久藤監督になって好調の群馬 ジェフのゲームプランは?

 明日、行われるジェフ対群馬戦は14時キックオフで、デイゲームがスタートとなります。
 今年はオリンピック中断もあったためシーズン終了が若干遅くなりますが、デイゲームの時期に入ってくるとシーズン終盤が近づいてきたといった印象を受けますね。

 今年も残り12試合となりますが、残留争いは熾烈な展開となっています。

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 御覧の通り、14位から22位までの9チームが、勝点差7の中で争う混戦となっています。
 しかも、昨年、新型コロナウィルスの影響を受けJ3降格がなかった分、ここから降格クラブが4チーム出ることになります。
 ただし、J3の1位・2位クラブにJ2ライセンスがなかった場合、3位以降の繰り上げはなく、J3降格チームが減ることになりますので、J3の動向次第で状況は変わることになります。

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 ジェフは現在勝点40で10位。
 残り試合数と同数分勝点を詰められる目算はあるとも言われていますので、その計算だとジェフも決して安泰ではないかもしれません。
 ただ、混戦状態で順位的には余裕があるので、さすがにジェフが大崩れしなければ問題ないでしょう。


 一方で昇格争いは上位2チームが抜け始めており、京都が勝点64で首位、磐田が勝点63で2位。
 3位新潟と4位甲府が勝点53なのでまだ可能性は残されているかもしれませんが、現状だと差がはっきりと出ていますね。
 ジェフは昇格圏と勝点20以上差がついており、ホーム最終戦が京都戦ですので、目の前でズッ友の昇格を見送ることになるのでしょうか…。

 上記の順位表でも記載したとおり、ジェフは残留争いの渦中にいるクラブとの対戦が多数残っています。
 下位チームとの対戦となるわけですし、愛媛のように悩みや焦りを感じるチームもあるかもしれませんから、そこはチャンスと言えるでしょう。
 しかし、相模原のように監督交代などで状況が改善したり、追い込まれて必死になるチームもあり得なくないでしょうから、相手の状況を見定めることがより重要となるかもしれませんね。


 明日対戦する群馬も下位に苦しんでおり、7月3日にジェフと対戦した直後に奥野監督を解任し、現在は久藤監督がコーチから昇格し指揮を執っています。
 ただ、基本的なスタイルは大きく変わらず、ピッチ全体を広く使ってパスを回していき、サイドや中央を起点に仕掛けていくサッカーです。
 中央では2トップの一角が下がって受けてポイントになり、縦関係でギャップを作って攻め込んでいくのが特徴です。

 これに関して監督が代わってからやり始めたような記述もありましたが、奥野監督の頃から見られた動きで、以前から大前などが下がってバイタルエリアでチャンスを作っていました。
 しかし、一時は大前が負傷中で他の選手が下がって受けていたので、よりそこが目立って見えたのかもしれません。
 なお、大前は前節琉球戦で復帰し、途中出場を果たしているため、ジェフ戦でも要警戒ですね。


 ただ、以前と大きく異なるのは、攻撃のスピード感だと思います。
 ワンタッチのパスが増えて、素早く前へと繋ぎ、裏なども積極的に狙うようになった。
 よりアグレッシブなパスサッカーが見られるようになった印象で、相手の守備が整う前に攻めようという意識を感じます。

 一方、守備に関しても大きくは変わっておらず、4‐4‐2でバランスを重視するスタイル。
 攻守の切り替え直後に関してはプレスに行くものの、それ以外でのプレスは無理にはいかない印象です。
 コーチからの昇格ということもあって、なるべく良いところは残そうということなのでしょうか。


 チームの変化という意味では7月から磐田CB大武が加入したことも大きく、高さやビルドアップなど攻守に貢献しているように思います。
 アグレッシブな攻撃も功を奏して、監督交代からは6試合負けなし。
 その間、3勝3分と好成績を収め、降格圏内を脱出しました。

 しかし、9月4日の秋田戦で久藤監督就任後初黒星を喫すと、続く甲府戦でも0-3で完敗。
 秋田戦では相手のプレスをかわすため、長いボールで攻め込みますがゴールを割り切れず、甲府戦では前掛かりになった裏を突かれた印象で、守備時の甘さがあったようにも思います。
 それでも前節琉球戦では前半のうちに先制すると、そこからは後方で粘って1‐0の勝利を上げました。


 ここ3試合を見ると、一時期ほどの好調ではないようにも感じます。
 特に守備面での強度に不安がある印象で、ジェフとしては圧力をかけて行けばチャンスは生まれるのかもしれません。
 ただ、良い状態でボールを持った時の攻撃は以前よりも鋭さを感じ、そこからのパスワークがハマれば怖いチームですね。

