これも謙虚な気持ちからではなく、素直な感想なのではないでしょうか。
巻も残留が決まった2006年のオフに、油断してしまったことがいけなかったと反省しています。
これに関しては、当時ブログでも何度か指摘していましたが、あの時はオフのサポコミの雰囲気が極めて緩く、そのままシーズンに入って案の定J2降格してしまいました。
今一番懸念すべきなのはそこではないかと思いますし、より危機感を持って戦うべきではないでしょうか。
特に来季はJ1から4チームも降格してくる分レベルが高くなることが予想されますし、逆に今季は降格がなかった分イージーだったところもあると思います。
近年のジェフは何度も失敗を重ねてしまっているわけですが、その大きな原因の1つにクラブの緩さ、甘さがあげられるのではないかと思いますし、その失敗の糧とするためにもこの成績に油断せずオフに進んでほしいという気持ちがあります。