真夏の開幕戦を迎えたJリーグ。
ジェフはアウェイで広島との対戦を迎えましたが、0-3という結果に終わってしまいました。
ちばぎんカップに続いて、ジェフは3バックでプレー。
柏戦よりは前に出ようという守備を見せてはいましたが、基本的には後方のスペースを埋める意識の強い守り方だったと思います。
そこからボールを奪って、エリソンや松村などフィジカルの強い選手に、ボールを蹴り込むサッカーとなりました。
開始早々に失点してから、後半途中までは何とか1失点にしのいでいましたし、奮闘していた部分もあったと思います。
ただ、試合終盤に2失点を浴びて、結果的には0-3。
ゴール期待値も広島が3.14でジェフは0.38でしたから、内容もスコア通りだったと言えるのでしょう。
守備的な戦いが増えると予想されるジェフですが、この日の失点パターンを見ると、すべてゴール前でぽっかりと相手選手を空けてしまっています。
1失点目は荒木の折り返しをフリーの前田が拾いホールが間に合わずにラストパスを出されており、2失点目もCKで途中投入直後の石尾の前で鈴木がフリーに。
3失点目も鈴木のサイドに流れる動きにホールがついていき、ゴール前中央にジェフ選手がいなくったところから川村に拾われてやられています。
ホールは人に強いもののポジショニングが怪しいところは柏戦でも感じていましたが、さすがにこれだけゴール前でフリーな選手を作っていては、勝点は増えていかないと思います。
CK守備の直前に選手を交代して失点するなども含めて、チーム全体として守備のメンタリティを改善できるか。
J2では攻撃サッカーを志向していたチームが、本気で堅守速攻に向き合って変化できるのかが問われているのではないかと思います。
一方で攻撃面も苦戦したわけですが、今までのサイド攻撃からエリソンを頂点としたサッカーに大きく変わっただけに、こちらもまだまだ時間がかかりそうな気がします。
カウンター時にエリソンにボールが入った時にどうサポートにいくのかも不明瞭な印象ですし、遅攻時もSHの縦への突破に頼っていただけに、悩みを感じる部分があります。
エリソンの突破力はさすがですが、相手もそこはわかっていますし、周りは活かせないタイプなので囲まれると弱いところもありますから、やはりゴール前までは他の選手で形作りたいところなのではないでしょうか。
また、サイド攻撃がなくなったことによって、CKが狙いにくくなったことも地味に痛いところで、この日のジェフのCKは0本となっています。
システムも変わって攻撃も大きく変わりそうな状況となっているため、まだ改善の余地が感じられる点に関しては、ジェフにとって救いとも言えるのかもしれません。
とはいえ、相手チームもジェフの改善を待ってくれるはずもないですし、早期に守備の改善と攻撃の形作りを目指さなければいけないと思います。
■開始早々の得点から広島が攻め込む
ジェフはちばぎんカップのスタメンから、河野が控えに回り、新加入の飯田が入って右CBに。ホールが中央CBで鳥海が左CBに回る、柏戦後半のような布陣になりました。
控えは11人が入れた柏戦から鈴木大輔、品田、イサカ、椿が外れて、マテウス・インディオが入りました。
中村がフランスに移籍した広島は、前田がシャドーでスタメン。
ザルツブルクから加入した川村と松本は控えで、元ジェフ中島浩司の息子である中島洋太朗がスタメンに。
海外移籍検討のため一時離脱したGK大迫はサブでGK大内が入り、控えにはオランダ1部リーグ得点王のアレーなどが入っています。
開始早々、ジェフが失点。
中盤でのFKの流れから、広島に拾われて川辺がクロスを上げると、荒木がファーで落とします。
ゴール前で前田がぽっかりと空いてラストパスを送り、加藤が競って最後は中野が詰めてゴール。
15分、広島の攻撃。
広島が中盤で奪い返したところから、中島が左サイドにパスを展開し、抜け出した東が抜け出します。
素早くスペースにクロスを上げると、前田が走り込みますが合わせきれず。
20分、広島のチャンス。
中盤右からのFK。
東が鋭いボールを蹴ると、GKスアレスが弾き出し、川辺も狙いますが、枠の外。
