尹監督「バイタルエリアにチャレンジしていかなければならなかった」

 前節に限らず、ボールを持っても攻めぐねて苦戦する試合が多いジェフ。
 象徴的だったのが、試合後にも話した大宮戦64分のシーンでした。

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 この前のシーンで、チャンが持ち上がり田口に横パスを出しますが、このパスが弱く田口はアンカー大橋にチェックをかけられます。
 これによってチャンに戻したパスが精度を欠き、チャンは右SH高田のプレスをかけられて、ボールを奪われかけます。
 ここまでのビルドアップには、問題があったと言えるでしょう。

 しかし、何とかチャンが粘って、高田のプレスの逆を取ります。
 大宮の他選手は高田がボールを奪い切れると見て、カウンターに打って出ていました。
 右SB茂木、右インサイド三門などが攻撃に転じましたが、高田が奪い切れなかったため、結果的にジェフはその裏を突ける展開となります。


 遅攻を続けても攻め切れなかったジェフとしては、カウンターに近い攻撃となる絶好の機会に。
 ジェフは見木がボールを持った時点で、サウダーニャと高木がゴール前で裏へと動き出し、末吉も左前方でぽっかりと空いていました。
 対する大宮の守備陣はCBの田代と西村、左SB小野、右インサイド矢島しかいなかったため、4対4で攻撃を仕掛けるチャンス。

 しかし、見木が選択したのは、中央へのバックパス。
 田口が受けてミドルシュートを狙いますが、トラップもあわず大きく外れてしまいました。
 最後はシュートミスではありましたが、そもそもその前に4対4で仕掛けられる状態で消極的なパスを選択してしまい、結果的にそれまでの流れと変わらず、ミドルシュートで終わってしまったことが残念なシーンだったと思います。

 単純に見木の選択ミスと言えば、それまでかもしれません。
 左サイドの末吉に繋いでクロスという展開も狙えたし、素早くパスを出せればサウダーニャの前方も空いていたので、スルーパスもあり得たと思います。

 しかし、昨年からチームとしてミドルシュートを狙う意識が非常に高いため、1つ後ろを選択してしまった可能性もあるのではないでしょうか。
 この試合でも、前半から何度もミドルシュートを放つシーンが目立っていました。
 その結果、昨年からチャンスは作れていないわりに、シュート本数だけは多い試合が多い状況です。


 けれども、サッカーにおいてミドルシュートという選択は、決して確率の高い攻撃とは言えないでしょう
 特にポゼッション率が高くて相手が後方を警戒している状況では、ミドルのシュートコースも狭くなっていることが多い。
 シュートの距離も長くなるし攻撃が単発で終わることにもなるので、「とりあえず打て」という発想がいまだに根強いですが、他の選択をした方が確立が上がることだって十分にあり得ます。

 オシム監督が日本代表時代、中村憲剛がシュートの選択をしたところで怒ったという話も有名ですね。
 尹監督は試合後「バイタルエリアにチャレンジしなければいけなかったが、外でボールを回すだけになってしまった」と話しています
 確かにCBとボランチの間であるバイタルエリアで前を向ければ、スルーパスも楔のパスも出せるし、シュートやドリブルも狙えるし、サイドへも展開できるなど選択肢が多く相手が止めにくい状況になります。


 しかし、現状だとバイタルエリアを取っても、ジェフの選択はミドルシュートに偏っている。
 これでは例えバイタルエリアに侵入しても、選択肢が増えるというメリットはなく、チャンスも生まれにくいでしょう。
 問題はバイタルエリアを取ることではなく、そこから先のゴール前へどう侵入していくかではないかと思います。

 図の黒いエリアで示した通り、確かにゴール前は窮屈で、その1つ前の黄色いエリアにはスペースがあった。
 しかし、サッカーにおいてゴール前が窮屈になるのは当たり前ですし、現状だとそこから逃げてバイタルエリアを選択することが多いように見えます。
 それでは「外でボールを回すだけ」な状態、本質的にはあまり変わりないですし思いますし、バイタルエリアではなくいかにゴール前に迫っていくかを明確にすることが重要ではないでしょうか。