ゴールデンウィーク連戦も讃岐戦で終了。
ひとまずではありますが、連戦お疲れ様でした。
これでチームとしても、ちょっと一息つけるのではないかと思います。
この連戦中の試合をしっかりと精査して、今後につないでいくことが大事ですね。
■5×4で守る讃岐を崩せない展開
ジェフは攻撃陣をいじってきました。
開幕からここまで、全試合にスタメン出場を果たしていたペチュニクがベンチスタート。
第10節からの3試合にスタメン出場していた、町田もベンチからとなり谷澤が出場停止。
怪我から復帰した森本とオナイウが2トップを組み、左SHに井出、右SHに水野が入りました。
讃岐もここまでの4-4-2での戦い方を変え、攻撃時は4-1-4-1で守備時は5-4-1のような布陣にしてきました。
岡村が守備時はDFラインの真ん中でカバーリングをしながらバランスを取り、攻撃時には中盤の底に位置するフォアリベロのような役割を担っていた印象です。
これまでの試合では藤井、岡村のCBが多かったですが、この試合では2人に加えてCBエブソンがスタメン。
代わりに、ベテランの木島がベンチスタートになりました。
3分には水野への寄せが甘いところから、ジェフのチャンス。
水野のクロスを相手DFがクリアミスし、オナイウが拾ってそのままシュート。
これがバーに直撃し、ゴールならず。
オナイウはいい形でシュートまではいくのですが、決めきれない試合が続きますね。
逆に6分には、讃岐のチャンス。
左サイドからの永田によるFKを、ゴール前で金井の前を取った沼田が合わせます。
シュートは力なくGK正面に終わりましたが、危ないシーンだったと思います。
讃岐は5×4でしっかりとボックスを作り、穴を作らないディフェンスを形成。
前にはプレスに行かず、ボックスの高さにボールが入ってきてから、相手を囲んでいくスタイル。
ジェフからすればボールは持ててもボックスの前までで、そこから良い形でボールを持ち込むことができない状況が続きました。
26分には讃岐後方からのボールのリバウンドを、我那覇が拾って思い切ってシュート。
勢いのあるシュートでしたが、GK高木が正面でキャッチ。
讃岐は戻りも早く、集中した守備を継続していたと思います。
前からのプレスはないため、全体が押し込まれることは多かったものの、ボックスのバランスは崩さない。
しかし、そこからの攻撃においてはイージーなミスも多く、なかなかカウンターの形が作れていない印象でした。
一方のジェフも、讃岐の5×4のボックスを崩す攻撃の質が乏しい印象。
水野、井出の単独での仕掛けが目立ち、そこに2人目、3人目が絡む形がほとんど見られませんでした。
単発での森本の動き出しを狙うボールも多く、そこに頼り切る展開も目立ったように思います。
大外からの中村、水野からのクロスに対しても、藤井、エブソンの長身CBとカバーリングの岡村で跳ね返されるという展開が続きました。
42分には讃岐のチャンス。
ハーフウェイライン付近からのFKを、右SBの高橋が高い位置で落として中央でフリーになった仲間がダイレクトで合わせます。
GK正面でしたが、ひやっとするシーンでした。
後方からのFKに対して、中村の位置を狙って折り返すという狙いがあったということではないでしょうか。
中村の苦手とする空中戦を、この日も狙われたことになります。
■相手の動きからチャンスが生まれる
47分にはジェフによる右サイドからのFK。
リバウンドのボールを森本がオーバーヘッドで狙いますが、GK清水がセービング。
しかし、そこで得たCKの流れから、今度は讃岐がカウンター。
左サイドで繋いでいって右サイドを永田がフリーで駆け上がりましたが、そこへのパスをパウリーニョが足を伸ばして触り、何とかピンチを防ぎます。
51分には讃岐が右サイドからゴール前方向に、沼田と仲間の1-2で抜け出すも最後はGK高木がキャッチ。
讃岐は後半から、攻撃に勢いを増してきた印象でした。
攻撃に移る選手の人数が増しただけでなく、切り替えのスピードも速くなったように思います。
