サウダーニャから思う若手外国籍選手売買に必要な"見切り"

 サウダーニャが、中国1部のクラブにレンタル移籍することとなりました。
 ジェフの公式サイトには成都銭宝と書かれていましたが、Twitter情報によるとこのクラブ名は間違いで、正確には成都蓉城に移籍するそうです。
 調べたところ、確かに成都銭宝は2018年に無くなっているようで、それを引き継いだのが現在の成都蓉城となるようですね。

 成都蓉城は今季中国1部に昇格したばかりのクラブ。
 得点力不足に悩んでいるとのことですから、それもあっての補強なのでしょう。
 尹監督が鳥栖で指導したキム・ミヌも所属しているとのことで、そこの繋がりもあったのでしょうか。

jefunited.co.jp

 サウダーニャの退団に関してはそこまで驚くことではなく、むしろ昨年末の段階でレンタルから完全移籍に移ったことが驚きでした。

 サウダーニャの昨年の成績は、31試合出場で3ゴール。
 31試合というと聞こえはいいですが、そのうちスタメンは15試合で16試合が途中出場。
 しかも、スタメンのうち、13試合は加入当初の試合でした。


 3ゴールに関しても、初出場から5試合のうちに決めたもの。
 シーズン途中からはほぼスタメン出場がなく、最終節に突如スタメン起用されましたが、これは退団の決まった船山を外したもので、来季を見据えたものだったのかもしれません。
 船山はジェフに長らく在籍していた選手ですし、尹監督はなかなか非情な采配をしたことになります。

 Football LABのデータを見れば一目で分かるように、加入1年目のサウダーニャは右肩下がりで成績を落としたことになります。

www.football-lab.jp

 特にジェフにとって重要だったのが、昨年終盤の13戦無敗だったわけですが、その間のスタメンは2試合のみでゴールもアシストも記録できていません。
 その頃のジェフはソロモンを前線に起用してハイプレスで戦うパワー系のサッカーをしていたわけで、守備の出来ないサウダーニャには全く合わないスタイルだったはずです。
 ソロモンに主力の座を奪われて終わっていたとも言えるだけに、昨年末の段階で5000万円以上とも言われる移籍金を支払ってまで、完全移籍で獲得すべきなのか疑問に感じていました。

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 そして、今年もシーズンの3分の2を過ぎたところで、16試合1ゴールの成績にとどまっています。
 本人の怪我などもあったとはいえ、スタメンはコロナなどの影響で多数の離脱者が出た時期を含めて3試合のみ。
 右肩下がりの傾向は、変わらなかったことになります。


 なぜ右肩下がりになってしまったのか考えると、単純にドリブル突破を読まれてしまったからでしょう。
 ドリブルしかない選手はデビュー当初は活躍できるもののその後は失速するケースが多く、サウダーニャも昨年後半からはボールを失う場面の方が目立っていたと思います。
 相手とすればドリブルで抜かれさえしなければ怖くなく、動きを遅らせて囲えばいいだけなわけで、オシム監督が口酸っぱく「選択肢を増やせ」、「エゴイスティックなプレーをするな」と指導していたのもそういった理由でしょう。

 さらにサウダーニャの場合、空中戦が非常に弱いことも致命的でした。
 ゴール前で体を張れないから前線で起用しても得点に結びつかないし、中盤で起用してもパスを繋ぐ動きが出来ず守備も出来ない。
 結果的にFWとしてもMFとしても中途半端で、使いづらい選手だったと思います。


 それでもサウダーニャを残したのは、尹監督の攻撃作りに課題があるので、個人技で突破できる選手を残しておきたかったということでしょうか。
 しかし、サウダーニャでは事足りず、リカルド・ロペスを獲得したのかもしれません。
 ただ、リカルド・ロペスは年俸が高いという話もあるので、レンタルではサウダーニャの給料分程度にしかならないでしょうが、少しでも費用を浮かせるためサウダーニャ放出となったのかもしれません。

 なお、リカルド・ロペスはいまだに登録が完了しておらず、自身のインスタを見るとまだブラジルで調整中の模様です。
 以前取り上げましたが、一時Transfermarktには上海海港との契約が8月末までと書かれていたため、契約が満了してからか、ぎりぎりまで引っ張って登録するのかもしれません。
 Jリーグの移籍ウインドウは今週末までですが、フリーな選手であればその後も獲得が可能となります。

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 サウダーニャに関しては、日本よりも中国や韓国の方があっているのかもしれませんね。
 最近、偶然読んだ小林祐希のインタビューに、こんな話が出ていました。

news.yahoo.co.jp

韓国に来る前は、ボールを保持してポゼッションを高めてゴールに迫るサッカーをすると思ってチームに来たのですが、裏に蹴って走るようなサッカーをしているので正直、戸惑いがありました。

 韓国では中盤を飛ばして裏に蹴るサッカーが今でも多いようで、中国も外国人選手を頼って中国人選手で守るサッカーが目立っているようです。
 日本では中盤で繋いだりプレスをかけたりといったプレーが求められますが、中国などであれば裏に走って仕掛けるスタイルである程度やれるかもしれない。
 だからこそ、ジェフでも鹿島でも活躍できなかったジャイールのような選手がKリーグで活躍し、逆にKリーグで成功したリカルド・ロペスに若干の心配があるわけですが。


 一方でジェフは若い外国人選手を獲得して活躍させ、移籍金を獲得する狙いがあることを新体制発表会で明らかにしています。
 しかし、このままいけばサウダーニャで移籍金を獲得するのは、難しい状況かと思います。

archive.jefunited.co.jp

 ちなみに、上記はジェフ公式サイトのアーカイブから探してきましたが、直で行くとNot Foundが出てしまうのでどうにかした方がいいと思います。

 現実問題としてブラジルで本当に将来有望な選手は、世界中のスカウトがチェックしているでしょうし、獲得も簡単ではないのではないでしょうか。
 ジェフは予算も世界規模で言えば小さいクラブだし、ネームバリューがあるわけでもない。
 大きな夢を持つブラジル人選手からすれば日本の2部チームは遠回りでしょうし、以前の新潟のような成功例は有名な代理人がついていて、それなりのお金も支払っていたはずです。

 そもそもとして、ジェフの場合は日本人選手すらも育てきれていないのですから、ブラジル人選手を育てることはより難しい状況ではないかと思います。
 それでも若い外国籍選手を狙うのであれば、長い目で成長を見守るスタンスとは全く逆で、素早く"見切り"をつける姿勢が必要なのではないかと思います。
 移籍金を本気で狙うのであれば2,3年でジェフを卒業してもらわなければ困るわけですし、ジェフで育つのを待つのではなく、タイプ的に日本のサッカーとガッツリと噛み合って、いきなり活躍するような選手を探さなければ厳しいでしょう。


 ただ、今年途中に獲得したレオンソは29歳、リカルド・ロペスも31歳とベテランですから、若手外国人補強プランはもう諦めたのかもしれません。
 あとはクラブとして、どう将来像を描くのかですね。
 今年は尹監督3年目でやり切るためにベテラン外国籍選手を補強したのかもしれませんが、また来年になれば状況も変わってくるかもしれない。

 まずは難しいことは狙わず地に足を付けたチーム運営というものが、今のジェフには必要ではないでしょうか。
 アカデミーや若い選手たちをスカウトして、しっかりと育成をして、チームの基盤を作ること。
 そこが一番足りていない部分ではないかと思いますし、来年以降の正常化が求められるのかもしれません。