ジェフはアウェイ札幌戦でも、勝利をあげて開幕4連勝。
正直、前節山形戦こそ良い試合だったといえるでしょうが、それ以外の試合はそこまで完璧ではなく、これほど連勝をあげられているのが、意外な印象もあります。
ただ、厳しい内容でも勝てているのは、やはり鈴木大輔の鳥海のCBコンビが大きいのではないかと思います。
今季のジェフは無理にハイプレスにいかなくなり、セットした状況で守る時間も増えていますが、かといってまだ堅守を構築できているとは言い難い。
実際、この日も札幌にシュートを21本も打たれており、それだけゴール前まで攻め込まれているわけで、プレスにいかなくなった分、中盤以降の守備が堅くなったとは決して言えないでしょう。
さらに、この日もビルドアップ面で苦戦し、札幌のプレスに何度も引っかかってしまいました。
相手のプレスを引き付けてその裏へといった展開が作れているのであれば、ある程度はプレスを受けてもいいのかもしれませんが、それにしても低い位置でボールを奪われ過ぎですし、掻い潜って逆を取るような回数も少なかった。
それでも勝ててているのは、ゴール前で2CBを中心に耐えて、何とか凌げているからではないでしょうか。
また、ここまで全敗の札幌も、やはり非常に出来が悪かったと思います。
今季初のホームゲームということもあって、ここまでの試合よりは前への姿勢も見せられて、コンディションも良かったように見えましたが、それでも攻守に大きな課題を感じる内容でした。
特に守備面であれだけスカスカと裏を取られては、安定した勝点は期待できないでしょう。
札幌は攻撃面でも迷いが多く、サイドで仕掛けて詰まった時の周りの動きがなかったり、後方でボールを持つと止まってしまったり。
加えて、カウンター時にスプリントする選手も非常に少ない状況ですね。
特に試合終盤にビハインドの状況でも、後方でボールを持って攻め込めなかったのは、相手ながらにもどかしいものを感じました。
それでも札幌が過去の試合よりまだ攻められたのは、プレスからのハーフカウンターにいけていたからではないかと思います。
高い位置でボールを奪って攻め込めれば、攻撃面でのアイディアなどがなくともシュートまで持ち込むことができる。
逆に言えばジェフはそのチャンスを与え過ぎていたわけで、やはり全体的な内容としてはジェフも反省材料の多い試合だったのではないでしょうか。
■札幌DFラインの裏を取りジェフが2-1で先行
ジェフは鈴木椋大がスタメンに復帰し、カルリーニョスがサブに回って薄井がベンチ外。古巣相手だった前と小林も外れて、松田とカルリーニョスが控えに。
札幌はバカヨコ、スパチョーク、出間、家泉がスタメン。
中島、長谷川、木戸がサブに回って、大崎がメンバー外に。
控えには、ベテランの宮澤が入りました。
キックオフ早々、ジェフがセットプレーからチャンス。
左からのCK。
横山が蹴ると、ファーの田中がぽっかりとフリーでヘディングシュートを放ちますが、GK菅野がセーブ。
5分、ジェフの攻撃。
右SBの位置にい高橋がフリーでアーリークロスを上げると、林が裏へ抜け出しますが、惜しくも合わず。
しかし、このプレーで札幌GK菅野が林と接触してしまい、脳震盪でGK中野と交代となってしまいます。
10分、ジェフが先制。
横山のパスを受けた林が、間で受けてスルーパス。
これを受けた田中和樹が、フリーで裏を抜けてシュートを放ち1-0。
その後もジェフは積極的に裏を狙い、札幌はボールを持つも悩む展開に。
16分には札幌の攻撃。
中村が中盤の位置から思い切ったロングシュートを放ちますが、枠の外。
21分にはセットプレーから札幌のチャンス。
左サイドのCK。
スパチョークが蹴ると、高尾がフリーで合わせますが、枠の外。
25分にも札幌の攻撃。
高尾が中盤右から逆サイドへ展開。
スパチョークがクロスを上げると、最後はバカヨコが頭で狙いますが、GK鈴木がセーブ。
札幌がボールを持ち、ジェフが守る展開が続きましたが、31分にジェフが追加点。
石川が中盤の右から、長いスルーパス。
田中和樹が完全に裏を取ると、フリーで走り込んできた椿があわせて2-0。
37分、札幌が1点を返します。
左サイドから田中宏武がクロスを上げると、バカヨコなどが競り合いこぼれ球に。
これをスパチョークが受けてシュートを決めて、札幌が今季初ゴール。
47分、札幌のチャンス。
札幌のプレスからジェフのパスミスを誘い、セカンドボールを出間が拾って馬場へ。
馬場がミドルシュートを放ちますが、バーの上。
前半終盤は札幌のプレスにジェフのビルドアップが苦しみ、ボールロストする展開が続きます。
しかし、札幌の攻撃も決め手を欠き、2-1で折り返し。
■札幌がプレスから攻め込むもジェフが凌いで3-1の勝利
後半早々に札幌のチャンス。近藤が日高と入れ替わってラストパスを送るも、バカヨコは合わせきれず。
田中宏武が折り返し、スパチョークが狙いますが、鳥海がセーブ。
