新潟戦後に話したように、讃岐戦での1失点目と新潟戦での75分の守備の場面は同じような展開だったと思います。
左右は異なりますが、サイドでボールを失ったところから、相手が数本のパスを繋いだだけで、一気にピンチに陥っています。
どちらの場面でもジェフはボールホルダーにプレッシャーをかけることも出来ずに、シュートまで持ち込まれてしまいました。
まずは讃岐戦の1失点目。
左サイドで為田が強引に仕掛けますが、佐々木渉にボールを奪われたところから相手の攻撃が始まります。
佐々木渉から中盤の永田に繋がれ、為田と熊谷が遅れてアプローチに行くも間に合わず、中央の高木へ展開されます。
熊谷が前に出ていたためバイタルエリアがポッカリと空いてしまったので、仕方なく右SBの鳥海が中央に絞って対応しようとします。
しかし、その後ろを左SBアレックスが走り込むと、対面の茶島は完全に出遅れ、アレックスに繋がれフリーで持ち込まれます。
その後、左サイドを駆け上がった重松に繋がれて、最後は原が合わせてゴールを奪われます。
続いて新潟戦の75分も、同じような展開に。
右サイドで真希が仕掛けるも、左SH渡邊凌磨に潰されてボールを奪われます。
渡邊凌磨と左SB渡邊泰基でボールを繋いでいるところに、真希と船山でチェックに行きますが間に合わず。
そこから中盤の加藤へとボールを繋がれ、逆サイドの為田がフラフラとチェックにに来ますが、寄せが甘く中途半端な状況に。
この間、スペースが気になったのか茶島は下がって対応しますが、結果的に小川の前を空けてしまいます。
そこから前方の戸嶋に繋がれると、熊谷が前へと出て対応しようとしますが、ここも間に合わず。
熊谷が前に出たことによってCB2人が無防備な状況になり、戸嶋が素早く外に叩くと初めにボールを奪った渡邊凌磨がオーバーラップ。
これによって、新潟は渡邊凌磨と矢野、渡邉新太の3枚で攻め込み、ジェフはCBの2枚で守る3対2の数的不利が作られてしまいました。
この場面でもジェフはボールホルダーにプレッシャーへいけずに大ピンチを迎えたことになりますが、渡邊凌磨が強引に仕掛けてシュートまで持ち込んでくれたことで、失点を免れたことになります。
こういった場面が多い理由としては、まず攻撃時のバランスに問題があると言えるのではないでしょうか。
全体が前掛かりになりボールサイドに集まる形になっていますが、攻撃の形を見ると単独のドリブルで終っています。
人数をかけて攻めているけれど、数的優位を活かせず潰されて、そこを交わされてカウンターを受けていることになります。
ただ、ボールに選手が集まる攻撃をすることで、そこに味方選手を密集させて守備への切り替えでボールを奪えれば、それがジェフの理想形と言えるでしょう。
しかし、毎回攻守の切り替えからプレスをかけてボールを奪えれば良いですが、この気候で毎試合90分間それをキープするのは簡単ではないと思います。
特に新潟戦の75分頃には完全に足が止まっていたわけで、その状況でも切り替えからのプレスを期待するのは現実的ではなかったように思います。
さらにプレスのかけ方にも問題を感じ、どちらの場面でも為田や熊谷がボールが近くに来たら局面で反応してチェックに出ているように見えます。
チーム全体でボールをサイドに追いやったり、パスコースを消しながらプレスをかけたり、誰かが遅らせて他の選手が連動して守備に行ったりといった動きが感じられない。
特に熊谷は不用意に前に出て行ってバイタルエリアを空けることが多く、他の選手が熊谷の後ろをカバーするというような約束事も出来ていないように思えます。
プレスがハマっていない上に、守備に戻る意識も薄い印象です。
そのため、どちらの場面でもアレックスや渡邊凌磨が後方からオーバーラップを仕掛けているのに対して、誰も反応することが出来ていない。
プレスの意識が強いため守備時に前へのベクトルは感じるものの、後ろへのベクトルで選手が動けていない印象です。
これはその他の場面でも感じることで、特に新潟戦では乾の後ろを田中達也や戸嶋に走られることが多かった。
それに対して左CB近藤が単純にスピードで負けていることも多かったとは思いますが、近藤としては外に出て対応することが出来なかったのではないでしょうか。
ジェフはボランチなどが下がって最終ラインのスペースを消すという約束事がないため、CBが外に出て守るというのは難しい状況なのではないかと思います。
基本的にエスナイデル監督の守備は、前へのベクトルのみで戦っている印象です。
そのためボランチなど中盤の選手がDFラインに下がってスペースを消すという動きがほとんどないし、相手のカウンターなどでもオーバーラップを仕掛けられると誰もついていけずにフリーにしてしまうことが多いですね。
これがプレス以外の守備が出来ていないと感じる大きな要因で、甲府戦のように選手たちが相手より走れれば良いのでしょうが、そうではないとどうしようもなくなってしまうという問題の原因ではないかと思います。