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横浜FC戦でもバイタルエリアを取られたジェフとパリ五輪日本代表の戦い方

 1-2で逆転負けを喫してしまった横浜FC戦。
 小林監督は試合後、「最後の10分を除けば思い通りに進んでいる時間が多かった」と話しています

 ただ、個人的には後半初めからは、横浜FCペースだったという印象です。
 確かに後半中頃は横浜FCの勢いも落ちてはいましたが、それは前半途中のジェフも同じこと。
 一時的なものであってトータルでの流れで言えば、前半はジェフ、後半は横浜FCが試合の主導権を握っていた印象でした。


 実際、48分には、すでに横浜FCが良い攻撃を仕掛けています。
 DFラインでボールを回したところから、ガブリエウが中央で縦パス。
 これを高橋がスルーしたところから、小川がバイタルエリアで受けて反転し、ゴールの左をかすめるミドルシュートを放っています。

 横浜FCのビルドアップもうまく、このシーンの前にガブリエウから福森へサイドチェンジ。
 そこから福森がンドカへと繋いで、ガブリエウに戻したということで、左右にジェフの守備を揺さぶったことになります。


 ジェフのプレスは、基本的に2トップ+片方のSHが3バックへチェイスにいく形なので、左右に素早く揺さぶられるとSHのどちらが前に出ていくのか迷ってしまう。
 このシーンでは左右を入れ替えていた、右SHドゥドゥも左SH田中もプレスにいく姿勢は見せましたが、いずれも間に合わず。
 ガブリエウがフリーで縦パスを送られる状況を作られています。

 さらにDFラインで左右に振られたことで、小森と横山の2トップも中央に置き去りになってしまった。
 単純に後半は頭からジェフの運動量が落ちてプレスにいけず、ラインも深くなりがちではありましたが、横浜FCのビルドアップの良さも出たシーンだったと思います。
 こうやってメインのサイド攻撃だけでなく中央でも攻撃を作れるのが横浜FCが上位で戦えている要因でもあると思いますし、ジェフはこのような縦パスが少ない印象がありますね。


 後半立ち上がりということもあって、ジェフの前方選手はプレスにいく意欲は見せていたため、左ボランチのエドゥアルドもユーリを捕まえに前に出ていました。
 しかし、その分、図の黒い円で示したバイタルエリアがぽっかりと空いてしまい、そこを取られてしまった展開となります。
 この後も横浜FCはバイタルエリアを取るシーンが多く、ジェフはそこを埋めきれなかった印象です。

 中盤のポジショニングもあって、バイタルエリアを取らることが増えているという話は、中断前にも何度かしてきました
 横浜FC戦ではボランチコンビを変えたにもかかわらず課題は変わらなかったことになるわけで、選手個々の問題もあるかもしれませんが、チームとしての課題と言えるでしょう。
 バイタルエリアにボールが通ってしまうと、そこから直接チャンスが作られる可能性が高まるだけでなく、ラインも下がりがちになるし、左右にも展開されやすい状況となってしまいます。


 さらに気になるのは、中断前の数戦では点を奪いたい前への意識が高い状況で、前からのプレスがはまらなかった結果、中盤が空いてしまうことが多かった。
 しかし、今回はリードしているにもかかわらず、バイタルエリアを空けてしまう場面が目立ったということで、余計に守備の不安を感じる展開となってしまったと思います。
 中途半端な試合運びをしてしまったとも言えるのでしょうが、単純に守備の整備に課題があるとも言えるのかもしれません。

 その点、パリオリンピック日本代表の守備は見事だったと思います。
 先日、Youtubeで攻守の戦い方を取り上げたのですが、日本代表もジェフ同様にプレス時は数的同数でアグレッシブな仕掛けをしていきました。
 しかし、プレスがはまらないとなると4-4-2でコンパクトに守って、間を取らせない守備をしていきました。

 特にバイタルエリアは決して空けず、必ずボランチがCB前に立つ状況を作れていたと思います。

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 もちろん選手の質や相手チームなどの違いは大きいとは思うのですが、システムも同じ守備時は4-4-2、攻撃時は4-1-2-3が基本。
 ハイプレス中心の守備にサイド攻撃も含めて、似通った戦い方のチームだったと思うだけに、ジェフも参考になるところがあるのではないかなと思います。


 守備に関しては上記の通りですが、攻撃時はサイドで流動的に戦えていたこと。
 SBをより前に押し上げていたことによって、ジェフのように縦への仕掛けだけではない、連動した厚みのある攻撃が作れていたチームではないでしょうか。
 裏への意識などはジェフの方が上回っていたかもしれませんが、より攻守に組織的に戦えていたのではないかと思います。

 そういった組織的な戦い方が、チームの安定感を生むところも大きい。
 その点で今のジェフは苦労しているのかもしれません。