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劇的な最終戦でフェルスタッペンがチャンピオンに!ホンダは勝ち逃げ!

 フェルスタッペンとハミルトンが、チャンピオンシップポイント同数で迎えた最終戦アブダビGP。
 良くも悪くも何かが起こるのではないかという予感はしていたのですが、それを上回る驚きの展開となりました。

 FP1ではフェルスタッペンが首位でスタートしましたが、FP2とFP3はここ数戦好調なハミルトンがリード。
 予選もハミルトン優勢かと思われたのですが、ここではフェルスタッペンが意地を見せました。
 Q2でミディアムタイヤをダメにしてしまい、ソフトタイヤスタートとなってしまったものの、最終的に0.37秒もの差をつけてポールを獲得します。


 しかし、決勝ではスタートで出遅れてしまい、ハミルトンに先を越されると、そのままハミルトンが逃げる展開に。
 追うフェルスタッペンは少しずつ離される苦しい状況で、ピット後のハミルトンにペレスがブロックするなどチームとして対抗しますが流れは大きく変わらず。
 そのままレース終盤に突入し、万事休すかと思われました。

 しかし、残り5周というとこで、ラティフィがクラッシュして、セーフティーカー導入。
 ここでフェルスタッペンはレース再開を期待してソフトタイヤに変更するも、ハミルトンはそのままコースに残ります。
 そして、残り1周というところでレースが再開すると、ソフトタイヤで優位になったフェルスタッペンがハミルトンを抜き去り、優勝でチャンピオンを決めました。


 ハミルトンとしてはセーフティカーが入った時点でタイヤを交換すると、フェルスタッペンがそれを見てタイヤを変えずに残ってしまい、順位が入れ替わる可能性があった。
 そして、もしセーフティーカー先導のままレースが終われば、フェルスタッペンが優勝となってしまう。
 逆にフェルスタッペンはタイヤを交換しても順位を下げないマージンを稼いでおり、ハミルトンの動きを見て判断できる状況にあったということで、セーフティーカーが導入された時点でフェルスタッペンが有利な状況に立たされていました。

 レース後、メルセデスセーフティーカーの件に関して、異議を出しています。
 1つはセーフティーカーがピットに戻った直後、まだ追い抜きが出来ない区間で、フェルスタッペンがハミルトンを若干追い抜いたこと。
 ただ、ハミルトンはその時コーナーで急減速しており、その結果フェルスタッペンが追い抜いたように見えたし、何よりこれで利益を得ていませんから、これは先に却下となりました。


 もう1つはレースを再開する前に、周回遅れのマシンを入れ替える手順があるわけですが、これに関しての異議でした。
 当初は順位入れ替えを行わない表示も出たため、視聴者も含め混乱を呼びましたが、これはクラッシュ時のパーツ回収のため遅らせるというだけだったのかもしれません。
 メルセデスはそこではなく、ハミルトンとフェルスタッペンの間にいた5台だけ入れ替え、その他のマシンを入れ替えなかったことが規則に反するという異議を申し立てた模様です。

 言われてみれば確かに違和感もありましたが、レース規則によると基本的にセーフティカー後の入れ替えなどは、レースディレクターの権限で決めることが出来ると書かれているだけに、規則違反とはならないでしょう。

motorsports.jaf.or.jp

 レースディレクター側としては、全車を入れ替えていたら、再開まで間に合わないと判断したのかもしれません。
 逆にメルセデスとしては、強引に再開させたことが問題であるという主張なのかもしれません。
 そこで気になるのが、以下の記事のこの部分。

www.as-web.jp

「以前から、“グリーンコンディション”(セーフティカー先導ではない状態)でレースを終えることが非常に望ましいという点で、全チームが合意していた」とも述べている。

 実際、セーフティカー先導のままレースを終えるのは良くないという話は以前に出ており、その時にチーム側と上記のような話し合いを持ったのかもしれません。
 さらにチャンピオンが決まるこのレースを、セーフティカー先導で終えるのは良くないという判断もあったのではないでしょうか。
 実際、F1を常に見ている者からすれば、なるべくレースを再開する方向で行くだろうなという予想は出来たシーンでした。


 確かにこれによって、ハミルトンとしては残念な結果となってしまいました。
 このレースで最速だったのはハミルトンで間違いないでしょうし、チャンピオンをほぼ手中にしていたことになります。
 それをハミルトン以外の問題で、失ってしまったことになるわけです。