前半は守備的に戦いジェフを焦らしたところで、後半得点を狙うというゲームプランだったのかもしれません。
56分に讃岐は、綱田に代えて木島を投入。
60分にはその木島から、讃岐の決定機が生まれます。
後方からの縦パスを、木島が受けて我那覇に展開。
左サイドに走り出した、木島が再び受けてクロス。
逆サイドで仲間がシュートを放ちますが、大岩が何とかスライディングでブロック。
この大岩の対応は素晴らしかったですね。
ジェフは、67分に井出に代えてペチュニクを投入。
72分には水野に代えて北爪をいれ、金井を右SHに北爪を右SBにしていきます。
この頃から、讃岐は運動量が落ちていきました。
讃岐は木島を入れてから4-4-2に変更。
フォーメーションを変えたことによって後方にスペースができ始めていたところに加えて運動量も落ち、かなり厳しい状況になっていきました。
すると、76分。
ジェフが中盤右サイドからパスを繋いでいって、左サイドの中村がアーリークロス。
これをペチュニクが、足で合わせて先制ゴール。
クロスが上がった状況でゴール前には3人もの選手がフリーな状況になっており、これまでゴール前にスペースを与えてこなかった讃岐にようやく穴が生まれた場面でした。
讃岐としては単純に運動量が落ちていたことによって、集中力を欠いてしまったこと。
そして、クロスを上げる前に低い位置でボールを受けた森本の動きに対してエブソンがついていってしまったことによって、その裏のスペースを健太郎とオナイウに取られたことになります。
それまで岡村がリベロの位置にいたため、エブソンがFWについていっても岡村がカバーしてくれていましたが、4-4-2に代わってカバー役がいなくなったことで、そのままその穴が出来てしまったことになります。
健太郎とオナイウがフリーになったためCB藤井も中央につられ、ファーのペチュニクまで空いてしまいそこでゴールが生まれた。
実際、健太郎がクロスに触っていたようですし、ニアで2人もフリーにしたことが大きかったように思います。
エブソンとしては森本についていっても、素早く最終ラインに戻る必要があったのではないでしょうか。
1点を先制したジェフは、その3分後には森本に代えて田代を投入。
早くも守備固めに入ります。
今度はジェフが後方に人数を固めて、守るスタイルになっていきましたね。
87分にはジェフの攻撃。
後方からのクリアボールを高い位置で田代が競って、前線に走りこんだペチュニクにパス。
ペチュニクはそのままシュートを放ちますが、バー直撃でゴールならず。
逆に88分には讃岐の攻撃。
後方からのフィードを高橋が落として木島がシュートを放つも、枠をとらえられず。
その後も讃岐が1点を取り返しに来ますが、1-0で試合終了となります。
■高まるペチュニクの存在感
讃岐はジェフ対策として、5×4の守備ボックスを実施してきました。
本来は190cmのCBエブソンを、ペチュニクのマンマーカーとして起用しようとしていたのではないでしょうか。
ポジショニングを重視する守備組織の中で、エブソンだけはFWについていく動きが多く、その穴をリベロの岡村が埋める形でした。
また、5バックにしたことによって、スライドせずにサイドのスペースを埋められることも非常に大きかったと思います。
特にそれによって中村の前を防げたというところが、現在のジェフ対策においては極めて重要だったのではないでしょうか。
しかし、欲が出たというべきか、前半をしっかり守って後半勝負といった中で、56分に木島を投入し4-4-2にかえてしまった。
これによってゴール前でのカバーリング役がいなくなったことにより、エブソンが前に出ていった穴を埋められずゴール前にフリーな選手を作ってしまった。
それまでの讃岐はゴール前でフリーな選手を作ったシーンなどほぼなかったわけですが、これによって穴を作りジェフに失点を許したことになります。
エブソンが戦術の変化に対応できなかったこと、周りがそこに対して指示、サポートができなかったこと。
そこが失点の原因と言えるでしょう。
また、このシーンでは4-4-2にしたことによって、ジェフの右から左へのパスワークにも対応できなかったことになります。
