加入があれば退団もある。
予算やA契約枠には限りがあるし、選手を入れ替えて循環していかなければチームは停滞していく。
ジェフはここまで加入が多かったですから、選手の退団は残念ではありますが、覚悟は出来ていたと思います。
チャンは11月に町田へ移籍するという報道があったので、もう決まっているのだろうと思っていました。
近年のJリーグ移籍報道は間違うことの方が少ないですし、「獲得することが分かった」と言い切っている記事でしたから裏は取れているのだろうと。
報道から発表まで期間が空くことも多いですが、そこは細かな契約を詰めているのか、タイミング待ちなのでしょう。
チャンは2020年、韓国の漢陽大からジェフに加入。
尹監督のコネクションもあり、1年目の開幕戦からスタメン。
その年のシーズン終盤は、鳥海の存在と新井一耀の復調もありスタメンから外されますが、31試合に出場します。
翌年からは鳥海が移籍したことと、3バックへ変更したこともあってレギュラーに。
2021年は36試合、2022年は33試合に出場します。
ユース代表などでもプレーしていたという、ボランチでも出場しました。
ともかく、前に強いCBで、飛び出して足元のボールを奪うプレーが印象的ですね。
特に尹監督のサッカーは引いて守る形が多かったですから、後方から出ていくチャンの動きはフィットしていたと思います。
いい意味でマイペースなイメージもあり、ミスをしても後を引かないタイプなのかもしれません。
攻撃時にも突然目の覚めるようなロングパスを左右前方に供給することがあり、非凡なセンスを感じました。
ただ、細かなビルドアップが得意なタイプではなく、ボールを持った後の判断スピードには課題もある印象です。
パス出しの課題が、ボランチでは使いにくい要因なのだろうと思います。
基本能力の高いCBだとは思いますが、クロス対応に関しては課題もあると思います。
そこまで高さのあるタイプではないというのもありますが、クロスに対してのポジショニングが曖昧でマークが外れていることも多い。
身長も当初は186cmという発表で見た目は思ったより低いなぁと思っていたのですが、いつの間にか183cmという表記に変わっていました。
また、カバーリングも得意ですが、背後への一歩目の反応は若干怖いところもありました。
チャンのクロス対応などに不安があったこともあって、3バックに変更せざるを得なかったところもあったのではないでしょうか。
3バックの中央ならチャンが前に潰しにいっても後方2人がカバーできるし、チャンのためのシステムだったという見方すら出来るのかもしれません。
4バックだった2020年はクロスからの失点が多く、終盤にチャンがポジションを失ったのもそこが原因だったのではないでしょうか。
来季のジェフがパスサッカーにシフトすれば、4バックの方が広くピッチを使えて中盤から前を厚くすることも出来る。
もちろんジェフに残ってくれればレギュラー候補に間違いないですが、意外と起用法の難しい選手といった印象もありました。
チャンは韓国人選手ですので、兵役の問題もある。
兵役中も軍や警察のチームに所属するためには、27歳時にKリーグクラブに所属していなければいけない。
韓国は満年齢が基本で、チャンは来年24歳となります。
あと3年あるわけですが、日本でも複数クラブで実績を積んでアピールしたい選手は多いのだろうと思います。
元ジェフのキム・ヒョヌンやキム・ボムヨンも兵役の1年前に韓国へ戻っていますが、それでも軍や警察のチームには入れず4部クラブでプレーしたそうです。
それだけ狭き門なのでしょう。
当然ジェフを移籍するのは、尹監督の退任も大きいでしょう。
町田には鳥栖をパワハラで解任された金明輝監督がコーチを務めることが決まっており、韓国ルートを慕っての移籍なのではないかと思います。
また、町田はCAが買収した割には補強が鈍く、今オフも長谷川アーリア、チョン・テセ、ドゥドゥ、岡野、平戸などが退団していますし、手頃な主力候補の補強が欲しかったのかもしれません。
3年間プレーしてくれた選手ですので残念ではありますが、諸々考えると仕方のないところはないかと思います。
ジェフとしては次に進むことが大事で、CBをしっかり補強してほしいですね。
外国人枠の使用もありえるでしょうか。
続いて、仙台からレンタル中の秋山の契約満了が決まりました。
秋山はジェフU-15出身で、流経柏高、早稲田大学と進み、2018年に名古屋に加入。
プロ入り初年度から22試合に出場しています。
しかし、2019年は活躍できず夏から半年間磐田へレンタル。
そこでも活躍できずにいると、2021年に仙台へと移籍しました。
その後、仙台でも目立った動きは出来ず、今年ジェフにレンタル移籍という流れでした。
古巣ジェフでは末吉のライバルとして、期待されていた選手だと思います。
シーズン序盤こそチャンスに恵まれませんでしたが、離脱者も多い中で徐々に出場機会を伸ばしていきます。
当初はキレのあるドリブルも見せ、チャンスを作っていきました。
しかし、シーズン終盤は疲れもあったのかミスも目立ち、苦しい状況になっていきます。
チームが守備的で秋山には合わなかったのかもしれませんが、攻撃面でも大きな活躍が出来ず。
守備面でも軽さが目立って、左サイドを狙われることが増えてしまいました。
一番悩ましかったのが、クロスの精度なのかなと思います。
ジェフでは貴重な左利きで相手を抜き切らずにクロスを上げられるメリットはありますが、その質がもう1歩足りなかったのかなと。
プレースキックも流経柏高の先輩にあたる田口に、なかなか蹴らせてもらえませんでしたね。
それでも26試合に出場しましたし、パスワークにも絡める選手だと思うので、来季攻撃的なスタイルに転換すれば活躍できる可能性はある選手ではないかと思っていました。
加入の決まった日高のように後方からのビルドアップを期待するのは違うのかもしれませんが、左のアタッカーとしてなら活躍できるのではないかと。
ただ、そこも椿の加入で難しくなったのかもしれません。
レンタル移籍ですから、そもそも契約の主導権は仙台にあるはず。
2022年にジェフで経験を積んだということで、内田の控えとして期待するということでしょうか。
前年は仙台でも結果が残せていなかっただけに、復帰は意外でもありました。
ジェフでももう少し見てみたい選手ではありましたが、来年の4月で28歳になる。
若手とは言えない年齢ですし、長い目で見るのは無理があるのかもしれません。
むしろジェフでの経験によって仙台に残留できたのであれば、秋山にとっては良かったのかもしれませんし、ライバルにはなりますが頑張ってほしいと思います。