0‐2で敗れてしまった金沢戦。
負けは負けとしてしっかりと受け止めなければいけませんが、チャンスはたくさん作っていましたし、内容は悪くなかったと思います。
特に遅攻面においては、改善点も見られたのではないでしょうか。
試合後にも少し触れましたが、この日のジェフは中央へ縦パスを送り、前の選手と中盤の選手が入れ替わって、前を向く展開を作れていました。
例えば23分のシーン。
ジェフはDFラインでパスを繋いでいくと、松田が斜めの縦パス。
これを小森がワンタッチでうまく落とすと、風間が入れ替わる形で前を向き前進。
そこから小森、田口、日高と、左サイドへボールを繋いでいきます。
その後、田口とのワンツーから日高が相手選手と混戦状態になりますが、粘って奪い返しマイナスのクロス。
これを風間がシュートを放ちますが、相手DFにあたって終わります。
綺麗に崩したとまではいきませんでしたが、惜しい展開でした。
このシーンでは、小森の落としを受けた風間が、バイタルエリアで直接チャンスを作ったわけではありません。
赤い矢印の通り、FC東京から金沢へレンタル移籍している19歳のボランチ梶浦のカバーリングも良く、風間の前を封じられてしまっています。
とはいえ、中央から持ち上がれたことで、日高が高い位置でボールを持てる形を作れた展開だったと思いますし、同じように中央で選手が入れ替わり前を向くプレーが何度も作れた試合だったと思います。
この展開が増えたのも、金沢対策だった部分があるのかもしれません。
金沢はマンマーク主体の守備。
なので、図のシーンでも風間には藤村、小森には孫と、ポジションをあまり気にせず、前へとチェックに来ています。
松田が縦パスを出そうとした段階で、風間も近くに受けに来ているため、藤村は風間について行って前方向のベクトルで守備をしています。
それに対して風間は、松田からのパスを受けるふりをして、反転して前を向いた。
これによって、マンマークでついてきた藤村を振り切って、小森の落としから前を向くことが出来たことになります。
さらにこの後に小森が受けた場面でも、同じように前方向にベクトルを向いていた孫の裏を小森が取って、前を向いています。
チームとして、後方へと受ける動きを見せておいて逆を突く。
あるいは、前後の選手が入れ替わることによって、相手のマンマークを攪乱する狙いがあったのではないでしょうか。
相手がゾーンディフェンスだったら、自分のエリアに入ってくる選手を捕まえる守備になるため、ジェフの選手が上下に動き回っても理論上はそこまでうまく入れ替われなかったかもしれない。
エリアに入ってきた選手のマークを受け渡せばいいだけということになるし、パスを受ける動きをしてもここまで前についてきてはくれないかもしれません。
また、マンマークで守備時のポジションが流動的だったからこそ、前線への楔のパスコースを作りやすかった面もあるでしょう。
とはいえ、この流動的に入れ替わるビルドアップは、他チーム相手にも活用できる部分があるかもしれません。
いくらゾーンディフェンスだったとしても、完璧にエリアだけを守る動きを徹底するのは難しいですし、相手選手の動きによってずれが生じてしまう部分もある。
金沢戦ほどこの動きがはまるかどうかはわかりませんが、可能性を感じるパターンではあったと思います。
基本的には金沢対策のビルドアップだったのではないかと私は推測しますが、これを他の試合でも流用できればビルドアップの幅も広がるでしょう。
これが今後の糧になり、チームが成長していく過程の1つとなるのであれば、応援する上で非常に面白いところだと思います。
ただ、この変化を成長と真に捉えるためにも、やはり勝点が欲しいところでしたね。