それまでのジェフはパスをつないでも持たされている状況で、全く相手を揺さぶれていなかった。
その1つには相手が5×4で中盤でサイド方向にパスをつないでいっても相手がスライドする必要性がなく、単純なパスワークだけでは"ただ持っているだけ"の状態になっていたからだと思います。
ジェフのパスワークの遅さや、パスワークにおける迷いも目立っていた印象でした。
しかし、讃岐が4×4になったことにより、ジェフが中盤でサイド方向へ繋いでいくと逆サイドにスペースがあるため、サイドへのスライドが必要になった。
5×4での守備になれてしまったせいかそのスライドができなかったこと、また疲労の影響もあってサイドへつないでいくパスワークを遅らせられなかったことによって、逆サイドの中村がフリーになった。
エブソンが前に出ていった後の戻りを早くすべきだったと言いましたが、中村が完全にフリーだったために戻る時間がなくクロスを上げられてやられてしまったとも言えると思います。
中村はフリーであの位置からなら素晴らしいボールを上げられる選手ですし、エブソンだけの問題とも言いづらいようにも思います。
ただ、4-4-2にして木島を投入して攻撃にキレが増したことも事実だと思いますし、先に1点を取れていれば状況は変わっていたかもしれません。
そのあたりは試合の綾というか。
力の差ははっきりしていたとはいえ、讃岐もチャンスをいくつか作っていたことを考えれば、実際に勝負を決めた要素は本当に小さな差だったようにも思わなくもありません。
ジェフは相手が動くまでは、かなり厳しい状況だったといえるでしょう。
スタメンで森本、オナイウの2トップ、右サイドには水野を起用したということで、よりはっきりとサイドからのクロス展開で得点を奪おうという狙いだったのではないかと思います。
谷澤の出場停止、連戦による疲労の問題もあったのかもしれませんが、前節0-0で引き分けだったこともあって、攻撃の形を変えたかったという面もあったのではないでしょうか。
しかし、この形に関しては、うまくいかなかったといえるでしょう。
単純に森本、オナイウ、水野が活躍できなかったこと。
そして、これまでの試合でもあった通り、水野を右サイドで起用するとサイド攻撃ばかりになってしまい、攻撃が単調になってしまうことが大きく、チャンスを作れずに終わりました。
また、讃岐の5バック…というか、"2人の長身CB+カバー役のリベロ"に対して、単純なクロス攻撃は相性が悪かったとも言えるように思います。
ただ、考えてみれば町田をスタメンで起用するまでも左サイドからのクロスばかりになってた部分がありますし、町田を起用してからもパスはつなげるようになったもののチャンスメイクでは課題もありました。
結局のところセットプレー以外はクロス展開に頼るところが大きかったわけですから、ジェフがどのような形で来てもクロスに対応しやすい"2人の長身CB+カバー役のリベロ"のシステムは有効とみられていたのかもしれません。
改めて讃岐のサッカーを見るとカウンターの形を組織的に作るのがうまい印象を受けましたし、その分ジェフは個人に攻撃を頼る部分が大きいように感じてしまいました。
相手がしっかりと組織すると3人目、4人目が絡めず相手の守備を揺さぶれないし、スペースを埋められると狭いエリアで複数の選手が絡むといった展開などが作れず相手を打開できない。
また、全体的に引かれていたとはいえ、何度かあったロングカウンターのチャンスでも連動した攻撃の形が作れずに終わってしまいました。
ペチュニク起用までは無理をしない約束事だったのかもしれませんが、それにしてもそれまでの戦い方は悪かったように感じます。
こうなってくると、ペチュニクの存在感はより一層大きくなってきますね。
ペチュニクがチームにいたかいないかの差で、試合が決まったという見方もできなくもないかもしれません。
この試合ではペチュニクを温存したことが結果的にうまく作用した部分もあったとは思いますが、今後の試合を考えると課題も少なくない連戦ラストだったように思います。