昨日、今季限りでの尹監督の退任が発表になりました。
昨年終盤はハイプレスで好成績を上げましたが、今季は新たな変化も少なく伸び悩みも感じていただけに、決断は妥当かなとも思います。
しかし、発表のタイミングが思ったよりも早いですね。
ただ、考えてみればW杯が11月にある影響で、今季も残り8試合と早くもシーズン終盤。
例年に比べると1ヶ月以上早いわけで、これが10月の発表だったら、そこまで意外でもないのかもしれません。
いつもなら9月上旬だとまだ来季も先の話と感じますが、今季は切り替えて考えないといけないですね。
それでも退任発表の段階で6位までの勝点差が6と、まだプレーオフの可能性は残されていただけに、時期というよりは昇格の可能性という意味で意外なタイミングだったかなと思います。
しかし、順位は12位ということで多くのチームを追い抜かなければ6位以上は難しいこと、ジェフより上に消化試合の少ないチームが複数あることもあって、勝点差以上にプレーオフは遠いと判断したのでしょうか。
当然ここ数戦の結果や内容も加味したのかもしれませんし、カンフル剤的なものを求めた可能性もあるのかもしれませんが。
時期に関して前向きに考えれば、来季への準備を早期に進められることがメリットとして考えられるのかもしれません。
すでに監督候補のめどもたっているのでしょうか。
来季は鈴木GM監督体制になって初めての新監督ということになりますし、鈴木GMの真価を問われるのは来年だとも思いますから手腕に期待したいところです。
さて、試合の方は、対金沢6連勝中の相性の良さが出た試合だったと思います。
やはり金沢はマンマーク主体なので、1対1が作りやすい。
そこで個人能力の差が出て優位に立てるところが大きいのではないかと思いますし、今回の金沢は連戦の影響も響いて動きが重い印象でした。
一方のジェフは、高木が復帰したことが非常に大きかったと思います。
攻守に周りをサポートし、右足の精度も高く、運動量豊富に動いて攻撃を活性化することが出来る。
今のジェフには少ないタイプだと思いますし、非常に効果的にボールに絡めていましたね。
チーム全体でいうと攻め込んだ割には今回もゴールは遠かったですし、試合終盤は守備の甘さも目立ちました。
しかし、尹監督退任発表後の初戦で勝てたということで、これで勢いに乗っていけるのでしょうか。
■前半途中から押せ押せの展開も得点奪えず折り返し
ジェフは高木がスタメンに復帰。ソロモン、チャンもスタメンに戻り、レオンソ、ブワニカ、ダニエルが控えに回りました。
ベンチからはリカルド・ロペスが外れています。
火曜日に長崎戦をこなした金沢は、松田陸がメンバー外
杉浦恭平、小野原が控えに回り、豊田、嶋田、庄司がスタメン復帰。
大石が右WB、長峰が左WBに入る5‐3‐2のような守備で、攻撃時は右CB松本も上がり4バック組になる変則的なシステムになりました。
立ち上がりは金沢のペース。
粘り強い守備とサイドチェンジからの攻撃で、チャンスを狙ってきます。
ジェフはプレスには行くものの、攻撃で前に持ち込めない状況に。
11分には金沢の攻撃。
右サイドからのCK、中盤でこぼれ球を松本が拾ってミドルシュートを放ちます。
しかし、チャンにあたって、GK新井が対応。
徐々にジェフの時間が増えていき、16分にはジェフの攻撃。
中盤の高い位置でボールを奪うと、小林がソロモンへ縦パス。
ソロモンがミドルシュートを放ちますが、GK白井がセーブ。
22分、金沢は見木のスライディングを受けた松本が負傷し、黒木を投入。
この前後から、ジェフが攻め込む展開が続きます。
試合の入りは良かった金沢ですが、細かなミスが目立ち、守備でもズルズルと下がっていきました。
26分にはジェフの決定機。
西久保のロングスロー。
GK白井がファンブルすると、こぼれたところを見木が狙いますが、相手DFがクリア。
31分にもジェフの決定機。
右サイドで受けた、高木からのシンプルなアーリークロス。
ソロモンが相手に競り勝ちヘディングシュートを放ちますが、バー直撃で終わります。
34分にもジェフの攻撃。
左サイドを上がってきた田邉が、中盤で中央へパス。
フリーになっていた高木が長い距離のシュートを放ちますが、バーの上。
その後も、ジェフが攻め続けます。
金沢は前半終盤から、早くも運動量も落ち防戦一方に。
しかし、ゴールは決めきれず、前半で折り返します。
■得点後は試合が落ち着くも1‐0で勝利
劣勢の金沢は、ハーフタイムに嶋田を下げ平松を投入。47分、ジェフの攻撃。
CKの流れから、右サイドの高木がアーリークロスを送ると、新井一耀がニアで合わせますが、GK白井がセーブ。
