連勝中のジェフですが、熊本のパスワークに圧倒された試合展開でした。
熊本は流動的でスピーディな攻撃を仕掛け、何度もチャンスを作っていきました。
ジェフは熊本選手たちをまったくとらえきれず、防戦一方といった状況に。
単純に、セカンドボールや運動量で負けていたという部分もあったとは思います。
しかし、熊本が良い形で攻め込み、ジェフが高い位置でボールを奪い切れなかったからこそ、セカンドボールで劣勢に立たされていたというところも大きい。
こういった状況で、ビルドアップなどで落ち着かせられないことも、今のジェフの課題ですね。
ジェフとしては引き分けで御の字どころか、この試合展開でも引き分けで終われることに今のジェフの凄みすら感じました。
熊本はシュート23本にジェフは9本。
熊本もあれだけの決定機を決めきれないところに若さがあったといえるのかもしれません。
しかし、何度も危険な状況で攻め込まれても、無失点で終えられたのはやはり鈴木大輔と鳥海の存在というのが大きいと思います。
相手に揺さぶられても、最後までついていき、寸前でブロックする。
改めて、今季のジェフはこの2人のチームなんだなと思いました。
ただ、CBで絶える状況が続けば苦しくなってくるし、もし2人がいなくなった場合の対応も不安になります。
今回はアウェイということもありますが、大分戦、秋田戦と相手に元気がなかったこともあって、勝利出来たところも大きい。
改めてこの試合を受けて、もう一度気持ちを引き締めたいところですね。
■熊本の一方的な展開も0-0で折り返し
ジェフは石川がスタメンで復帰し、横山がサブに。高橋、田口、エドゥアルドが控えに回り、日高、品田、安井がスタメンで前が右SBに。
控えでは河野、呉屋が外れて、松田が入っています。
渡邉怜歩が負傷中の熊本はスタメン継続で、左SHに松岡、右SHに塩浜となっています。
GKには元ジェフ佐藤優也が。
熊本も7人しかサブに入っていません。
4分、熊本のチャンス。
大西とのパス交換から、塩浜がクロス。
半代が頭で狙いますが、ゴール右隅をそれます。
立ち上がりから、熊本が攻め込む展開。
サイドからの細かいパスでジェフを押し込んで、ゴールに迫っていきます。
ジェフは熊本のプレスにも苦しみ、ボールを前に持ち込めない状況が続きます。
11分にも熊本のチャンス。
右サイドからのCKで、ショートコーナーを選択。
中盤中央の松岡がミドルシュートを放ち、こぼれ球を塩浜が狙いますが、バーの上。
13分にも熊本の攻撃。
左サイドからのCK。
上村が蹴ると、袴田がニアから頭で狙いますが、GKスアレスがキャッチ。
17分、相手のミスからジェフのチャンス。
熊本が後方でパスミス。
これをカルリーニョスが拾って、すぐにロングシュートを放ちますが、ポスト直撃。
22分にも熊本のチャンス。
大西から右前方へのロングパス。
塩浜が落とすと、中央を走り込んでいった藤井が受けてシュートに行きますが、GKスアレスがセーブ。
35分にも熊本のチャンス。
右サイドの三島が藤井とのワンツーで中に入っていき、ゴール前へパス。
半代が反転してシュートに行きますが、GKスアレスの正面。
36分にも熊本の攻撃。
藤井が中央で少しためて、右サイドの塩浜へ。
塩浜がクロスを上げると、半代がニアでシュートに行きますが、GKスアレスがセーブ。
47分にも熊本の攻撃。
右サイド奥でのスローインから、塩浜が日高を交わして中央へ。
半代がニアで受けて狙いますが、ここもGKスアレスが止めて0-0で折り返します。
■後半も熊本ペースのまま0-0で終わる
49分、熊本の攻撃。上村からの展開を受けた、左サイドの袴田がクロス。
こぼれたところを半代が狙いますが、枠の外。
57分にも、熊本の決定機。
鳥海からの縦パスを石川が受けたところで袴田に奪われ、藤井が持ち上がってラストパス。
塩浜がシュートを放ちますが、バー直撃で終わります。
64分、熊本の攻撃。
PA直前の左で得たFK。
上村がまいたシュートで直接狙いますが、枠の外。
