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得点力不足に関して小林慶行監督「個のクオリティーは絶対的に必要」

 先週の町田戦は、非常に悔しい試合となってしまいました。
 全体的な試合内容としては、ジェフも決して悪くはなかったと思います。
 鈴木大輔も以下のように話しています。

www.jleague.jp

鈴木大輔「試合を通してわりとゲームをコントロールできたと思います。ただ、その中で最後の勝負の際の部分で決着がついた形です。後半は自分たちの流れで試合を進めることはできましたが、それも町田にとっては、チャンスのようなものです」

 後半は町田の運動量も落ちてスペースも出来ていましたし、ゴールに迫るシーンもいくつか作れた。
 ただ、鈴木の言う通り、町田から見ても自分たちのペースであり、勝ちパターンでもあったのかもしれません。


 SPORTERIAによると、この試合のゴール期待値はジェフが1.21に対し町田が1.45。
 ジェフは試合終盤にビハインドとなって捨て身の攻撃を仕掛けていったわけですから、それを考えれば悪くない数字だったと思います。

sporteria.jp

 ただ、小林監督も話しているように、町田は決定力が高い。

www.jleague.jp

小林慶行監督「ミーティングから町田はチャンスを作る回数に比べて、リーグで一番決定率が高いデータを出し、今週の準備をしてきました。「スキを見せるな」と、トレーニングから言い続けていました」

 相手の隙を突くカウンターチームだからこそ、決定力が高くなりがちな傾向があるのでしょう。
 1失点目も西久保の足が止まってしまいましたし、そこを逃さず突かれた形と言えると思います。
 あそこは頑張っておって少しでもクロスの精度を下げて欲しかったところでしたが、試合全体で言えば点が取れなかったことが大きな課題だったと思います。


 この日も後方のビルドアップは、うまくいっていたと思います。
 DFが引き付けるようにパスを回して、2トップ裏でボランチが受けて前を向く。
 さらに守備でも小林が非常に効いていて、何度もボール奪取を繰り返し、そこから攻撃に転じることが出来ていた。

 この2つによりジェフのボランチ付近、ピッチで言えばミドルエリア後方では良い状態でボールを持てていた。
 しかし、そこから先の攻撃部分、ピッチで言えばアタッキングエリア周辺に向けていかにボールを持ち込み、いかに崩すのかに関しては、曖昧に感じる部分があったように思います。
 町田もジェフのその課題をわかって、ミドルエリア途中までは、ボール運びを許していた可能性があるのかもしれません。


 町田戦でのジェフのチャンスは、右サイド前方で見木がプレスにいってこぼれたところを田中が狙ったシーンと、左から持ち上がって高橋がミドルシュートを放ったシーンくらい。
 どちらも自らの動きで崩してペナルティエリアまで侵入できたわけではないし、そもそもチャンス自体が少ないことになります。
 良い形でミドルエリア後方までボールをもてたわりには、攻撃回数やチャンスの数が少ない状況だと思います。

 そこで攻撃面での具体的な課題をどう考えているのか、小林監督のコメントに注目していていました。
 コメントをまとめると「チャンスのなかった前半は、もっと勇気をもってサッカーをしなければいけなかった。前進できた後半は、個のクオリティに課題があった」という評価のようです。

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 確かに私もゴールに繋がるプレーにおいて、最終局面では個のクオリティが必要になってくると思います。
 例えば1対1の仕掛けで勝つ、クロスやラストパスの精度を高める、ゴール前で相手より一歩前に出る、空中戦での競り合いに勝つ、決定的なシュートを決める……。
 こういった最後の局面は、個人能力が問われるところだと思います。


 ただ、良い状況で仕掛ける形を作るまでの作業に関しては、組織面が非常に大事だと思います。
 実際、町田の2ゴールは、エリキの個の能力が光った展開ではありました。
 ただ、1失点目はフリーで左サイドから荒木がクロスを上げたからこそ、エリキが良い形でヘディングすることが出来てアシストとなったし、2失点目も小林との1対1の状況が作れたからこそ、エリキが競り勝ってラストパスを出せた展開でした。

 ラストプレーでエリキの個人技が勝ったのは事実ですが、ラストプレーまでの形を作ったのはエリキでもなければ個人技というわけでもない。
 ジェフの場合、そのラストプレー手前の攻撃作りがうまくいっていない状況と言えるでしょうし、町田もその手前の部分においては個人技に頼っていたわけではなく、チームとしてカウンターの形を作ることでエリキの良さを出せているのだと思います。
 最終局面での個人技を問う前に、選手が良い形で仕掛ける状況を作れていないことが課題だと思います。


 小林監督は以前にも攻撃面において「個のクオリティ」という話をしていましたし、やはり攻撃において個に頼る部分が強い監督なのかなと思います。
 ちょうどYoutubeの動画でオシム監督と小林監督の似ている点と似ていない点を取り上げて、小林監督は攻撃面で個人技を許す傾向が強いのではないかと話したのですが、今回のコメントでその答え合わせが出来てしまったように思います。

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 だから、見木の起用にこだわっている部分があるのでしょうか。
 確かに見木は最終局面における仕掛けやシュート精度などに、強みを感じる部分がある。
 しかし、ではその見木がどれだけ良い形で仕掛けられているのか、ラストプレーに絡めているのかを考えると、そこに現状の大きな課題があるのではないかと思います。

 見木自身も良い形でボールを引き出す、パスを素早く繋いでリズムを作る、あるいは自分が囮になって周りを活かすといった動きに課題があるように思いますが、チームとしても見木や椿などに良い形で仕掛ける展開が作れていない。
 いわば攻撃面で個人技を発揮する段階に至っていないように思いますし、ラストパスの精度だとか、決定力不足だとか、得点力のあるFWの不在だとかは、お膳立ての形をチームで作れてからいうべき話ではないかと思います。
 単純に現状だとサイドを駆け上がってのクロスくらいしか、チームの仕掛けとして共通意識を感じないですし、それでは得点力不足に陥るのも当然だと思いますから、より明確にチームとしてどう仕掛ける形を作るのかを構築していかなければいけないのではないでしょうか。