2020年、2021年の熊谷は尹監督への体制変更、田口、小林、小島などの起用もあって、共に21試合出場にとどまっていました。
エスナイデル監督体制ではほぼフルシーズンレギュラーだったことを考えると、物足りない数字だったと言えるでしょう。
しかし、2022年は29試合出場と、若干成績を戻したことになります。
2022年のシーズン途中からは、離脱期間を除いてほぼレギュラーとしてプレー。
田口と共に不動のダブルボランチを形成し、攻守に貢献しました。
第41節琉球戦ではミドルシュートを放ち、2018年以来となるゴールも決めています。
ただ、開幕戦となった岩手戦では小林にポジションを譲り、控えには入ったものの出場機会なしで終わっています。
小林のプレーも良かったですし、熊谷としては悔しいスタートとなりました。
第2節琉球戦は田口の離脱でスタメンが巡ってきますが、その後はコロナ禍の混乱もあり戦列を離れるという、落ち着きのない序盤戦となりました。
しかし、シーズン途中からはスタメンに出場し、安定したプレーを見せていきます。
特に今年はビルドアップ面での貢献度が増した印象で、ベテランに差し掛かる中でも成長を感じるシーズンだったように思います。
ビルドアップ面の改善が、2022年に出場試合数を伸ばした大きな要因なのではないでしょうか。
尹監督は就任から2年目まで予想以上に小島を愛用していたように、ボランチにビルドアップ能力を求めていた印象があります。
ボランチで試合を落ち着かせて無理をしない流れを作りたかったのではないかと思いますし、じっくりボールを持つことで守備機会を減らしたい意向もあったのではないでしょうか。
その分、ボランチの攻撃参加は抑制していたようにも思います。
そこで苦しんだのが、熊谷だったのではないでしょうか。
熊谷はテクニックもあるし鋭い縦パスも持っている選手ではありますが、ビルドアップに関しては無難な選択が多く、ボールを散らすという部分で物足りなさがあった。
エスナイデル監督時代にCBまで下がって左右に振る仕事ばかり任せられていた癖が、残ってしまっていた部分もあったのかもしれません。
しかし、田口などからも良い影響を受けたのか、今年は前へパスを出せるようになったイメージがあります。
サイドでのパスワークに加わるタイミングも効果的でしたし、ゲームメイクで存在感を出せるようになりました。
昨年までは田口とダブルボランチを組んでも、田口にビルドアップを依存するところが多かったですが、今年は田口の負担もだいぶ小さくなったのではないでしょうか。
来季のジェフはパスサッカーにシフトする可能性が高いですし、より攻撃面のタスクを求められるかもしれません。
その時に、熊谷がさらなる進化を果たせるかどうか。
田口も熊谷もゴールやアシストに関しては物足りないですし、もっとゴール前での決定的な仕事を期待される可能性もあるのではないでしょうか。
あとは熊谷も、メンタル面やコンディション面の部分が気になるところです。
フィジカルもテクニックもあって体格も良く、基本的なポテンシャルは高い選手だと思いますが、好不調の波は大きい。
いろいろな意味で、安定して戦える立派な選手になってほしいところですね。
同ポジションの田口よりも若いというイメージもある熊谷ですが、実際にはさほど大きくは変わらず来年で田口は32歳、熊谷は30歳になります。
プロ生活も終盤に差し掛かる年齢と言っていいでしょうし、ジェフもいつまでもベテランボランチ2人に頼り続けるのは難しくなる。
そろそろ大きな結果が欲しい年といったところに、なるのではないでしょうか。