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小林慶行監督「最後に相手にやらせなかった粘り強さ」

 昨日はブログの更新を、お休みさせていただきました。
 ブログでは、今日まで群馬戦の話をしてきたいと思います。

 群馬戦後の小林監督のコメントをまとめると、「すごくいいという試合というではなかった」、「相手の時間で戦えない時間がこの2試合は長くなってしまった」。
 2試合ということですから、群馬戦とその前の愛媛戦を含めてのことですね。
 しかし、「最後で相手にやられない粘り強さなど、少しずつたくましくなっている」と話しています。

jefunited.co.jp

 確かに粘り強さだとか、賢く戦うゲーム運びなどは、ジェフの課題となっていると思います。
 それもあってか、今季の成績を見ると17勝4分13敗。
 引き分けは4つしかなく、勝つか負けるか、ハッキリとしたチームになってしまっています。

 現在のところ、J2チームで4分という数字は最少の成績で、清水と、藤枝と、ジェフのみとなっています。
 2位の清水は当然その分勝ち星が多いわけで、ジェフの4分は目立って見えます。
 もちろん、引き分けが多いことも良いことではないのですが、ジェフに関しては当たって砕けろなチーム状況になっているのかなと言った印象です。

www.jleague.jp

 それだけ、粘り強さがないというか、良い時と悪い時が激しいチームになっているのではないでしょうか。

 小林監督は「うまくいかずに自陣で守備をするときは、やることを整理して最後のところでシュートブロックする」、「そういう質は間違いなく上がっている」と話しています。
 ただ、得点数がJ2で断トツの最下位となっている群馬相手に最後のところで守れたところで、粘り強く戦う点が改善していると言えるのかどうか。
 少なくとも守備全体を見て良い状態だったかというと、疑問はあると思います。


 先週も話した通り、序盤からジェフはバイタルエリアがぽっかり空くことが多かった。
 後半に入ってからはスタミナ切れを起こし、より中盤にパスを通されることが増えていった試合だったと思います。

yukkuriikou.hatenablog.com

 確かにそこからゴール前で跳ね返し、失点を免れたことも事実。

 ただ、後方でシュートブロックが出来ていたのも、単純に以前のジェフとは違って、リトリート時は無理にプレスにいくことが減ったからではないでしょうか。
 それによって全体のラインが下がるわけで、スペースなどを取られることが減って、人数で跳ね返しているだけではないかとも思います。
 それを粘り強くと、表現していいものなのか。


 全体のラインが下がっている分、カウンタ―にも持ち込みにくくなっているし、防戦一方となる時間帯も増えている。
 相手の攻撃回数が増えたとしても下位チーム相手なら凌げるでしょうが、中位や上位チームはそこを逃してくれないかもしれないし、もし71点を失った時にそこから巻き返せる勢いが残っているのか。
 それでも小森がいるからと言えばそれまでなのでしょうが、小森頼りになり過ぎるのも怖いところです。

 小林監督はこれまで失点に直接絡んだ選手を交代することが多いですし、ゴール前でも1対1を大事にする監督なのかもしれませんね。
 だから、ここでもシュートブロックという話が出ているし、あまり全体での守備組織というものには興味がないのかなとも思います。
 個人的にはプレーオフも含めた残り試合では、ガンガン前に出ていくジェフに期待したいところで、逆に粘り強く戦う展開においてはまだ不安要素の方が多いような気がしています。

武藤覚監督「ジェフの守備を見てバイタルエリアが空いてくると感じた」

 ジェフ対群馬戦後、群馬の武藤監督のコメントです。
 ジェフは8月末からの好調で守備面にスポットが当たることは少ないですが、守備に関してはまだ不安な部分も残っているようにも思います。

thespa.co.jp

武藤覚監督「ジェフさんの守備を見て、あの(バイタルエリアの)位置が空いてくるというのは感じた部分でした。和田がそこでプレーできるというのは分かっていましたし、らしさを出してくれたと思います」

