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1トップの選手に必要なモノ

 今回のEUROを見ていると、もしかして「1トップのFWって潰れてもいいのかな?」と思えてきました。
 今までの1トップに求められるのはまず「ポストプレーや空中戦で潰れないこと」です。
 もちろん潰れなければ、そっちの方がいいことは間違いないんでしょうけどね。




 1トップを使用するチームは多いんだけど、その1トップが相手に潰されている試合は思いのほか多いし、チームとしても初めからそこまで1トップに頼るサッカーをしていないんじゃないかというように感じます。
 もちろん100%ロングフィードで相手に競り勝つとか、何があっても絶対にポストプレーで潰さないとか、ボールを持ったら必ずドリブルでキープするとか、そういうことはもともと不可能です。
 相手チームとしてはそこで負けると一番ゴールに近いところで起点を作られてしまうので、CBの2人はもちろん中盤の選手までが1トップを潰しにかかろうとすることもあるわけですから。


 でも今大会ではあえて1トップを起点にすることを諦めて、1トップは無視しその分サイドを起点にして攻め込むことが多いようです。
 その分ウインガーの質が重要になってきているわけですけどね。




 そう考えていくと、日本代表が実施している1トップの玉田というのも大きな間違いではないのかな?とも思えなくもないです。
 ただし、やはり要所要所で必要な時には、真ん中に1トップがいないといけないでしょう。


 潰されて良いのにも関わらずなぜ1トップにして前線にFWを置くのかというと、真ん中で相手DFを引き付けてオトリになる役目を任されているからではないでしょうか(ここが0トップの考え方と違うところかな)。
 1トップが頑張って相手CBのマークを真ん中に集めることで、サイドのスペースが空いてサイド攻撃がやりやすくなっています。
 2トップよりも1トップの方がサイドにスペースが作りやすいですからね。


 なのに1トップがボールに触りたいがために、サイドや中盤に流れてばかりではゴール前に人がいなくなるのはもちろん、サイドや中盤のスペースが無くなってしまいます。
 ここが玉田の1トップの欠点かな…と。
 まぁ、もともとそういったタイプなんだから仕方がないと思いますけどね。




 ただし、今の日本代表はそこまでサイドのスペースを使って攻撃をすることに関しては、あまり執着していないように見えます。
 まぁ、確かにサイドにスペースを作っても、そのスペースに走りこむウインガータイプの選手もいませんけどね。




 それと1トップを有効に使えているチームは、やはり1トップ以外にもPA内で仕事ができる選手の存在というのが大きいですね。
 オランダのカイトやロシアのアルシャビン、ドイツのシュバインシュタイガーバラックポルトガルC・ロナウドだって縦だけじゃなく中に入ってくるプレイもある…。
 逆にイタリアなんかはカッサーノあたりが不調だったせいか、トニが前線で孤立してしまうことが多かったのではないかと思います。


 オシム監督も1トップの時は必ずといっていいほど、裏もつけてゴール前での空中戦にも強い山岸あたりを使用していましたしね。


 単純に考えて1トップには相手CB2が人も付くのだから、同等以上の相手だったら1トップが相手に勝てないのは当たり前。
 だから1トップの他に中央で勝負できる選手が入ってきて、1トップへのマークをずらす動きをするか、1トップをオトリにして自分が得点を狙うかをしなければ、なかなか得点は生まれてこないでしょう。




 まぁ、1トップだけでなく4バックだって強固なCB2人だけじゃなく良いサイドバックがいなければ成立しないし、3バックだって同様でしょうけどね。



 『日本人FWでは1トップが出来ない』なんて決め付けるのは、ちょっと違うんじゃないかと。
 1トップが難しいのはFWだけの責任じゃないし、組織的にうまくやれば日本でも1トップは可能なんじゃないかと今回のEUROを見ていると思います。
 個人的には1トップをこなせる日本人FWがいないのと同じくらい、PA内に入っていける中盤の選手やウインガーがいないことが、日本人が1トップをこなす上では大きな問題なのではないかと思います。


 ようするに、FWだけでなく中盤やウインガーのフィジカルの弱さ。
 それをどうしてもEUROを見ていると、感じてしまうんですよね。




 …そんなことをヌーノ・ゴメスを見ながら思っていました。
 いや、嘘ですよ(笑)前から好きな選手です。
 でもやっぱり彼も本来は1トップには向いていないんじゃないかと思うんだけど、チームとしては1トップが機能していたんじゃないかと思います。


 それもヌーノ・ゴメスが頑張って、前線でオトリになったことで中盤以下の選手が自由にやれたからではないかと。
 そう考えると1トップに求められるのは、意外と頑張って我慢するところは我慢できる忍耐強さなんじゃないかなぁと思ったりもして(笑)



 もちろん一口に1トップと言っても、戦術によっては求められるものは違うから、一概にそうとは言えませんけどね。
 でも、「日本人だから無理」って端から決め付けるのも良くないのではないかと思いますよ。


 サッカーはいろんな可能性を秘めているんだなぁと、“潰れていい1トップ”を見て改めて思った次第であります。