前日に続いて、年末年始に去就が決まった攻撃的選手たちをまとめて見ていきます。
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安井は神戸アカデミー出身で、2017年にU-18からトップ昇格。
2020年には途中出場がメインながら、中盤で20試合に出場を果たします。
しかし、2021年序盤に出場機会を伸ばせずにいると、夏に町田へと完全移籍。
その年は町田でもあまり出番がありませんでしたが、2022年途中に現山形MF高江とボランチコンビを組んでいた佐野海舟がオーバートレーニング症候群で離脱。
その穴を埋める形で、後半戦のボランチとして出場機会を伸ばし、30試合に出場します。
しかし、翌年は怪我での出遅れもあった上、町田が黒田監督の就任と合わせて、積極補強を敢行。
ボランチだけでも下田、稲葉に加えて夏には松井も加わったため、安井は23試合に出場するもスタメンは10試合のみ。
出場時間でいうと、前年の2044分から886分へと大幅に減少しています。
チームはJ1昇格を果たしますが、安井は6月の天皇杯筑波大戦でチャン・ミンギュと共に骨折し、全治6か月の診断を受け、今季の新体制発表会によるといまだリハビリ中のようです。
ただ、その6月までの成績も8試合の途中出場のみで、今年はさらに苦戦していたといえるでしょう。
そこでジェフへの移籍となったのではないでしょうか。
本人のコメントからは攻撃的なポジションを望んでいるように見え、実際2022年後半以外の時期は2列目でのプレーも多い状況です。
ジェフでも初めは2列目になるのかもしれませんが、今季の補強を見ても小林監督は本来SHにドリブラーを置きたいのではないかと思いますし、個人的にはボランチ兼インサイドの方があっている選手ではないかとも思います。
2022年の安井は運動量豊富にアップダウンをして、何よりもシンプルにボールをさばくプレーで、チームに貢献していた印象です。
元々は攻撃的な選手で本人もそのイメージが残っているものの、プロに入ってポジションを下げていくパターンなのかなとも思います。
ちょうどジェフのボランチは世代交代も考えなければいけない時期にあると思いますし、そこに滑り込めれば本人にとってもチームにとってもそれが一番ではないでしょうか。
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吉田は四国学院大から2022年に特別指定で、J3讃岐に加入。
その年、すでに14試合に出場していました。
2023年にプロ入りすると、1年目から33試合に出場し4ゴール。
2年目も34試合に出場し4ゴールと、見事な活躍を見せます。
プロ入り1年目から背番号11をつけており、早くから相当期待されていたのでしょう。
そして、今季ジェフへと完全移籍で加入ということになりました。
プレースタイルは足元で受けてどんどん仕掛けて、ゴールを狙っていくタイプで、スピードも十分。
小林監督が好みタイプのSHといえるでしょう。
左SHの選手ということで、現在のジェフにとって薄いポジションですから、椿とのポジション争いに加わってほしい選手ではないかと思います。
守備面だとか繋ぎの面などにおいては、まだまだ粗削りな選手なのかなとも思いますが、25歳と中堅どころといえるでしょうし、環境が変わった状況での成長にも期待したいところですね。
また、ジェフとしては日高や佐々木などJ3で活躍した選手を引き抜いたともいえ、今回も成功すれば非常に良い見立てといえるのではないかと思います。
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岡庭は昨年、FC東京からジェフへレンタル移籍していましたが、今年は山口への再レンタルとなってしまいました。
SBが本職ではありますが、主にジェフでは右SHとしてプレー。
アグレッシブなプレースタイルと運動量豊富にアップダウンするハードワーク、精度の高いクロスボールなどで大きく貢献してくれたと思います。
スタメンは9試合とあまり多くなかったですが、30試合に出場し3ゴール5アシストとゴールにもしっかりと絡んでいます。
正直岡庭の退団はもったいない印象が強いのですが、再レンタルということでFC東京が手放さなかったのでしょうか。
ただ、昨年9月中頃まではスタメンを含む出場機会もあったのですが、徐々に出場機会が少なくなっていました。
SH候補はあまり多く中田にもかかわらず、終盤はチャンスが少なかったですし、小林監督はあまり好まなかったのかなとも思います。
ジェフのSHはサイドでのアップダウンを求められ、ファーストディフェンダーになることも多い。
その点でも岡庭は十分やれていたと思うのですが、田中に比べると奪いきるフィジカルはなかったのかもしれません。
ただ、それ以上に自らゴールに迫るという点で、物足りなさがあったという小林監督の評価なのでしょうか。
しかし、そこまでを望むとさすがに個人に頼りすぎではないかと思うのですが、特に前線の動きは属人的な印象も強いチームですので、すべてをこなすことを期待していたのかもしれません。
同じポジションの田中という存在が大きかったのは事実ですし、非常に残念ですがタイミングが悪かったということになるのでしょうか。