56分、ジェフがようやく先制。
チャンからの縦パスを受けたソロモンがヒールで前方へ送ると、高木が縦へ仕掛けてマイナスのパス。
西久保がグラウンダーのクロスを供給すると、見木が触ってゴール。
63分、金沢は大石を下げて小野原を投入。
67分、ジェフは高木を下げて小森を起用。
先制後は試合が落ち着き、ジェフが守る時間も増えていきますが、金沢のミスも目立つ流れに。
72分、金沢の攻撃。
中盤の高い位置で、小野原が小林をかわして縦パス。
松本がバイタルエリアで受けると、ミドルシュートを狙いますが、GK新井の正面。
73分、金沢は豊田、林を下げて、杉浦、丹羽を投入。
75分、ジェフは西久保、秋山に代えて、米倉、福満を起用。
85分、ジェフはソロモン、見木を下げて、レオンソ、ブワニカを投入。
試合終盤はジェフも甘い守備が目立っていきます。
89分には、金沢の黒木が右からクロス。
ニアで杉浦がフリーになって受けますが、ここもコントロールミスしジェフが1‐0で逃げ切りました。
■課題も感じるもそこを乗り越えての勝利
金沢の守備は、変則的な5‐3‐2でスタートしました。2トップの林が左ウイング気味に。
中盤の嶋田が右ウイング気味になる形で、特にジェフの左サイドからの攻撃をケアしようとしていたのかもしれません。
試合序盤の金沢は積極的に前へプレスに行けたので、その形がハマっているようにも見えました。
しかし、攻撃でのパスミスが目立ち、徐々にリズムが悪くなっていった。
さらに、連戦ということもあって、前半途中から早くも運動量が落ちていた印象です。
金沢の守備は基本的にマンマーク。
しかし、マンマークで前の選手が守備にいけなくなると、ジェフの後方選手は攻撃参加しやすくなるわけですから、そこで数的優位が簡単に生まれてしまう。
単純に1対1でジェフが勝っていたというだけでなく、走力がベースになると厳しい戦術なだけに、連戦は厳しかったのかもしれません。
変則的なシステムで対応しようとしていたジェフの左サイドも、末吉と見木だけでなく、田口や田邉がサポートに行く。
それに対して、金沢の守備陣は少しずつ対応が遅れて、誰がマークに行くのか、迷いを感じる状況になっていました。
マンマークで誰へ守備に行くのかはっきりしないというのは、致命的な状態ですね。
さらに、5‐3‐2で嶋田が右サイド前方に行くため、中盤中央や逆サイドが空きやすい。
そこをジェフの司令塔である田口が自由に使えたので、ジェフとしては伸び伸びと攻撃が作れていたと思います。
そのため、高木や西久保が空きやすい状況になり、そこからミドルシュートやクロスを狙える展開となりました。
また、試合序盤はソロモンを潰すポイントと考えていたのか、複数の選手が囲いに来る守備が多かった。
ジェフの左サイドのケアとポストプレー潰しが、金沢のジェフ対策だったのでしょう。
けれども、徐々にソロモンの守備へのサポートも遅れて、DFラインは後方のスペースを埋めるだけの状態になり、前へにもいけない悪循環に陥っていたように思います。
とはいえ、金沢も連戦だから仕方がないという割り切りが、どこかにあったのかもしれません。
もともと選手層は薄く、連戦で選手を入れ替えられる余裕があるチームでもないでしょう。
その中でいつも以上に守備を重視して、後方を厚くして戦ったという可能性もあるのかもしれません。
実際、ジェフは何度もゴール前に迫ったとはいえ、そこまで良い形でシュートを打てた回数は多くなかったと思います。
今回もアーリークロスやミドルシュートからの展開が多かったし、相手のマークを外しきれなかった。
相手からするとゴール前の人数を増やせば、ジェフの攻撃ではそこをずらせないので、失点を抑えられるという発想だったのでしょうか。
さらに金沢は前節長崎戦も、試合終盤に3点を奪い返して3‐3でドローに終えているだけに、最後で勝負という思惑もあったのかなと思います。
確かに短い時間ではありましたが、ラストの金沢には攻撃の勢いも感じた。
逆にジェフはあれだけ攻め込めたため油断していたのか疲れも出たのか、最後の守備はなかなか酷かったと思います。
見方を変えれば、攻め込んでも相手の守備を完全に崩せず、良い形でシュートを放てない。
また、守備においても、特に引いた状態において、1試合のうちにどこかで甘さが生まれてしまう。
そこが現時点における、ジェフの課題なのかなとも思います。
一方で金沢戦では、それでも何とかゴールを奪えたし、守備も無失点で終えた。
課題に耐えて勝利を掴むことが出来たわけで、これを続けられるかどうか。
次も下位の岩手相手ということで、しっかりと続くことが大事ですね。