 以前にも話していますが、現在のジェフはバイタルエリアが空きがちな傾向がある。
 マンマークでどんどんと人についていってしまうところがある上に、攻撃時は左ボランチがインサイドの位置に上がって4-1-2-3のシステムになる。
 そのため、攻守の切り替えで後れを取って左インサイドの裏を取られたり、守備時もプレスにいく時は左ボランチが前に出がちなので、1ボランチ状態になったところからそこを突かれることがある印象です。

 そのため、武藤監督は機動力のある和田を前線で起用して、バイタルエリアを取りに行ったのでしょう。
 考えて見れば、愛媛戦でもトップ下の石浦を捕まえきれず、苦戦したところがあります。
 そこが攻撃面でのジェフ攻略方法となっていくのかもしれません。


 群馬戦で、特に気になったのは12分のシーン。

 群馬の仙波が後方からのパスを受けると、エドゥアルドが前に出てきたため中塩に送ります。
 中塩は杉山のプレスが来る前にワンタッチで、前の山中へと繋ぎました。
 山中も高橋のプレスが来る前に、ぽっかりと空いたバイタルエリアに下がって受けた平松へ、パスを通す展開となりました。

 平松のトラップが少し大きく、攻撃に時間がかかったこともあって事なきを得ましたが、危ないシーンだったと思います。
 ちなみに、ジェフはこの少し前の9分にも、バイタルエリアにパスを通されて攻撃を作られています。
 その時はバイタルエリアでパスを繋がれて、左サイドからクロスが上げられていますが、クロスの精度を欠いてシュートまでは至っていません。


 図の場面では、まずエドゥアルドが前に出て仙波に寄せにいったことで、実質1ボランチになっています。
 しかし、ボランチの位置に残った品田も前線の川本が一度下がった位置から、斜め前方の高橋の裏を狙ったフリーランをしてきたため、そこについていってしまいました。
 そのため白いエリアで示した通り、0ボランチのような状態になってしまっています。

 ジェフの守備の場合、ボランチが相手に食い付き過ぎるため、バイタルエリアが空きがちになってしまうというところが大きいのでしょう。
 しかし、この場面でのエドゥアルドは、チーム全体として前から積極的にプレスにいくということを期待して、前に出続けて戻りが遅れたのかもしれません。
 けれども、右サイドの杉山、高橋のプレスも中途半端になった結果、そこを掻い潜られてバイタルエリアを取られてしまったとも言えなくもないでしょうし、プレスがはまっていないことがそもそもの問題という見方も出来るのかなとも思います。


 守備のスペシャリストである小林とまでは言わないにしても、田口だったらもう少し賢くバランスを取った守備が出来るのかもしれません。
 ただ、アンカー品田が局面局面で決定的なパスを出していることを考えると、品田を第一に考えたい。
 アンカー品田を軸としてパートナーを考えるのなら、全体的なフィジカル面だとサイズ面も考えて、エドゥアルドの方が相性が良いという考えでしょうか。

 しかし、品田も守備面では課題が多く、21分に群馬の右サイドを川上が抜け出して決定機を作られたシーンでも、ワンタッチでスルーパスを出した天笠への寄せが甘かったのは品田でした。
 品田の守備範囲が狭いこともあって、エドゥアルドが前に出すぎると、スペースを埋めきれないところもあるのではないかと思います。
 かといって、エドゥアルドも気の利いたカバーリングというよりは、フィジカルを活かして潰していくタイプにも思えますし、その結果スペース管理という点で問題が生じているのではないでしょうか。

 気になるのは、ここにあげた9分のシーンも12分のシーンも21分のシーンも、まだ選手たちが動けていた時間帯だったということ。
 後半に足が止まってスペースが出来てしまうというのならばまだしも、前半から守備に穴が多いということになれば、心配な要素となりかねない気がします。
 完璧な守備を90分間続けるというのは難しいにしても、少しずつでも修正していってほしいところではないでしょうか。