首位仙台相手の試合となりましたが、リーグ戦2連勝中のジェフはしっかりと戦い2‐0で勝利となりました。
前半途中までは仙台の強さも感じましたが、後半序盤に2連続ゴールを決めると、後は逃げ切り。
最後は仙台の攻撃に勢いもなく、ジェフは粘り強く守り続けました。
前半途中に鈴木大輔が負傷交代したジェフは、ブワニカを投入し4‐4‐2に変更。
しかし、守備時のポジショニングも落ち着いていましたし、4バックの準備はしていたのではないでしょうか。
むしろシステム変更に戸惑ったのは仙台だったように思いますし、ゴールシーンでレオンソとブワニカがクロスに飛び込めたのも、2トップだからこそとも言えるでしょう。
ジェフは序盤からボランチが大きく左右に振る展開を作り上げ、仙台の守備を揺さぶっていきました。
コンパクトに守るチームに対してサイドチェンジで攻撃を狙っていく展開は、昨年から得意としている形ですね。
セットプレー以外からゴールが生まれたことも、大な収穫ではないでしょうか。
チームに勢いを感じる流れになりつつありますが、一方でこれだけ怪我人が多いと、何か問題があるのではないかとさすがに心配になるところもあります。
接触プレーによる怪我なら仕方ない部分もあると思いますが、足が釣るなど筋肉系のトラブルが多くなっています。
ここ数試合だけの問題ではなく、新型コロナウイルス陽性者が出た時期も、その陰に隠れて複数の怪我人が出ていましたし、長く続いていることになります。
ただ、一方でこの日もブワニカや西久保が活躍するなど、代わりに入った若い選手たちが活躍しています。
若手の活躍がチームの勢いに繋がることも多いですし、停滞した空気感を変えてくれることもある。
若手の成長によって、チームの底上げも期待したいところではないかと思います。
■仙台ペースも4バック変更から流れが変わる
ジェフは負傷した米倉と佐々木がメンバー外、ブワニカがサブで、チャン、熊谷、西久保がスタメン復帰。秋山が契約のため出場できず、サウダーニャも外れて、谷口、小林、川又が控えに。
仙台は天皇杯で得点をあげた加藤、フォギーニョがスタメン。
富樫と鎌田大夢が控えに回って、遠藤が右SHからトップ下に移りました。
元ジェフ若狭とジェフアカデミー出身氣田は、スタメン継続中です。
序盤は仙台ペース。
仙台はセカンドボールを拾う形をうまく作り、そこから鋭く縦へ仕掛けていく。
ジェフは仙台の早い寄せに苦労し、ボールをうまく繋げないシーンが目立ちます。
9分、仙台のチャンス。
右サイドからのFK。
中島が蹴ると、新井がはじきますが、こぼれを拾って遠藤が狙うもゴールの右。
14分、ジェフの攻撃。
見木からのパスを左サイドでレオンソが受け、福満が左足でクロス。
これは精度を欠きますが、新井一耀が右サイドを駆け上がってシュートを放つも相手DFがブロック。
15分、仙台の素早い攻撃。
内田からの縦パスを氣田がワンタッチで落とすと、遠藤がワンタッチクロス。
皆川が飛び出しシュートを狙いますが、合わせきれず。
22分、鈴木大輔が足を痛めて倒れ込み、ブワニカが入りました。
レオンソとブワニカの2トップによる、4‐4‐2になりました。
前半途中から、ジェフがボールを持つ時間が伸びていきます。
28分、ジェフの攻撃。
セットプレーの流れから、ジェフがボールを拾って熊谷が縦パス。
新井一耀が繋いで、チャンがシュートを狙いますが、GK小畑の正面。
47分、仙台の攻撃。
遠藤のキープから、フォギーニョが右サイド前方に展開。
加藤が仕掛けてシュートを放ちますが、GK新井がセーブ。
前半途中からはジェフがボールを持つも、チャンスを作れず。
仙台も虎視眈々とカウンターを狙ってきますが、スコアは動かず折り返します。
■GK新井のファインセーブもあり2‐0で勝利
後半開始と同時に、仙台は皆川を下げて富樫を起用。48分、ジェフが先制。
福満からのサイドチェンジを受けた西久保がクロスをあげ、レオンソのこぼれをブワニカが合わせて1‐0。
49分、仙台の攻撃。
平岡からの縦パスを富樫が下がって受けて、ワンタッチで前方へ。
加藤が走り込んでシュートを放ちますが、GK新井の正面。
51分にジェフが追加点。
レオンソがピッチ中央で、相手に囲まれながらスルーパス。
これを受けて抜け出した見木が、GKとの1対1を決めて2‐0。
58分、仙台は遠藤、中島を下げて、中山、吉野を投入。
