2019年夏、G大阪から5年半ぶりにジェフに復帰した米倉。
その年は右SBでレギュラーとしてプレーしましたが、そこまで目立った活躍は出来ませんでした。
そして、2020年はレンタルから完全移籍に切り替えてジェフでプレーしますが、右SBでのスタメン出場は0。
右SHでのプレーが増え、トータルでは22試合に出場しますが、スタメン出場は6試合にとどまって、出場時間も1404分から808分に減少していました。
さらに2020年に右SB一番手だったゲリアも退団し、2021年は新加入の伊東などとポジションを争うこととなりました。
しかし、先日も話した通り、伊東はコンディションに問題があったのかフィジカルに難があり、結果的に開幕戦では米倉が右SBでスタートします。
その後、開幕戦から3戦勝ちなしとなったこともあり、一度米倉もスタメンから外されます。
けれども、転機になったのは3バックへの変更でした。
守備やSHとの連携を求められるSBよりも、前のスペースも空きやすく思い切って前に走り込んでいきやすいWBは、米倉に合っていたのでしょう。
右SBにコンバートしてブレイクした2013年も垣間見えるようなプレーで、攻撃を牽引しました。
当時の尹監督も、以下のような話をしていました。
soccermagazine.jp
指揮官は「選手の良いところを、両サイドのヨネ(米倉恒貴)やイツキ(小田逸稀)のスピードやパワフルさ、運動量を見ていたら、4バックより後ろを3枚にして、あの2人をサイドにしたほうがいいところを出せるんじゃないか」と説明。
実際にはこれだけが理由ではなく、4バックの守備の課題などもあったと思うのですが、確かに米倉や小田の前への強さを前面に押し出すには、3バックの方が適していたのかもしれません。
WBに起用された米倉は、スピードあるスプリントと、鋭いクロスで活躍。
5月23日の第15節町田戦では、見木のゴールもアシストもマークしています。
ただ、その試合までの約1ヶ月は負傷で離脱しており、その町田戦でも再び故障。
左内転筋付着部損傷で、全治8~12週間という診断を下されたことが、クラブから発表されました。
結局、復帰したのは、10月10日の第33節の町田戦。
しかし、その後はスタメン出場もなく、WBとしてコンスタントに途中出場を果たしていたのは、安田の方でした。
結局、年間の出場数も15試合にとどまっています。
WBの控えとして安田に後れを取っていたのは、安田の方が利便性に優れているという点が大きいでしょう。
安田は時折ポカもしてしまいますが、攻守に活躍できる選手である上、左右のサイドでプレーできるなど、柔軟性もある。
クロスの質も高く、スタミナには課題がありましたが、途中出場の選手としては優秀だったと思います。
一方の米倉は、ピーキーすぎるところがあると思います。
フィジカル能力は高いですが、細かな守備での足の運びやパス回しには課題がある。
安田も若い頃は違うタイプのやんちゃな選手でしたが、年齢を重ねて賢くプレーできるようになったところが大きかったのではないでしょうか。
また、シーズン終盤のジェフは、プレスとボール保持を中心としたチームになっていました。
怪我人などもあって結果的に右WBに入った福満は、特にボール保持の面で適したテクニカルな選手と言えるでしょうが、米倉はその真逆とも言えるタイプ。
それもあって、使いどころの難しい状況になっていた印象です。
米倉も3バック移行当初のように、WBがパワフルに仕掛ける状況ならまだ良かったのでしょうが、シーズン終盤のチームは違うスタイルになっていた。
改めて2013年の米倉の前を空けてスペースを作ってあげて、ガンガン前に走らせるサッカーは、正解だったんだなと思ってしまいます。
逆に言うと、それ以外の使い方だと、活躍するのは難しい選手とも言えるでしょう。
その問題と怪我が増えているという大きな悩みもあって、昨年で契約終了も止む無しなのかなとすら思っていました。
しかし、契約満了になったのは安田の方で米倉はチームに残ったということで、ゲリアが退団して米倉が残った前年も思い出してしまいますね。
それだけの長期契約を結んでいたのか、人気なども加味されたのか。
今年は1つ上にあたる船山と安田が退団したことで、5月に34歳を迎える米倉が新井章太と共に最年長の年となります。
最年長らしく、チームを引っ張り、チームをサポートできる選手となれるか。
そのためにも、周りに活かされるプレーだけでなく、周りを活かすプレーも学ばなければいけないと思いますし、ベテランらしい強みを見せられるように頑張ってほしいですね。