51分にも札幌の攻撃
中盤右寄りの位置からFK。
スパチョークが蹴ると、ニアで家泉が合わせますが、バーの上。
55分にはジェフが久々の攻撃。
左サイドの椿から、横山、林と中につないで、逆サイドの高橋へ。
高橋がミドルシュートで狙いますが、GK中野がセーブ。
後半も札幌がプレスを中心に前へ行き、ジェフはカウンターを狙う展開。
56分、札幌は出間を下げて荒野を投入。
64分、ジェフは足を痛めた横山を下げて安井を投入。
68分、ジェフは林、田口を下げて、呉屋、品田を投入。
71分、札幌は馬場を下げて、キム・ゴンヒを投入し、荒野がボランチへ。
76分、ジェフは日高、田中和樹を下げて、松田、岩井を投入。
81分、札幌はバカヨコ、スパチョーク、家泉を下げ、中島、長谷川、宮澤を投入。
83分、札幌の攻撃。
田中宏武が右足でクロスを上げると、ニアでキム・ゴンヒが合わせますが、ゴールの右。
90分、ジェフは椿を下げて吉田を投入。
91分、ジェフが追加点。
高橋が裏へロングボールを送ると、中野が処理を誤り呉屋が抜けて出しゴールを決めて3-1となり、ジェフのダメ押しで勝利となりました。
■ミスマッチから一時は5-4-1で守るなど押し込まれたジェフ
試合序盤から、札幌の守備は大丈夫なのかと感じる展開が乱発しました。CKではファーの田中をぽっかりと空けて、ジェフのチャンスに。
その直後の菅野が負傷交代してしまったシーンも、中盤右にいた高橋が完全にフリーでクロスを上げられたし、裏を狙った林もとらえきれていなかった。
そして、そのまま、バイタルエリアでフリーになった石川から、裏を取った田中が完全に抜け出してジェフが先制。
石川へパスを出した横山へは、中途半端に中盤で4人もの選手が守備へいっていましたし、中盤での守備も最終ラインの田中への対応も含めて隙の多い状況だったと思います。
さらに、2点目、3点目も結果的に裏を取って、ジェフがゴールを奪っています。
ジェフも札幌の裏への守備が弱いと分析して、試合に入ったのではないでしょうか。
序盤からいつも以上に裏を狙う動きが多く、シンプルな裏へのパスが目立っていました。
裏狙いはジェフの十八番ですし、攻撃の回数はそこまで多くなかったですが、裏を取れれば決定的なチャンスになりやすく、そこからリードを築けた試合ということになりました。
一方、ジェフも守備面では、苦労していた印象があります。
ハイプレスにはいかないにしても、セットした状況での守備に課題を感じ、攻め込まれる回数が増えてしまいました。
相手が3バックということで、ミスマッチも生まれて悩みを感じる守備だったと思います。
ジェフは基本4-4-2で守りますが、札幌は3-4-2-1で左右CBも前に出てくることが多い。
ただ、札幌の攻撃の中心は高嶺ということで、高嶺に対して石川が下がってマンマーク気味についていました。
しかし、そうなると、相手3バックには林しかチェックにいけなくなる。
そのため、田中和樹が前へ出て相手の左CB中村への守備にいく形でスタートでしたが、そうなると相手の左WB田中宏武がフリーになり、高橋より前で受ける場面が増えてしまう。
そこから田中宏武が仕掛けて、相手の左サイドからの仕掛けによって、ジェフが押し込まれる機会の目立った前半だったと思います。
仕方なくジェフは前半途中から田中と石川を1列ずつ下げて5-4-1気味に守りますが、石川は守備面には課題があって、後半からはシンプルに石川が3バックへプレスにいく4-4-2に戻すなど、バタバタとした展開だった印象です。
さらにビルドアップ面でも苦戦し、札幌はシンプルに1トップ2シャドーでプレスにきて、そこにWBも加勢しアンカーにはボランチが主にチェックにきていました。
人数を見れば積極的ではあるものの、1トップのバカヨコはさぼりはしないものの、そこまで激しいプレスをかけてくる選手ではない。
ジェフとしてはそこで相手のプレスを掻い潜るチャンスはあったはずなのに、ボールを奪われることが多く、スムーズな攻撃を展開できた回数はかなり少なかったと思います。
それでも、しっかりとジェフは勝てたのは、やはり札幌の最終的な攻撃面での課題が大きかったと思います。
サイドからの縦への仕掛けが多かったですが、工夫が少なく予測しやすい攻撃になっていました。
唯一個人技で変化を作れたのがスパチョークで、実際にゴールも決めていますが、個人でチーム全体の攻撃を活性化させるのには限界があるでしょう。
それとともにジェフの鈴木大輔、鳥海を中心とした守備陣が、最後までしっかりと耐えられたことが勝因だったと思います。
札幌はCKだけでも11本もあったわけですが、それらをすべてをゴール前で耐えきったDF陣が、今のチームを支えているように思います。
ただ、ハイプレスにいかないにしてもゴール前で耐える守備ではなく、その前で未然に防げる守備が本来は理想だと思いますし、ビルドアップ面と守備面の改善は今後も期待したい部分ではないでしょうか。