既に報道にされていた通り、小林慶行ヘッドコーチの監督就任が発表になりました。
11月1日に発表ということで、尹監督の契約が10月末までだったのでしょうか。
このタイミングになったのは、契約絡みなのだろうと思います。
報道時の感想は以下の通り。
監督が正式に決まったということで、改めて経歴を振り返ると小林監督は桐蔭学園高等学校出身の44歳。
当時の桐蔭学園と言えば、李国秀監督率いる強豪で、小林監督の同期には元ジェフの戸田和幸や内田潤などがいました。
また、長谷部茂利監督も桐蔭学園出身の先輩にあたる形です。
その後、桐蔭学園と関係の深かった駒沢大に進学したということで、巻誠一郎や深井正樹の先輩にあたることにもなります。
1999年、李国秀氏が総監督に就任した当時のV川崎に加入。
V川崎では6年間戦力として活躍し、その後大宮や柏、新潟などでプレーしています。
現役時代の小林監督は、長短のパスを出せる展開力の高い中盤の選手でした。
178cmとそれなりの身長もあって、当時のボランチとしては珍しかったのではないでしょうか。
賢く冷静にプレーするタイプで、モダンなMFといったイメージがありました。
2013年初めに現役引退を発表すると、2014年夏には仙台のコーチに就任。
ここで4年半タッグを組んだのが、その年に監督に就任していた渡邉晋監督でした。
渡邉監督は小林監督の4つ上にあたりますが、桐蔭学園から駒沢ルートを辿っており、学生時代の繋がりがあったのでしょう。
仙台での最終年度はヘッドコーチに昇格しており、以下の渡邉監督のインタビューなどを読んでも、かなり信頼されていたのではないかと感じます。
トレーニングや言葉については、それこそヘッドコーチをやっている小林慶行コーチと、昨季で退任した福永泰コーチと3人でつくり上げてきたものはものすごくたくさんあります。『こういう言葉で、こういうふうにやるんだったら、こういうトレーニングやろうよ』って話し合って、本当にいろんなことを喋ったりしていましたね。で、特に小林コーチは毎年一緒に海外に視察に行っているので、『海外で見たものを、自分たちのチームに導入するとしたら、どうやってやろうかな?』っていうのが話の流れになっています
渡邉監督と言えば、『ポジショナルフットボール 実践論』という本も出しているほど、現代のパスサッカーに造詣が深い監督。
山口でもその片鱗が垣間見えましたが、山口でうまくいったのは後任の名塚監督でした。
しかし、名塚監督も渡邉監督のスタイルを継続・発展していった印象ですから、最終節で戦った山口戦はやはり来年に向けてのヒントとなる部分があったのではないでしょうか。
また、李国秀監督もパスサッカーを展開しており、2人のルーツはそこにあるのかもしれません。
小林監督は2020年末に新潟メディアの分析記事に応えていますが、勉強熱心であることが伝わり小林監督の人となりを知るには良い記事ではないかと思います。
2020年はS級ラインセンス取得と勉強期間に位置付けて、キャンプから横浜FM、C大阪、徳島などの練習を見学してきたとのこと。
新潟などの見学もしていたようで、指導者として真面目に取り組まれている印象が伺えます。
そして、2021年にジェフにコーチとして加入。
1年目から攻撃面を任されていると報じられており、同サイドに人を寄せるパスサッカーを展開していったことが、注目を集めました。
また、ミドルサードからアタッキングサードのパスワークだけでなく、後方でのビルドアップに関しても変化を感じ、加入の効果は感じられたと思います。
戦術的に秀でたタイプの指導者ではないかと期待されますが、近年のジェフは関塚監督、エスナイデル監督、尹監督と戦術面はアバウトな監督が続いていました。
その分、ネームバリューは高くファン受けも良かったのかもしれませんが、現代サッカーでは戦術的に突き詰めていけないと、どこかで壁にぶち当たってしまう印象もある。
そういった点で、ジェフを変えるという狙いは理解できるものではないでしょうか。
ただ、ジェフサポは細かな戦術などは、あまり好きではなさそうなところが若干の不安材料。
また、当然戦術的には良くても勝たせるという勝負師的な感覚や、カリスマ性などは指揮を執って見ないとわからないところがあると思います。
それでも今での監督選びとは異なる意思決定であることに可能性も感じますし、チームを変えるという意味で期待したいですね。
いや、監督にチームを変えることを期待するというより、これを機にクラブ全体で変わっていこうという意思を関係者全員が持つことが重要なのではないでしょうか。