29分にも広島のチャンス。
サイドチェンジを受けた、中盤左の東からクロス。
鈴木がフリーで合わせますが、枠の外。
31分にも広島の決定機。
左から右へとサイドチェンジをして、中野がファーへクロス。
東が広がって鋭いラストパスを送ると、佐々木がゴール前で小林を交わしシュートにいきますが、GKスアレスがセーブ。
34分にはジェフのチャンス。
GKスアレスからのロングキックを、エリソンが落として松村が走り込んでシュートに行きますが、GK大内がセーブ。
これがジェフのファーストシュートになりました。
38分、広島のチャンス。
佐々木のパスから、東が受けてクロス。
ファーの前田がフリーで合わせますが、ジャストミートせず。
その直後、ジェフの攻撃。
村松の落しから、石川が浮き球のスルーパス。
エリソンが持ち上がってシュートを放ちますが、オフサイドの判定。
43分、ジェフの攻撃。
左サイドで津久井が仕掛けてクロス。
こぼれたところをファーの飯田が狙いますが、力なくGKがキャッチ。
前半終盤はリードする広島も運動量が若干落ちて、ジェフが仕掛ける場面も作れました。
しかし、スコアは変わらず、0-1で折り返します。
■ジェフが攻め込む展開が増えるも0-3で完敗
後半開始と同時に、ジェフは小林を下げて、マテウス・インディオを投入。広島も前田を下げてアレーを投入し、鈴木が右シャドーに移りました。
アレーが入ったこともあり、広島のプレスが緩くなり、ジェフも攻め込む展開が増えていきました。
47分、ジェフの攻撃。
津久井、エリソンと左サイドで繋いでいき、石川がキープ。
落として松村が狙いますが、大きく外れます。
56分、広島の攻撃。
ホールのロングボールを跳ね返されたところから、アレー、川辺と中盤中央で繋いでいきます。
最後は中野が左足でミドルシュートを放ちますが、GKスアレスがファインセーブ。
58分、ジェフの決定機。
松村が中盤でキープしたところから、右サイドへと展開。
田中が左足でシュートを放ち、石川も触りますが、GK大内がセーブ。
その直後には広島のチャンス。
アレーが前線でボールを引き出して落とすと、鈴木がシュート。
しかし、ゴールの左をそれます。
63分、ジェフは田中、松村を下げて、矢村、姫野を投入。
広島も中島を下げて松本を投入。
両チームとも運動量が落ち、苦しい時間帯に。
72分、広島の攻撃。
左サイドの松本からクロスを上げると、こぼれたところをアレーが競って落とします。
中野が拾ってシュートに行きますが、バーの上。
76分、広島の決定機。
中盤左でキープしたアレーが、素早く逆サイドへ展開。
加藤が持ち上がってシュートに行きますが、GKスアレスがファインセーブ。
77分、ジェフは津久井を下げて石尾を投入。
しかし、その直後に広島が追加点。
CKを松本が蹴ると石尾の前の鈴木が、ぽっかりとフリーになって足元で決めて0-2に。
その直後、広島は東と塩谷を下げて、新井と山崎を投入。
ジェフも石川を下げて、ホシャを投入。
83分、広島は足を痛めた加藤を下げて、川村を起用しそのままシャドーに。
89分、さらに広島が追加点。
アレーが落として山崎が持ち上がり、鈴木へラストパス。
こぼれたところを川村が受けると、ゴール前中央がぽっかりと空いてシュートを放ち0-3に。
94分にはジェフのチャンス。
左サイドのホシャから、走り込んできたインディオにパスを出すと、前線にクロス。
これは合いませんが、エリソンが落とし、ホシャがミドルシュートで狙うもゴールの右。
97分にもジェフの攻撃。
こぼれ球を拾った飯田から、ハイクロス。
エリソンが頭で合わせますが、力なくゴールの右にそれ、0-3で試合終了となりました。
■アレーを活かした広島の懐の深さとジェフの単独攻撃
ジェフはこの日も3バックでスタート。右から飯田、ホール、鳥海という顔ぶれで、柏戦後半からの石尾、ホール、河野にも近い発想だったのではないかと思います。
ホールは中央CBとはいえ、相手の1トップにマンマークに付く形で、カバーをしたりバランスを取っているのはむしろ鳥海の方でした。