64分、仙台の決定機。
直接FKの流れから、フォギーニョが至近距離でヘディングシュートを放つも、GK新井がファイセーブ。
65分、仙台は加藤に代えて鎌田を投入し、そのまま右SHに入りました。
2点を失った仙台が、攻め込む展開が続いていきます。
ジェフは運動量も落ちて、全体のラインも低くなっていきました。
71分にも仙台の決定機。
左サイドから氣田が仕掛けていきグラウンダーのクロス。
中山が受けてシュートを放ちますが、ここもGK新井がナイスセーブ。
75分にも仙台のチャンス。
鎌田が右サイドをキープして、若狭がフリーでクロス。
富樫がフリーで合わせますが、ジャストミートせず。
その直後、平岡を下げて間瀬を投入すると、若狭がCBに移りました。
77分、西久保が痛めて矢口を投入。
そこからジェフは完全に守備に専念する戦い方になっていきます。
しかし、仙台も疲労の影響か、攻撃の勢いが上がらない状況に。
ジェフは粘り強い守備を続けます。
93分、ジェフはレオンソとブワニカを下げ、ソロモンと佐久間を投入し2‐0で逃げ切りました。
■4バックの効果も出て流れが変わった試合
仙台はパスワーク時に近くの選手が広がることが少なく、近距離でパスを受ける動きをしていたのが興味深かったです。それによって、相手の守備が来ても近くに預けて小さなギャップを作り、そこからパスやドリブルで縦へ繋いだり展開したりといった狙いがあるのではないでしょうか。
結果的にショートパスとロングパスのターゲット2つを作る形にもなりますし、縦に繋いだ後のフリックが多かったことも同じ意図があるのかもしれません。
トップ下に入った遠藤が狭い局面で受けてポイントを作る攻撃も、小さなギャップ狙いと言えるのかもしれません。
遠藤は狭いエリアでもキープできるだけでなく、アジリティもあるので前を向けることが大きいですね。
特に試合序盤のジェフは、その遠藤を止められずに苦労していました。
しかし、鈴木大輔の負傷から4‐4‐2のシンプルな3ラインにしたことで、ジェフは守備の間が少なくなった。
5‐4‐1だとシャドーが前に行くことも多いので、状況次第では5‐2‐3になってしまい、中盤にスペースが出来てしまうことも多い。
これが4‐4‐2になったことで、SHが無理に前に出ていく必要も少なくなり、中盤から前の人数も増えて、遠藤などに中盤でボールを持たれる回数が減ったように思います。
さらに仙台はサイド攻撃も多いチームですが、そこに対しても4‐4‐2の方が対応しやすかった。
その分、自陣ゴール前は薄くなってしまうわけですが、そこはGK新井の活躍もありましたし、全体的に粘り強く対応できました。
ブワニカ、西久保、矢口など、若い選手たちの守備での頑張りも効いていたと思います。
序盤はむしろ仙台の方が球際に強く、セカンドボールへの対応も早く、そこでもジェフが後手を踏んでいたと思います。
仙台は他のJ2チームと違って、対面した時にコースを消すだけでなく、そこからグッと前に出てくる力強さがあった。
そこでボールを奪わることも多く、前に出てくる分パスコースも狭くなって、ジェフのパスミスも目立っていました。
これがJ1レベル相当の寄せの強さなのかとも思ったのですが、気温の影響もあったのかアウェイだからか、それが90分は続かなかった。
序盤からボランチへの守備は甘く、田口がサイドチェンジを連発していましたので、それによって揺さぶられて疲労が出たのかもしれない。
それが試合終盤にボディーブローのように効いて、最後の攻撃の勢い不足にも繋がったのかもしれませんね。
ジェフとしては前節までのように圧力で押し切って、常に主導権を握ったわけではありません。
しかし、そういった試合でも勝てたことは大きかったのかもしれませんね。
正直攻撃の質には課題も感じていただけに、2ゴールは出来過ぎにも思えるところもありますが、そこは仙台の守備の課題と若い選手たちの勢いも味方につけたのかもしれません。
今回は4バックの良さも出たのですが、あくまでもスクランブルですし、怪我人次第でまた3バックに戻すことになるのでしょうか。
怪我明けのチャンは若干元気がないようにも見えましたし、4バックだとシンプルに前線勝負を仕掛けられた時に、CBの部分で苦労することもあるかもしれません。
3バックにも4バックにもそれぞれメリット・デメリットがあるでしょうから、今後どういった選択をするのかにも注目ですね。