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2016シーズンを振り返る 佐藤勇人編

 2016年の勇人はリーグ戦でスタメン7試合、途中出場を含めても11試合の出場に留まりました。
 何とか二桁出場を果たしましたが、2015年まで長らく20試合以上の出場を果たしてきたことを考えると、大幅に減少しています。
 20試合未満のシーズンとなると、自身初の二桁出場となった2002年の13試合以来となりますから、15年ぶりということになります。



 2015年はパウリーニョのお目付け役として立ち位置を確立した勇人ですが、昨年は開幕戦からベンチスタート。
 シーズン序盤は出番が少なく、出場しても短時間での途中出場がメインでした。
 4月23日の山口戦ではアランダが20分に負傷し急遽途中出場を果たしますが、65分にはエウトンと交代し途中出場・途中交代も経験します。


 4月に入ってからのジェフは山本やアランダなど、続々とボランチに負傷者が出ていきました。
 ボランチ不足の状況に陥り、4月29日の水戸戦では井出のボランチもテストされる中、勇人はスタメン出場機会を得られず。
 水戸戦以降は勇人自身も負傷してしまい、ベンチに復帰できたのは7月に入ってからでした。



 ようやくスタメン出場となったのは、7月24日の清水戦。
 奇しくも、関塚監督が指揮を執った最後の試合となります。
 アランダの負傷もあってのスタメン起用で、長谷部監督になってからもそのままスタメン出場が続きます。


 その後は富澤の復帰もあってまたベンチに戻りますが、10月30日の長崎戦でスタメンに復帰。
 メンバーが発表された時はベテラン岡本との同時起用ということもあって、もしかしたら引退に向けての花道なのか…とも思ってしまいました。
 しかし、プレー内容で見事にそれを払拭してくれました。



 全体のバランスを見ながらも、攻守においてアグレッシブに前に出ていく姿勢でチームを活性化。
 関塚監督時代の流れも受けてどうしても重心が低くなりがちなチームでしたが、ルーキー岡野と共に激しく潰しに行くプレーを見せることで前への積極性を取り戻していきました。
 また、長谷部監督になって一度は成績を上げたものの、10月に入って成績が落ち込んだことで精神的にも苦しい時期でしたが、勇人が背中で引っ張っていった部分もあったのではないかと思います。


 守備では多くのポジションに顔を出し、攻撃でもゴール前に飛び出す。
 アランダとのボランチコンビは展開力などの面で物足りないところもありましたが、あの時にチームに足りなかったのは前への姿勢やバランス感覚だったのだろうと思います。
 ベテランらしくその時にチームに足りない部分をしっかりと見極めて、足りない部分を補う活躍を見せてくれました。



 こういった選手がベンチに控えていれば監督としても安心するのだろうと思うのですが、今年はそこに羽生も加わることになります。
 古くから公私ともに、仲の良いことで有名な二人。
 どちらも小柄で運動量豊富ということで、比べられることも少なくはなかったと思います。


 昔から羽生の方が技術があり、動きにキレもあって、高い位置で飛び出して相手を混乱させることが出来るタイプ。
 ときにはCKを蹴ることもあり、ゴール前への飛び出しだけでなく、チャンスメイクも期待できる選手でした。
 しかし、年齢を重ねてキレなどは落ちて、ボランチでのプレーが増え、周りをサポートする仕事がメインになってきた。


 一方の勇人も若い頃はスタミナ豊富で積極的にアップダウンし、球際に激しくいくスタイルでした。
 ポジション柄というのもあるでしょうが、途中交代も少なくなかった羽生に比べて、勇人は阿部と共にフル出場することが多くタフな印象でした。
 しかし、その勇人も近年は怪我に苦しんでおり、バランス調整役としての方が目立っているように思います。



 結果的に2人のプレースタイルは経験を重ねて、似通ってきている部分がある気がします。
 もちろん羽生の方がよりテクニカルで勇人の方がよりフィジカル要素が強い選手であることには変わりないでしょうが、どちらもそれだけでは他選手に勝てずその分経験を活かした賢いプレーが目立つようになってきている。
 もともとオシム監督仕込みの賢いプレーが出来る2人でもあると思いますし、大枠でいうと近い印象のある二選手と言えるのではないでしょうか。


 羽生も昨年はリーグ戦14試合に出場し、スタメンは4試合に留まっています。
 もっとも羽生はJ1での経験である上、2012年も13試合の出場に留まっていますが。
 羽生は2002年に筑波大からジェフに加入すると開幕戦からスタメンに選ばれるなど初年度から活躍し、勇人もこの年から出場機会を得ていきますが、本格的に活躍し始めるのは翌年オシム監督が就任してからでした。
 その頃ボランチとして勇人と共にポジションを争っていた1人が、2003年に現役を引退する長谷部コーチということになりますね。



 つい昔話が長くなってしまいましたが、その2人がキャリアの終盤に差し掛かってジェフでポジションを争うことになるというのであれば、不思議な運命も感じてしまいます。
 3-5-2の1ボランチがメインとなれば勇人が1ボランチ候補で、羽生はインサイド候補となるのかもしれませんが、ベンチ枠となれば結果的に競い合うことになるのかもしれません。
 ベテランで仲の良い2人ではありますが、やるからには激しくポジション争いをして、チーム全体を盛り上げてほしいところだと思います。