琉球戦でのジェフは左右シャドーが中央に絞って高い位置を維持する、3トップ気味の5‐2‐3のようなシステムで相手にプレスをかけていきました。
これまでも3トップ気味のプレスはやってきましたが、よりその時間が長かった印象で、強く意識して実施していったのかなと思います。
これによる一番のメリットは、1トップに入ったサウダーニャへの守備面でのフォローだと思います。
サウダーニャは守備に課題が多く、相手にいなされてしまうことが多い。
しかし、その近くで左右シャドーが献身的に守備をすることによって、2対1の数的優位な状況を作るなどしたことで、そこから守備が決壊せずに対応できていました。
さらに、3トップが中央で横並びになることで、相手のパスコースを限定していった。
これによって、ジェフは後方のボランチなどがパスを予測しやすい状況になり、縦パスが来ても前へと潰しに行けるようになった。
特に琉球はパスサッカーのチームで、グラウンダーのパスが多いため、3トップが前で張って相手後方からのコースを限定する守備が効果的だったのだと思います。
また、左右シャドーが中央に寄ることで、例えサウダーニャがかわされても、左右シャドーとボランチ2枚で相手を囲うことができた。
例えば、36分にはこのようなシーンが。
前半終盤に運動量が落ちてラインが下がり、全体的に見ればあまりいい状況での守備ではなかったですが、わかりやすいシーンということでここを取り上げました。
まずサウダーニャがプレスにもいかず、ポジション修正も少なく、簡単にパスコースを空けてしまいます。
そこを突かれる形で、琉球はCB中川からボランチ武沢へのパスを通したことに。
ジェフはラインが下がっているだけに、このエリアでボランチに持たれてしまうのは、良くない状況と言えるでしょう。
しかし、左右シャドーが中央に寄っているため、武沢は左右シャドーとダブルボランチに四方を囲まれるような状況に。
これによって、武沢は前を向けず、近くの選手にも繋げずに、サイドへと大きく展開。
最後は右サイドからのクロスが合わず、ジェフが琉球の攻撃を跳ね返す結果となりました。
このシーンでは琉球にジェフの薄いサイドを突かれたとも言えますが、低く位置したボランチの前でボールを持たれていたので、一番怖いのは前を向かれて中央へと繋がれることだと思います。
特に琉球はそこまで高さのある選手が多くないですし、基本的にはパスワークのチームですから、クロスよりも中盤からパスワークで崩されるのが嫌な相手だと思います。
それを凌いげたのも黄色いエリアで示した通り、中盤の4人が中央でコンパクトにまとまって、相手を囲い込んだからでしょう。
琉球とすれば、試合を通してもっと冷静に後方で左右へ揺さぶり、ジェフの守備を分散してから中央へと繋ぎたいところだったのではないかと思います。
左サイドからはほとんど攻め込めませんでしたし、無理な縦パスからのボールロストが目立つ試合となっていた印象です。
ただ、それも中央にいるサウダーニャの守備が怪しいので、つい中央から強引に縦パスを出したくなってしまい、結果的にミスが増えたのかなとも感じました。
一方のジェフはシャドーが中央に絞る分、サイド前方が空きかねませんでしたが、そこは左右シャドーがスライドして対応していました。
前へプレスに左右へのスライドにと、高木と見木の献身的な守備の貢献は非常に大きかったと思います。
ただし、その分シャドーには負担が大きくかかるでしょうし、そこが今後どう影響を及ぼすのか。
また、サウダーニャの守備に不安があることには変わりないですので、今後そこを狙われる可能性は十分にあるでしょう。
琉球はサウダーニャをかわしたところからの縦パスや、その後の展開でミスが多かったですが、相手によってはそこを逃さないチームもあるかもしれない。
遠くに琉球の場合、パスサッカーを展開しているチームだからこそ中盤中央を固める守備に弱く、アバウトなボールでそこをかわすことも出来ませんでしたが、そうではないチームにどこまでやれるのかも見ていきたいところですね。