 ただ、これがレースであり、スポーツでもあるはずです。
 このレースでチャンピオンシップの全てが決まったわけでもないし、ここに至るまでにはハミルトンに幸運が回ってきたことも、逆にフェルスタッペンが不運でポイントを落としたこともありました。
 最後の運・不運で決まるほどの接戦だったとも言えますし、それが怖いからこそしっかりとマージンを築く強さが必要だったとも言えるでしょう。


 ハミルトンはレース後も紳士に振る舞い、見事なルーザーだったと思います。
 ただ、フェルスタッペンも予選では圧巻の走りを見せていたし、最後まで諦めなかったからこそ、ソフトに切り替えることができた。
 最後はごたごたしてしまいましたが、両チーム、両ドライバー共に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたことには間違いないと思います。

 メルセデスの抗議なども含めて、多くの人が本気でぶつかり合うからこそ、最後は運で決まったようにも見えるこのレースも、1つの伝説として記録されるのだろうと思います。
 そこが世界レベルのスポーツの凄さでもあると思いますし、国内スポーツもより真剣に、より強くぶつかり合う必要があるのではないでしょうか。
 今のジェフにはそこが足りないようにも見えるわけですが、それはまた別の話。


 角田も最後の最後に、素晴らしいレースを見せてくれました。
 金曜日からチームメイトのガスリーを上回るペースを見せ、予選でも今季初勝利。
 そして、決勝でもガスリーを従えて、ベストリザルトの4位で終えています。

 これが今回だけなら偶然とも捉えかねないですが、シーズン終盤にタイムも上がってきただけに、周囲にも実力と見て判断されるでしょう。
 F3でもF3でも徐々に成績を伸ばしてきたドライバーですし、来季に大きな期待を残して終えることが出来ました。
 軽口を批判されることもありましたが、それも愛嬌だと見られることが増えてきましたし、F1村に残るためにはキャラクターも大事だと思いますから、非常に良い傾向なのではないでしょうか。


 最後に、第2期の30年ぶりのチャンピオンとなったホンダ。
 本当にここまで長かったですね…。
 第3期は期待されながらも散々な成績でスタートし、バタバタした運営も目立って、優勝は1度きりで撤退。

 しかも、撤退後に買い取られたチームが翌年チャンピオンになり、さらにそれを買収したメルセデスが後に王者として君臨してしまいます。
 第4期も散々エンジンが壊れるところからスタートし、ドライバーにも非難され、マクラーレンと喧嘩別れ。
 そこからようやくレッドブルに拾われて、そのメルセデスのハミルトンを下してドライバーズチャンピオンに輝いたわけですから、凄いドラマだと思います。


 これによってホンダは勝ち逃げすることになるわけですが、この30年ホンダはF1界で世渡りが下手というか、運営下手が目についていましたから、ようやくこれで1つ借りを返せたということになると思います。
 それでもまだ借りはたくさん残っているはずですから、本当ならF1に残ってここから巻き返すストーリーを見たいところでした。
 今からでも撤退を撤回してほしいところですが、そう簡単でもないのでしょうね。

 ただ、来年のレッドブルのPUはホンダから買い取ったものになる上、スポンサーとしてホンダが残るのではないかという噂も出ています。
 それはもうホンダPUでいいのではと思わなくもないですが、いずれにせよ残ったホンダPUにも頑張ってほしいところです。
 さらにホンダが育て上げた角田も、きっとホンダの遺志を継いで頑張ってくれるでしょう。


 今年は最後まで手に汗握るF1となりました。
 ここまで接戦となるシーズンは珍しく、さらにDAZNの影響もあって私の周りでもF1を見るサッカーファンが増えたように思います。
 ホンダや角田の活躍もありましたし、私としては素直に嬉しかったですね。

 ただ、来年はマシンのレギュレーションが大幅に変わるため、チーム間のタイム差が開くかもしれません。
 レギュレーション変更直後はチーム力が出やすいですし、ここまでの接戦にはならないのではないかと予想します。
 それでも新しい変化を見られるのは楽しみでもありますし、その中で角田や元ホンダPUがどこまでやれるのか見ていきたいですね。

 改めて、ホンダF1関係者の皆様、お疲れさまでした。
 ここまで悔しい思いをした方も大勢いらっしゃるでしょうが、それらの苦労がすべて今年の活躍に集約したのではないかと思います。
 視点を変えてF1ファンから見ればホンダの勝ち逃げは悔しくもありますが、30年分の悔しい思いをしてきただけに、最後くらいはずる賢く逃げてもいいのかもしれませんね。