ある意味で、富士スピードウェイの問題以上に気になる佐藤琢磨のスランプ。
「午前中は金曜日の夜からクルマを煮詰めたこともあって、走り出しは悪くなかったんです。でも、その後タイムが上がらなくなって、なぜか後退。クルマの動きに異常はないんですが、タイヤのグリップがない。タイヤ圧もチェックしたんですが、タイヤ温度がアンソニー(デイビッドソン)に較べて二桁も低く、グリップが戻らないんです。新品タイヤでも同じことで、タイヤの温度がワーキングレンジに入っていない」
チームは必死に原因を探るが、やれるのはデイビッドソン車と異なるデータがないか調べることぐらいで、マシンは予選が終れば車両保管に入るから、決勝に向けてセッティングを変えることもできない。そのデイビッドソン車のデータも、最近は琢磨車とはマシン・セッティングがかなり変わって来てしまっているので、直接的な比較にはならないのだという。振り返って見ると、琢磨はドイツから6戦連続でQ3止まりである。
フランスGPあたりから急激にパフォーマンスが落ち、当初は「アンダーフロアの取り付けに不具合が」と言われていたため、一時的な問題なのかと思っていました。
しかし、その後もパフォーマンスは上がらず、ついに最終戦までそのままで来てしまいました。
他チームとの差ならばともかく、直接的なライバルであるアンソニー・デビットソンと比較しても厳しい状況です。
原因として考えるのは、1つはアンダーフロア以外に問題があるということ。
しかし、デビットソンはその問題を抱えていないということになりますが…。
もう1つは、そのデビットソンがチームに慣れてきたこと。
琢磨のアドバンテージがなくなりつつあるということですね。
そして、最後にマシン自体のパフォーマンスが低下してきているということ。
BARでの最後の年もそうでしたけど、琢磨はマシンのパフォーマンスに直結して自身のパフォーマンスにも影響が出てしまうタイプのようです。
その時のライバルだったバトンは、琢磨とは逆にマシンのパフォーマンスを気にせず走れてしまうタイプなんだとか。
それだけ聞くとバトンの方が優れているように聞こえてしまうけど、ホンダの中本さんによると「マシンの良さが解りにくくなるので逆に困る」とのこと。
良く言えば“なんでも乗りこなす”ということだけど、言い方を悪くすれば“鈍感過ぎる”ということですね。
琢磨は反対に“敏感すぎる”のかもしれません。
しかし、それでもいくらマシンの状態に敏感だとしたって、それだけが理由でライバル相手に予選で1秒も負けているのでは、話しになりません。
けれど、それでもロケットスタートと決勝での思い切ったパッシングで、決勝リザルトではさほど負けているイメージはありません。
(まぁ、デビットソンのリタイヤが多すぎるってこともありますけど。)
でもそれは逆に言えば、予選で頑張ればもっと上にいけるということ。
決勝では安定してきているわけだし、これが来年の課題になるのかもしれませんね。
明日は更新お休みかも。