劣勢が続くジェフは69分、石川、安井、田中を下げて、林、横山、杉山を投入。
77分、熊本は藤井を下げて古長谷を投入。
徐々に熊本の運動量が下がっていきましたが、それでも熊本ペース。
81分、熊本の攻撃。
岩下が中盤で1人交わして、松岡がクロス。
塩浜が頭で狙いますが、枠の外。
その直後、熊本は接触のあった上村を下げて豊田を投入。
ジェフも品田を下げて田口を投入。
88分、熊本は半代、松岡を下げて、べ・ジョンミン、竹本を投入。
90分にはジェフの攻撃。
林が頭で落として、杉山が持ち上がっていきミドルシュート。
しかし、GK佐藤が横っ飛びでセーブ。
その直後、ジェフは椿を下げて吉田を投入。
試合終盤は、さすがに走り続けた熊本の運動量が落ちていきます。
ジェフもようやく攻め返すシーンが作れましたが、0-0で終わりました。
■前からのプレスやボランチ交代もあって劣勢に
ほぼ90分間を通して、熊本らしい流動的なパスワークに、ジェフが苦しんだ試合でした。熊本のビルドアップの基本は、CBから細かく繋いでいき、まず大外の選手にパスを出す。
そうやって、ジェフの守備ボックスを外に引き出す動きをしておいて、ハーフレーンの選手へ繋ぐ。
ジェフの守備が外に出ていかなければ、そのまま外を縦に仕掛ける。
同サイドのワイドもハーフレーンも閉じられたら、逆サイドへ展開して同じように狙っていく。
外と中をうまく使ったパスワークを、素早く細かく狙っていくので、ジェフは熊本の選手を掴み切れませんでした。
熊本の選手は運動量も豊富なだけではなく、パスを出したら必ず動き出すので全体的な動きが多い。
それによって、選手の距離感が非常に良く、テンポよくパスを繋いでいきました。
単純に1人1人の技術力が高いことも、ベースにあると思います。
細かいエリアでもパスを繋いでいけるし、スピードもあるので最後までやり切れる。
相手がいても怖がらずにボールを持つ、前に飛び出すという勇気があることも、重要なポイントではないかと思います。
このパスワークが、結果的に守備面でも効いていたと思います。
熊本はサイドの奥を攻め込んでいくので、ジェフは全体のラインが下がって、ボール奪取の位置が低くなってしまう。
さらに流動的な攻撃を仕掛けていくので、ジェフはボールを奪えても、ポジションバランスが崩れた状況でボールを持つことになる。
加えて、熊本は人数をかけてパスを繋いでくため、ジェフはボールを奪った瞬間は数的不利になっている。
そこから熊本はプレスをかけていくため、ボールを奪い返す展開も多い。
こうして、一方的な熊本の展開になったのだと思います。
一方のジェフは、守備面で苦しんだ試合だったということになると思います。
まず、前からのプレスにまったく行けなかったことで、熊本の3バックはパスを出し放題という状況でした。
熊本のビルドアップのスタートは3バックですから、リトリートして守るにしてもさすがにノープレッシャーだと、そこから後手に回ってしまう。
さらに、この試合ではダブルボランチを変えたことも、劣勢の要因だったのではないかと思います。
熊本は中盤でのパスワークが武器ですから、それに対してボランチのところで守備が出来ない、相手を潰し切れないというのは大きな問題になりかねない。
ここ数戦のジェフは田口とエドゥアルドが入って、中盤の守備に強さが加わったことがプラス材料ではないかと思っていただけに、そこのマイナス面も大きかったのではないかと思います。
構えて守るにしても、もう少し前から相手の攻撃を限定したいし、CBがゴール前で跳ね返す前にボールを奪う回数を増やしたい。
さらに、相手がプレスに来た時などに、ビルドアップで落ち着かせたい。
そういった課題が改めて見つかったことは、良いことなのではないでしょうか。
この試合は熊本の決定力にも救われたと思いますが、勝点1を拾いながら課題が見つかったことは良いことでもあると思います。
連戦中ですが、少しずつでも改善していってほしいところではないでしょうか。