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先制点を決めた指宿の左サイドに流れるプレー

 昨日の話の続きにもなりますが、岡山戦での先制ゴールはまずGK大野のロングキックから始まりました。
 それに対応した相手DFのクリアが甘く、船山が拾って、町田、小島、町田と繋ぎ、オーバーラップしてきた溝渕へ。
 溝渕がセンタリングを上げて、指宿が足元で合わせてゴールを決めています。


 DAZNで解説していた鈴木隆行も話していたように、岡山はサイドで1対2の数的不利となっていました。
 それによって溝渕が完全にフリーになって、ゴール前にボールを供給できたわけで、クリアだけでなくそこでもミスが生じてしまったと言えるでしょう。
 岡山はキックオフ直後、全体的に集中力を欠いていたようにも見えました。



 溝渕に対面した選手は、左シャドーでプレーした元ジェフの伊藤ということになるはずです。
 伊藤はGK大野へプレスをかけるため前に出ていたとはいえ、溝渕も後方から走り込んでいったことを考えれば、何とかついていきたかったところではないでしょうか。
 特に開始早々の時間帯ですから、あそこは頑張って足を動かさなければいけなかったように思います。


 伊藤は仲間の不在もあってチャンスが回ってきた形で、約1か月ぶりのスタメン出場となり、その間は途中出場も少ない状況でした。
 アピールする絶好のチャンスだったはずですが、伊藤はどこか淡白な時があるというか、安定して活躍できない印象もありますね。
 いいプレーのできることもある選手であることには間違いないのでしょうが、それだけではプロ選手としての評価は上がっていかないでしょうし、もう一歩殻から抜け出せないところがある気もします。



 指宿はファーで溝渕のボールを待って、ゴールを決めています。
 低めのセンタリングをファーに通させてはいけないというのは守備のセオリーだと思いますが、溝渕のセンタリングも良かったと思います。
 指宿もうまくポジショニングして、増田に競り勝って前を獲れた場面だったのではないでしょうか。


 指宿はこれで山口戦に続いての連続ゴールとなり、今季通算7ゴール目をマークしたことになります。
 2014年にスペインのバレンシアのBチームから新潟に加入していますが、Jリーグでリーグ戦最多ゴールを上げたのは2015年の8ゴールとなります。
 自身最多ゴールの更新も見え、J加入後初の二桁得点も狙える位置にまで来たことになります。



 指宿自身のコンディションも良さそうで、調子を優先するエスナイデル監督の意向もあって、ラリベイからポジションを奪う形になっているのかなと思います。
 岡山戦での2ゴール目となったPKも、カウンターからの展開でシュートを2度放った指宿が、相手DFのハンドを誘発して得たもの。
 このPKは指宿も蹴りたそうにしていたようですが、船山が蹴ってゴールを決めています。


 山口戦から1トップを任されている指宿ですが、個人的にはゴールだけでなく、ボールを受けるポジションも気になっています。
 山口戦では相手の1ボランチ脇の左側で、後方からのボールを受けるプレーが目立っていたと思います。
 これは山口の弱点も考えて、そこを狙っているのかと思っていました。



 しかし、続く岡山戦でも左サイドに流れて、ボールを受けることが多かったですね。
 このことからも相手の弱点を狙うというだけでなく、こちら側の都合で流れているのかなといった印象を受けました。
 指宿は柏U-18や新潟でも左ウイングとしてプレーしていたことがあったはずですから、もともと左に流れて前を向いてプレーしたい選手なのかもしれません。


 それに加えて指宿は、最前線で起点になって周りを活かすようなプレーはあまり得意ではない。
 さらに相手が密集しているエリアでもボールをこねてしまう傾向があり、そこで攻撃のリズムを悪くして、ボールを奪われることも少なくないと思います。
 そこで前線の位置から若干引いて受けたり、サイドに流れて前を向く形を狙う方が、良さが出せるという意図なのかもしれません。



 これが先日話した守備の変化に次ぐ、ここ2試合での目立った変化と言えるのかもしれません。
 単純に指宿を1トップで固定化していることと、為田が左サイドから外れて、指宿が流れるスペースが出来たことも影響しているのかもしれません。
 ただ、2試合連続でそういった動きを見せていますし、少なくともこの2試合は自然とそうなったのではなく、狙ってやっているのだろうなと感じました。


 山口戦での8分には、スローインを低い位置で受けた指宿が中盤でターンして二人を交わし、右サイド前方の町田へ展開してシュートまで持ち込んでいます。
 指宿の打開力から、チャンスが生まれたシーンだと言えるでしょう。
 ただ、こうして毎回打開できるのなら良いのでしょうが、強引に仕掛けて失敗することも多いのが指宿の課題の1つではないかと思います。



 また、岡山戦では遅攻時に、左サイドで攻撃に絡むことも多かったと思います。
 ただ、そこからボールを繋いでいっても、どうしても指宿がいないため前線が薄くなる課題を感じました。
 指宿がサイドに流れて他選手がゴール前に侵入するにしても、2列目は船山、町田、矢田など高さのない選手ばかりなわけですから、シンプルに蹴り込むことは出来ない状況となってしまう。


 しかし、一方でパスワークで崩すほどの連携は出来ておらず、岡山戦でも高い位置まで持ち込めてもシュートまでは至らない場面が多かったと思います。
 確かに小島、町田、矢田、下平などを起用することによって、途中まではショートパスを繋ぎやすくなっている印象もあります。
 それでも最終的にパスで崩すとなると3人目、4人目が絡む動きなどが必要になってくるでしょうから、パサータイプを配置するだけでは厳しいと思います。



 それでもこのまま指宿がサイドに流れて起点になる形が熟成されていけば、ある程度の形は出来る可能性もあるのかもしれません。
 ただ、もう今シーズンも終盤に入りつつある段階。
 はたして、ここからの短い時間で、どこまでこの形で積み重ねを作れるのか。


 そして、エスナイデル監督がいつまでこれを継続するのかも未知数です。
 特にここまでの数戦はツインタワーでシンプルに放り込む展開をやっていたわけで、1トップの指宿がサイドに流れる展開はある意味で正反対とも言えなくもありません。
 それだけにこの形に期待する一方で、いつまでも"期待"止まりでは許されない段階に来ているのだろうなとも感じてしまいます。