比較的順調なオフを過ごしているかと思っていたジェフですが、ソロモンが岡山にレンタル移籍することとなりました。
加入先行となっていただけに、誰かは出ていくのだろうなとは思っていましたが、まさかソロモンとは。
個人的には、非常にショックな移籍だと思います。
ジェフU-18から2020年に昇格したソロモンは、1年目から13試合2ゴールの結果を残します。
途中出場が中心でしたが、コロナ禍の過密日程もあって、4試合のスタメン出場も果たしています。
すると、2年目には30試合に出場し4ゴールと、結果を伸ばします。
ブワニカ、大槻、サウダーニャといったライバルを押しのけて、8月からはレギュラーとしてプレー。
特に昨年後半のジェフはハイプレスで相手を押し込んで好成績を上げていっただけに、前線からプレスにいけるソロモンは極めて重要な存在でした。
そして、2022年には36試合に出場し7ゴールと活躍。
今年もレオンソなどライバルが加入しましたが、シーズンを通して見ると2年連続で第一CFだったことになります。
21歳という年齢も考えれば、十分な結果と言えるでしょう。
プレー内容を見ても、しっかりと成長を遂げていったように思います。
1年目はまだ高さだけの選手といった印象もありましたが、2年目にはプレスでも貢献。
ただ、90分間で考えるとスタミナには課題もあって、空中戦でも相手CB次第では競り負ける試合がありました。
しかし、3年目はプレスをかけ続けても大きく運動量が落ちることも減り、ロングボールのターゲットとしてもほとんどの試合で競り勝っていた。
体格もがっしりとしてきましたし、年々逞しくなっていたように思います。
1年目から試合に出ているため急成長は感じないかもしれませんが、成績も含めて順調に伸びてきた選手だったと思います。
そもそも外国籍選手が多く起用されるFWにおいて、若手の活躍は難しい傾向にあります。
その状況下で高卒からの3年間で、ソロモンは見事な成績を出してきたと言えるでしょう。
当然ライバルなどの条件は異なりますが、後に日本代表にも選出され、海外移籍も果たした元ジェフFWオナイウと比べても、3年間の成績でソロモンはオナイウを上回っていると言えると思います。
オナイウも4年目に浦和へと移籍するわけですが、表の通りオナイウは3年目に伸び悩んだ印象もあっただけに、移籍も止む無しかと思う部分がありました。
しかし、ソロモンは1年ごとに成績を伸ばしてきたことになります。
なお、ジェフは歴史的に高卒FWで成功した例が多くなく比較対象が少ない印象です。
ちなみに、巻は大卒新人で1年目から徐々に出場時間を伸ばし、3年目で主力となって33試合12ゴールを上げています。
確かにソロモンは得点力や前への動き出しに課題がありましたが、ジェフで伸び悩んでいたわけでもないし、他クラブに武者修行にいったからといって、簡単に身に付くものではないと思います。
さらに現在のサッカーは、FWがどんどん点を取れるような時代でもないでしょう。
ソロモンは確固たる得点力がなかったとしても、高さや守備、ポストプレーなどで分貢献していたわけで、1人2、3役をこなせれば十分ではないかと思います。
ソロモンのプレスは、戦術面においても非常に重要だったはずです。
近年のサッカーは前線からのプレスがより重要となっている印象もありますし、日本代表もそれでW杯で結果を残した。
そして、鈴木GMは来季のチームに関して、「前からしっかりプレッシャーをかけていく」という話をしています。
それだけに、呉屋などを補強したとはいえ、サウダーニャやレオンソなどではプレスが足りなかったように、なんだかんだで来年もソロモンに頼ることになるのではないかと思っていたのですが。
どこかソロモンはサポも含めてジェフでの評価が、厳しすぎる印象もありました。
その背景には得点力のあるFWにすがりたいという気持ちがあるのではないかと思うのですが、尹監督時代は全体の得点数が少なく2019年に17ゴールを上げたクレーベですら、尹監督が就任してからは7ゴール止まりだった。
その中で高卒3年目のソロモンが、守備でも貢献しながら同じ7ゴールを上げていることは、もっと評価されるべきではないでしょうか。
今回はレンタル移籍ということで、帰ってくる可能性も残されてはいます。
しかし、十分に試合に出場していた選手がレンタル移籍した場合、普通であれば武者修行とは考えにくい。
こういったケースでは、レンタル先で活躍すればそのまま完全移籍になることが多いでしょうから、復帰も期待しにくいところがあります。
岡山の木山監督は前からの守備を重視するタイプですから、ソロモンは適しているのかもしれません。
ただ、昨年から岡山は積極補強を行っており、FWもチアゴ・アウベスにデュークと他J2クラブならレギュラーを取れそうな2人をタブらせていた。
W杯でも活躍したデュークには移籍の噂も出ていますが、移籍があったとしても他の外国人FWが加入する可能性もあり、ソロモンは控えとして計算されているのかもしれません。
それでも移籍を選んだということは、やはりジェフでの評価があまり高くなかったのでしょうか。
また、ソロモンは1年目にスペインに短期留学もしています。
ジェフ愛を感じるアカデミー育ちの選手ではありますが、向上心も高く新たなチャレンジを選んだのかもしれませんし、パリ五輪出場のためにも変化を望んだのでしょうか。
ソロモンはサッカー選手としては珍しいほどに非常に人柄が良く、接触プレーでもまず相手に謝り、荒れそうな味方選手を落ち着けることも多かった。
こういったキャラクターが、ジェフで1人前の選手に育てば、ジェフにとってはもちろん、サッカー界においても貴重な存在になるのではないかと思っていました。
あまり評価基準にはならないのかもしれませんが、プロスポーツ選手としての大事な資質を持った選手ではないでしょうか。
そういった性格も含めて巻の後継者として個人的には期待していましたが、これでお別れとなる可能性も高いのかもしれません。
ジェフは巻以降、新卒FWを育てきれていないわけですが、今回もまた厳しいのでしょうか。
ブワニカや佐久間にも期待したいところですが、順当に行けばまずはソロモンに望みを繋げたい流れだったはず。
前から守備にいけて高さや強さもあるCFなどそうそういるわけではないですし、移籍してから重要性を感じるパターンになるかもしれません。
残念ではありますが、決まったからには岡山での活躍を応援するしかないですね。
それと共にジェフの他FWにより一層の活躍を期待したいと思いますし、FWの更なる補強も欲しい状況になってきたように思います。