 また、明日はデイゲームということもあり、お互いにゲームプランをうまく建てることが重要となってくるのかもしれません。
 気温だけでなく日光が出ていると、疲労を感じるところもあります。
 ジェフもハイプレスでは90分間持たないところがありましたし、群馬も後半に苦しむ傾向がある印象です。

 特にジェフの場合、前節愛媛戦では前半からプレスがかかりませんでしたが、それが結果的に大きくガス欠せずに済んだところがある。
 ただ、尹監督のコメントによると「前から行こうとしていた」意思はあったようですし、それを踏まえて群馬戦でどういった作戦で戦っていくのか。
 ゲームプランが、試合のカギを握る可能性もあるかもしれませんね。

尹監督「相手の形を変えたビルドアップで難しいところはあった」

 愛媛戦では、ここ数戦のようなハイプレスとはいかなかったジェフ。
 後半から失速することが多いため控えたのかなとも思ったのですが、尹監督のコメントによるとプレスに行こうとはしたものの、相手のビルドアップに苦労して行けなかった模様です。

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前半、構えて守備をする印象があったが?
尹晶煥監督「前から行こうとしたが、相手の形を変えたビルドアップで難しいところはあった。選手がカバーしながらしっかり防ぎ、前から行ってのインターセプトもいくつか出た。今日の試合で多くのことを勉強できた。今日のように変則的なビルドアップをするチームにも対応していければ。」

 確かに前半は、愛媛の動きに苦労していたところがあったと思います。
 試合後にも話しましたが、愛媛の左シャドーの近藤がサイドに流れることで、右シャドーの矢田がサイド後方に押し込まれ、それによって前へプレスに行けなかったところがありました。

 27分には、このような場面が。

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 愛媛がDFラインでパスを回していると、近藤がスッと中央から左サイドに流れていき、そこに矢田がついていきます。
 茂木からのパスを受けた近藤が、一度矢田に仕掛けてDFラインに戻すと、再び茂木がボールを持って、図のような展開になりました。

 その後、近藤がボールを受けると藤本、石井などと素早くパスを繋いで、ジェフの守備陣をサイドに引き付けます。
 そこから田中へ戻すと、大きく逆サイドへ展開。
 小暮がボールを持ちオーバーラップしてきた大谷へと繋ぎますが、フリーになった大谷のクロスは精度を欠いてしまいました。


 この日の愛媛は左サイドで人数をかけて、右サイドへと展開し小暮と末吉を勝負させる展開を狙ってきましたね。
 ジェフは磐田戦でも左サイドを狙われましたが、鈴木大輔だけでなく末吉の守備も弱点と見られているのでしょうか。
 ジェフがゴールを決める直前にも小暮の仕掛けから鋭いシュートを放たれており、危険な状況だったと思います。

 この左サイドに人数をかける形が、尹監督の指摘する変化のあるビルドアップということでしょうか。
 確かに人数をかけられたのは厳しかったですが、ジェフは3バックにしてからシャドーがDFにプレスに行くのか、サイドの守備に回るのかに関して、ずっと悩みを感じる部分があります。
 上記のシーンでも、矢田がサイドに流れたことで青いエリアがぽっかりと空いて、そこからボールを持ち込まれていることになります。


 3‐4‐3だとサイドが1枚になってしまうし、5‐4‐1だと前へプレスに行けず攻撃を作られてしまう。
 図のシーンだと、結果的にソロモンと見木が前線に残って、変則的な5‐3‐2のようなシステムになります。
 ただ、矢田は下がりながらサイド後方のスペースを消しに行っているため、その分どうしても左CB茂木はフリーで前へと持ち上がることが出来て、そこから後手に回ってしまいますね。

 これが3バックの悩みであり、チームとして整備しなければいけない部分でしょう。
 逆に3バックと2ボランチの合計五枚で後方中央を固められるのがメリットで、そこで相手の攻撃を弾き返せることが出来る。
 それが失点数減少にもつながっているのでしょう。


 ただ、攻撃に課題のあるチームはパスの出所をフリーにしても、その後にアタッキングエリアでミスをしてくれるから、後方中央さえ埋めておけば問題ない。
 しかし、例えば磐田のように質の高いチームは、パスの出所をフリーにしていると、後方やサイドからでもチャンスを作れる。
 そのため、下位には勝てても上位には勝てない問題が、生まれているように思います。

 実際、愛媛は上記シーンでもサイドでフリーな選手は作れましたが、クロスの質を欠いてしまった。
 一方、磐田は最後方の大井をフリーにしたところから、ラストパスを送られて失点してしまっています。
 確実に勝点を拾うことだけを重視するのであれば今の守備でもいいのでしょうが、より上位を目指すとなるとプレスの整備などプラスアルファの強みが必要になってくるということなのかもしれません。