本題の前に先週のエミリア・ロマーニャGPが、豪雨のため中止となりました。
F1関連の報道だけでも、悲惨な現状が見て取れました。
お見舞い申し上げます。
F1関係団体も多くの支援に出ていますが、そんな中でも角田裕毅がチームスタッフと共に、被災地で復興作業に協力したことが話題となりました。
アルファタウリがイタリアのチームということもあって、こういった活動となったのかもしれません。
Yuki Tsunoda and his AlphaTauri team mates have been helping with the clean-up in Faenza ❤️ pic.twitter.com/uf2qN5syTf
— Formula 1 (@F1) 2023年5月18日
アピールではないかという心無いコメントも目にしましたが、多くは角田の行動を称賛しハミルトンなどもインスタで角田を讃えていました。
欧州ではこれが日本の文化と評価する声も多かったですが、日本人だからと言って皆が出来ることではありません。
ここまで明るく無邪気なキャラクターとして愛されてきた角田ですが、今回は誠実で大人な姿勢を見せてくれました。
プロスポーツ界では選手のセルフプロデュースも大事なことだと思いますし、素晴らしい行動だと思います。
さて、昨日ホンダが2026年からアストンマーチンに、パワーユニットを供給することが発表になりました。
以前から噂されており、6月に発表するのではないかと言われていましたので、若干早かったですね。
今週末には伝統のモナコGPということで、このタイミングになったのかもしれません。
ホンダは2021年限りでのF1撤退を発表しましたが、その後も実質的にレッドブルにPU供給をしていました。
撤退の理由を「カーボンニュートラル実現のため」と説明していましたが、その後F1もカーボンニュートラルを目指すという方向性を示したため、今回のF1復帰となったという説明になっています。
ただ、このあたりは言い訳にしか聞こえないですし、レッドブルがチャンピオンを取ったこともあり、社内の意見なども変わったのではないでしょうか。
当然レッドブルとの関係を続けるのが理想ではありましたが、ホンダの意向が二転三転したこともあって難しかったのでしょう。
そこで次の供給先を探さなければいけなかったわけですが、フェラーリ、メルセデス、アルピーヌは自社開発で、アルファロメオはアウディとのジョイントが決定。
ハースもフェラーリとの関係が強く、残っているのはマクラーレン、ウィリアムズ、アストンマーチンだけとなります。
一時はホンダとの噂があったウィリアムズも否定的なコメントを出していた上、今季はアストンが好調ということもあって、一気に最有力候補として浮上しました。
フェラーリとメルセデスが不甲斐ない状況もあって、アストンは現在ランキング2位につけています。
アストンとしてはより上を目指すためにも、ワークスのPUが欲しかったはず。
ホンダとアストンは、WIN-WINの関係と言えるのでしょう。
また、アストンは元々ジョーダンというチームで、ホンダがエンジン供給していた過去もあります。
その後フォースインディアに名前を変え、現在チーム会長で実業家のローレンス・ストロールが、息子でF1ドライバーのランス・ストロールを乗せるため買収した経緯があります。
わざわざアストンマーチンまで買収してチーム名を変更しており、かなり自由度高いチームと言えるのではないでしょうか。
また、チームのCEOマーティン・ウィットマーシュは、マクラーレン時代にホンダとの契約をまとめた人物で今回の発表でも来日。
マクラーレンでは契約発表後に不振の責任を追って解任となり、実質的にホンダと組むことはありませんでしたが、今回はリベンジのチャンスとなるでしょう。
いろんなことが揃って、アストンマーチンホンダが成立したことになります。
ただ、いくつかの不安もあって、まず今季はアストンマーチンが好調とはいえ、この勢いがどこまで継続するか。
また、現在はギアボックスなどもメルセデスから供給を受けているため、今後は自社開発する必要が出てきます。
ウィリアムズもこれがネックで、ホンダPUを諦めたのかもしれません。
しかし、アストンは約340億円をかけて、新ファクトリーや風洞を建設しているとのこと。
F1において技術投資は極めて重要なポイントですから、今後の成長に期待したいところです。
また、アストンへの1チーム供給だった場合、PU開発に後れを取らないかという不安もあります。
2026年からは新レギュレーションとなりますし、多くの走行距離を稼ぎたいはず。
さらに、F1撤退宣言でホンダF1の規模も縮小化しているはずですから、挽回しなければいけない部分もあると思われます。
マクラーレン時代にホンダPUを公然と批判した、アロンソの存在も話題となっています。
現在はアストンのエースドライバーとして大活躍していますが、マクラーレン後にはインディにも参戦。
その時にはマクラーレン時代の騒動もあり、インディでのホンダエンジンの供給を拒まれたのではないかとも言われています。
とはいえ、そこに関してはお互いに大人な対応が出来るのではないでしょうか。
ただし、2026年になるとアロンも45歳。
そもそも、そこまで現役を続けられているのかという疑問もあります。
一方で、アルファタウリで今年結果を残している角田裕毅の存在もある。
将来のアストンドライバー候補となるわけですが、それまでの期間どこで戦うのか。
来年でペレスの契約が切れるため、2025年からのレッドブル昇格も噂されていましたが、これでなくなってしまうのかもしれません。
かといって、本来は育成チームのアルファタウリで、長期間参戦するのも無理があるでしょう。
アストンはランス・ストロールも外せないでしょうし、空白の数年が生まれかねない。
今でもホンダが角田の年俸を払っているという噂も出ていますが、実力でレッドブルまで昇格しホンダから良い形で卒業するというのが最大の理想ではあるのでしょう。
あるいは、先にアストンからアロンソが離脱し早期移籍となるのか。
佐藤琢磨もジャン・アレジやジャック・ビルヌーブといった大物の後を継ぐことになり一部では批判が出ましたが、そういった可能性もあるのでしょうか。
浪人というケースもあり得ますが、出来るだけそれは避けたいところでしょう。
レッドブルに昇格するにせよアストンでアロンソの後を継ぐにせよ、角田としてはより一層のアピールが必要になります。
ただし、昨年も角田は契約がはっきりせずプレッシャーになっていたと話していますし、外から見る以上に契約問題による焦りはあるのでしょう。
今回の発表でまた周囲が騒がしくなるでしょうが、目の前の仕事に集中して一戦一戦丁寧に戦っていくしかないのかもしれません。