ホールは柏戦前半で右CBとして起用され、対面で自由に動く仲間に対して、付いていくのか離れるのかで迷いを感じたため、後半から垣田にマンマークでつけて、タスクをはっきりとさせる形を取っていました。
今回もその形を継続したと思われ、カバーなどなら河野よりも鳥海の方が良いという判断で、左CBで鳥海がスタメンだったのかもしれません。
攻撃時には右CB飯田がSBのようなポジショニングをしていましたが、これも柏戦前半から少しずつ見られた動きでもありました。
柏戦では一方的に攻められる展開だったため、目立たなかっただけだと思います。
ただ、攻撃時は4バックの右CBに移るホールですが、かなり積極的に外に開いて前に出るため、後方のバランスが怖く、実際18分にはホールのパスミスから裏を取られて、背後からスライディングでなんとか止めるシーンもありました。
右CBがSB的な動きをするとは言え、左サイドは津久井1枚ですし、変則的なシステムと言えると思います。
守備に入れば左右WBは後方まで下がらなければいけないですし、左右SHが幅を取って裏を狙うというのはやはり昨年ほどは狙いにくくなる。
その分、頂点のエリソンを見てパスを出す機会が、増えている印象です。
ただ、冒頭で話した通り、エリソンも突破力はあるとはいえ、周りを活かすタイプではない。
前線で周りのためにキープしたり、落としたり、チャンスメイクをするような選手ではないと思いますから、遅攻時に速いタイミングでエリソンに預けても効果は薄いと思います。
それだけにエリソンを活かせる形は周りが作り上げることが、大事ではないかと思います。
一方、広島は前半から前線の鈴木がうまく流れて、チャンスを作っていました。
ホールはかなり食いついていくタイプのCBなので、鈴木が流れてサイドで落とし、他選手が前線で裏を狙えばそれだけでもチャンスになりかけていたと思います。
この前線がサイドや裏に動き出す攻撃は、百年構想リーグから広島が良く狙っている展開でもあると思います。
その流動的な攻撃が武器であるだけに、後半からアレーが投入されてからは、若干広島も苦しんだ印象があります。
アレーは運動量やスピードのあるタイプではないですし、プレスでも貢献できなかったため、後半からはジェフがボールを握る時間も伸びていきました。
ガウル監督が就任してからの広島は、攻守に前線からの運動量がベースにある印象でしたから、これはジェフにとってチャンスかなとも思っていました。
しかし、アレーは運動量はないし、エリソンのような突破力も見せられなかったですが、キープ力はあって周りを活かすことができた。
アレーが少し下がりつつポストプレーをしているうちに、他選手が飛び出す展開で攻撃を作っていきました。
3点目もアレーがポストをしてホールを前に釣りだしたところから、ジェフの守備を揺さぶり最後は川村がゴールを決めています。
この真夏の開幕戦だからこそ、運動量に頼るだけではなく、守備でも少し相手に持たせて、ポストプレーから相手を引き出しておいて、カウンターを作るという展開にシフトしたのかなとも思います。
そこは広島の余裕でもあって、アレーや川村を試したといった印象もありますし、中島や大内も今のうちに使っておこうという発想があったのかもしれません。
本来流動的な攻撃のチームがアレーもうまく活かせていたという点でも、広島のチームとしての幅を感じるところがあります。
逆にジェフにそういった余裕はなくて、攻撃も結局はエリソンや津久井などの突進が中心。
周りをうまく活かして、攻撃の厚みを作るような懐の深い展開も、作れないところがありますね。
結果的に攻撃が単発になりがちなので、エリソンが突破できるかどうか次第という状況になっているように思います。
そこは個の能力を重視する小林監督らしいチームとも言えなくもないのでしょうが、やはりそれだけでは発展は難しい。
とはいえ、守備に関しては5バックで守ることによって、横のスペースを空けることは減ってきた印象もありますし、何とかこの守備を成長させつつ、攻撃の形をより明確にしていくことが当面の目標となっていくのかもしれません。