ジェフの9月初めての試合は、新型コロナウィルス陽性者が多数出て、2試合延期となっていた長崎が相手。
メンバーも大きく変わり、コンディション面でも苦労はあったのではないかと思います。
それでも、ジェフはこの試合を落としてしまいました。
この試合を決めたのは、ゴール前での攻撃の質だったと思います。
ジェフもアタッキングサードまでは持ち込む回数が多かったものの、そこからの展開がアバウトだった。
アーリークロスからの展開が多いので、どうしても正確なシュートチャンスまで作れない。
一方の長崎は、ゴールに向かう形が明確に作れていたと思います。
ポストプレーから近くの選手が前を向いたり、裏を取る形を狙ったり。
1対1を作って1人はがして前を向く狙いも明確で、ゴールへのベクトルが共有されていた印象でした。
カリーレ新監督はセレソン監督候補とまで言われていたそうで、さすがのチームビルディングということなのでしょうか。
一方でジェフはこういった接戦で勝てないと、先を期待しづらいところがありますね。
特に長崎はプレーオフのライバルだったわけですが、その割には工夫なくあっさりと負けてしまった印象があります。
■途中からジェフがボールを持つも0‐0で折り返し
ジェフは甲府戦で負傷した佐々木が全治6~8か月と発表。末吉もメンバー外で、秋山がスタメンに復帰。
控えからは風間が外れ、特別指定の新潟医療福祉大FW小森が入りました。
コロナ陽性者が多発し2試合延期となった長崎は、大幅にメンバー変更。
スタメンCBは特別指定の21歳白井と清水からレンタル中の19歳菊地が入り、どちらもリーグ戦プロ初出場で、元ジェフ高橋も5月のジェフ戦以来のスタメンになりました。
GK原田、櫛引、二見、米田、植中などが不在で、村松、江川、加藤大、エジカル・ジュニオなどもベンチスタート。
立ち上がりは長崎は積極的に前に出ていき、攻撃を仕掛けていきます。
しかし、ジェフも積極的なプレスから徐々に押し返し、セットプレーからチャンスを伺います。
5分にはジェフが中盤の長い距離で得たFKを田口が直接狙いますが、ゴールの左を逸れます。
23分、ジェフの攻撃。
右サイドの西久保からアーリークロス。
ブワニカが競り勝って足元で狙いますが、角度はなく枠の外。
26分には長崎の攻撃。
都倉のポストプレーから澤田が受けて、クレイソンへ。
クレイソンがミドルシュートを放ちますが、田邉にあたって終わります。
35分にも長崎のチャンス。
田口がボールを奪われたところからカウンター。
澤田が仕掛けてシュートを放ちますが、ゴールの左。
39分、ジェフの攻撃。
秋山のアーリークロスを、ファーのブワニカが頭で落とします。
引いた位置にいたレオンソがミドルを狙いますが、大きく外れます。
25分頃からは、ジェフがボールを持つ時間が長くなっていきます。
しかし、長崎もカウンターをいくつか作り、どちらに転んでもおかしくないといった展開に。
試合は動かずに折り返します。
■終盤に攻め込むも1点を奪えず0‐1で敗戦
後半に入っても一進一退の展開。54分、ジェフのチャンス。
1人で田邉が中盤から持ち上がり上げたクロスは合わなかったものの、相手のクリアミスをレオンソが拾ってシュートを放ちますが枠の外。
しかし、その直後、長崎が先制。
ジェフがハイプレスをかけるも縦に繋がれると、クレイソンが中盤の右でキープして裏へスルーパス。
都倉が田邉の裏を取ってGKと1対1になり、左足で流し込みゴール。
58分、ジェフのチャンス。
ダニエルからのアーリークロス。
中央では合いませんでしたが、流れたところを西久保が狙うもGK富澤の正面。
63分、長崎はクレイソンを下げて、加藤を投入。
67分、ジェフはレオンソ、ブワニカ、秋山を下げて、ソロモン、リカルド、福満を投入。
失点後はジェフが勢いを持って攻めて行きましたが、徐々に運動量が落ちて長崎ペースに。
70分、長崎の攻撃。
加藤と1‐2で抜け出した、澤田が左サイドからクロス。
ファーで受けたクリスティアーノが狙いますが、枠を捉えきれず。
72分、長崎は鍬先、高橋を下げて、エジガル・ジュニオ、村松を投入し、加藤がボランチに下がりました。
77分、ジェフは西久保、小林を下げて、米倉、小森を投入。
ジェフは4バックで新井一耀が右SB、福満が左SB、見木がボランチで、小森とソロモンが前線に。
80分、長崎は足を釣った都倉、澤田を下げて、山崎、江川を投入すると、3バックに変更。
試合終盤は長崎の運動量が落ち、ジェフが攻め込み続ける展開。
しかし、なかなかシュートチャンスまで作れず、0‐1で敗戦となりました
■チームの伸び悩みも感じる難しい状況に
長崎はカリーレ監督に代わって、やはり攻撃の形が変わった印象ですね。中盤や後方でも1対1になったら一人はがして前を向こうという姿勢は、ブラジル人監督らしいスタイルではないかと思います。
相手を引き付けてはがして前へというプレーが多いので、ジェフとしてはプレスをかけやすくもあったかとは思いますが、長崎はそこでかわせれば一気に前へ展開できるという発想なのでしょう。
また、ゴール前では味方同士の距離感が非常に近い。
そこでスイッチしたり、ポストプレーから前を向かせたりといったコンビネーションプレーで、相手を崩そうというサッカー。
シンプルな攻撃の多かった松田監督体制では、あまり見られなかった形だと思います。
失点シーンでもクレイソンが中盤でジェフの守備をかわして、裏を取ったところからということで、狙い通りだったのではないでしょうか。
ジェフのハイプレスを裏を取った形となりましたが、長崎はジェフがプレスに行っても常にそこから逃げずにかわして裏を取ろうという意思を感じました。
ジェフのプレスの甘さも感じたシーンでしたが、長崎の一貫したスタイルが実になったシーンでもあったと思います。
一方でジェフは、そういった狙い通りのゴールというのが、流れの中で少ないですね。
アバウトなクロスやミドルシュートが多いので、どうしても正確性に欠くところがあるし、攻撃回数が多くてもシュートに行けないところがある。
前節仙台戦も2‐0で勝利したとはいえ、ゴールはセットプレーからの2得点でした。
やはりここから上に行くためには、流れの中からの攻撃を作れないと更なる成長は厳しいように思います。
いかに前からプレスをかけ、ボールを握れたとしても、ゴールがセットプレーからだけでは期待薄。
長期的に見たチームとしての成長という意味でも、伸び悩みを感じるところがあります。
それでもまだプレーオフの可能性は残っていますし、ここから出来る限りもがいてほしいところ。
それが何らかの形で次につながるといいですね。