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2023ジェフキックオフミーティング 小林新監督「当たり前のことを当たり前に」

 1月15日に行われた、ジェフキックオフミーティングのレポートがアップされました。
 今年は社長も監督も変わる新体制のシーズンですから、それぞれのコメントが注目されるイベントだったと思います。

jefunited.co.jp

 個人的にはクラブの「哲学」や「目標」、そしてその2つを達成するための「手法」の3点に注視していました。
 それらがあわさって、クラブの方向性が成立すると言えるのではないでしょうか。
 今回は御三方に分けて、「キーワード」を中心に取り上げてみたいと思います。

■島田亮社長「地域密着と育成を合言葉」

 今年の元日に就任した島田新社長は、2012年から2015年までの約4年間ジェフの社長を経験しており、異例のジェフ復帰となりました。
 前回も意志が強く熱いものを感じましたが、ストレート過ぎて内外の政治という点で苦戦した部分もあったのかなというのが個人的な感想です。
 今回はより柔軟なやり取りが出来るかが見どころでしょうか。

 キックオフミーティングでは、まず『地域密着』を掲げています。
 どうしてもクラブ運営となるとチームの話が主体になりがちですが、クラブとしては経営やその他の活動も重要になってくるはず。
 その点で『地域密着』という1つの方針が聞けたのは、良かったのではないでしょうか。

 一方、チームに関しては『運動量豊富なゲーム』、『魅力的なチーム』という話が出ており、この辺りが哲学となっていくのでしょうか。
 また、『育成の強化』も目指していきたいとのこと。
 「地域密着と育成を合言葉にやってまいります」とまとめており、特にこの2つを重視していくとのことです。

鈴木健仁GM「一体感を持って」

 鈴木GMに関しては、昨年11月末にジェフのサイトでロングインタビューが掲載されており、そちらも参考になると思います。

yukkuriikou.hatenablog.com

 その際にも話していましたが、今回も『一体感』を持って戦うことを訴えています。
 また、質疑応答でも『攻撃的なサッカー』を展開したい。
 『ボールを持って主導権を握りたい』と話しています。

 一方、11月のインタビューでは「楽しませたい」と、社長同様に『魅力的なサッカー』を掲げていましたが、今回は触れられていません。
 これに関しては社長も発言しているので、重複しないように敢えて言わなかった可能性もあるでしょうか。

小林慶行監督「選手の成長が強いチームを生み出す」

 注目の小林監督も、鈴木GMと同様に『一体感』の話をしています。
 また、「近年のサッカーは戦術的に進化していて、取り残されてはいけない」という流れで、「ボールをどう運ぶのか」、「4局面の整理」などが大事であると分析しています。
 "4局面"とは攻撃時と守備時、そして攻撃から守備への切り替え時と守備から攻撃への切り替え時の4つのシチュエーションが、サッカーにはあるという発想ですね。

 「ボールの運び方」に関しても「4局面」に関しても「明確にすること」が大事であると話しており、これは昨年のジェフの大きな課題でもあったはずですから小林監督の手腕に期待したいところ。
 このあたりは、鈴木GMの『ボールを持って主導権を握りたい』という話にも繋がるでしょう。
 また、「走らなければ成り立たないスポーツ」と『運動量』の話にも触れており、そこも島田社長の意見とリンクするところがあると思います。


 一方で、島田社長や鈴木GMの述べた『魅力的』、『攻撃的』という話は、小林監督からは出ませんでした。
 実際にそういったサッカーになるかわからないところもあり、現場の監督からは言いにくいところもあるのでしょうか。
 ただ、守備的か攻撃的かは、開幕すればわかる部分でもあると思います。

 戦術的な話も多く戦術家タイプなのかなとも感じますが、「当たり前のことを当たり前に」と育成を重視する日本の指導者がよく口にする言葉も出ています。
 「土台を作る」こと「選手の成長が強いチームを生み出す」ことも話しており、「戦術は二の次」という発言も。
 この辺りからも、厳密にはトレーナータイプなのかもしれません。


 いずれにせよ、細かな動きを指導するタイプなのであれば、近年のジェフにはいなかった監督ではないでしょうか。
 エスナイデル監督も関塚監督も木山監督も、アバウトなところを残す監督だったと思います。
 しかし、強かった頃のジェフは、東欧路線でガッツリと細かなところまでチューンアップする傾向にありました。

 それだけに私としては、個人に任せるセレクタータイプよりも、細部まで指導するトレーナータイプを長らく望んでいました。
 というのも、ジェフは歴史的に真面目で物静かな選手が多い。
 そのため、個を重視する監督よりも組織を重視する監督の方が適しているのではないかと思っていましたし、小林監督にはそこを期待したいところです。


 一部、社長、GM、監督の間で触れられたワードと触れられなかったワードもありますが、概ねビジョンは近いものを感じました。 
 『魅力的』で『攻撃的』、『ボールを持って主導権を握り』、『選手育成』に力を注ぐ。
 これだけ明確に理想や方向性を打ち出したフロントも、近年のジェフでは珍しいように思います。

 ただ、理想ばかりだと、現実はうまくいかないかもしれない。
 例えばパスサッカーを目指すべく、それに沿った選手ばかり集めては、チームの幅が狭くなって苦戦するかもしれません。
 オシム監督が凄かったのは、ピッチ全体でボールを動かすサッカーを理想に掲げつつつも、両ゴール前では巻や結城のように体を張れる強い選手を置くなど、現実も見据えたチーム作りが出来ていたことだと思います。

 それだけ負けず嫌いが根底にあったのではないかとも思いますが、今年のジェフも理想を掲げつつ、現実も捉えたクラブ運営・チーム作りが出来るかどうかが、今年の影のテーマなのかなと思います。
 しかし、まずは理想を掲げることが大事ですし、三者ともに熱いものを感じました。
 この熱さが暴走してしまわないか心配なところもありますが、長い低迷を打開するためにも今はその熱さに乗って、クラブの変革を期待したいところではないでしょうか。