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一方で、G大阪から昨夏ジェフへレンタル移籍していた杉山は、完全移籍で残留となりました。
順大から2022年熊本へ加入した杉山は2年間熊本で活躍しますが、2023年にG大阪でJ1にチャレンジするも1年間で8試合しか出場できず。
昨年前半は山形へレンタル移籍すものの、半年間で出場14試合、スタメン4試合、1ゴールどまりに。
アシストもなく、半年間でジェフへ再レンタルとなっていました。
個人的に加入時にも不安視していた通り、杉山は右SHからのカットインが得意なタイプですが、ジェフの右SHはワイドに張ることを要求される。
そこがビルドアップの出口となるため戦術的にも大事な役割だっただけに、ジェフでの杉山は最後まではまりきらなかった印象です。
守備面でもさぼらずに前へいく姿勢は見せますが、最後の寄せきるところが甘く、そこからプレスを交わされてしまうシーンが目立っていました。
結局、ジェフでも13試合出場のスタメン4試合で、0ゴール0アシストに終わっています。
こういった状況もあるだけに、ジェフ残留は正直意外ですが、契約の問題もあったのか。
あるいは、小林監督は好んで起用していた印象もあっただけに、小林監督自身は期待しているのかもしれません。
攻撃の幅を増やすためにも、杉山のカットインからのシュートに可能性を感じているのか。
ただ、攻撃の幅を増やすためには個だけでは厳しく、チームとしても整備してあげなければ厳しいでしょう。
杉山のカットインを生かすには熊本のように完全にサイドをパスワークで崩すか、外を積極的にオーバーラップするようなSBが必要ではないかと思うのですが、高橋がSBの軸となっているだけに今季も簡単ではないのではないかと思います。
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最後にFWに関して。
小森が抜けたジェフは、ブラジル人FWデレクことデリキを獲得しました。
本名はデレクで当初はジェフもデレクと紹介しましたが、のちにデリキと登録することを発表しています。
2017年にブラジルでキャリアをスタートしたデリキですが、2019年には早くもウクライナ2部のメタリストへ移籍。
主力として1部昇格に貢献したようですが、ウクライナ情勢もあって2022年に元ジェフも在籍したブラジルのシャペコエンセに移籍。
翌年はグアラニへと移籍し、ブラジルのセリエBで34試合出場10ゴールと結果を残しました。
昨年はアトレチコに移籍しますが、ブラジルのセリアAで25試合出場3ゴールに終わり、ジェフへ移籍となっています。
成績だけ見るとグアラニの10ゴールが最高で、そこまで実績のあるタイプではないように思います。
Wikipediaのページはこちらで。
FW登録ではありますが、SHなどで起用されることも多かったようで、サイトによっては「MF、FW」と書かれています。
動画で見てもサイドをドリブルで仕掛けてクロスを上げたり、中盤からミドルシュートを狙ったりといったプレーが少なくありません。
前を向いた方が生きるタイプではないかとも感じたので、ジェフも意外と2列目でも考えて補強したのではないかと思ったのですが、鈴木GMは新体制発表会で「ボックス内で力を発揮するタイプ」と話しており、非常に意外な印象でした。
確かに動画では185㎝の長身を活かしたヘディングでシュートを放っているシーンもありましたが、どちらかといえばオールマイティなアタッカーといった印象でした。
それでも、こちらはさすがに短い動画を見ただけですから、そこは強化部の目利きがあっていると信じたいところ。
とはいえ、さすがにヘディング特化のタイプでもないと思います。
また、現チームは前線からのプレスがベースですから、例え得点力があったとしても、守備力がないと厳しい可能性もあります。
そのあたりはしっかりと試合を通じて、見ていきたいところですね。
小森が抜けた以上は、非常に大事な選手となると思いますし、活躍を期待したいと思います。
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一方でジェフアカデミー出身の佐久間は、契約満了となってしまいました。
2022年にトップ昇格した佐久間は、2023に八戸へとレンタル移籍していますが、ジェフではトータルで8試合に出場しています。
長身FWながらも走れて技術もある選手で、球際で粘れるタイプではないかと思っていました。
184cm身長もあって、巻のような選手になることひそかに期待していたのですが、残念ながら契約満了に。
本人のコメントによると怪我が治るまでジェフでリハビリをするとのことですが、昨年がプロ3年目だったということで勝負の年だったのかもしれません。
しかし、今オフは矢口に新明に佐久間にと、ジェフ期待のアカデミー出身者が一気に退団してしまったことになります。
改めて自前で選手を育てる難しさを感じますし、なかなかアカデミー出身を開花ささせることができませんね。
全体的に見ればここ数年は中堅年代の選手も増えているとはいえ、育成の難しさを痛感するオフとなっているのではないでしょうか。