以前からお話している通り、私は精神障がい者バスケットボールの支援団体『日本ドリームバスケットボール協会』に参加しています。
知人からお誘いを受けたことから加わることとなり、主に事務方の仕事をさせてもらっています。
そこからのご縁で精神障がい者フットサルの先生ともお知り合いになることができ、今回のイベント『スポーツで元気になるフェスタ』を開催することとなりました。
当初はバスケとフットサルのコラボなどを考えていたのですが、精神障がい者の方の中でも普段運動することのない方たちに、スポーツをする楽しさを伝えるイベントを開催しようという話になりました。
フットサルやバスケなど精神障がい者スポーツが少しずつ普及している一方で、普段は散歩くらいしかしていない精神障がい者の方も少なくないとのこと。
そういった方たちに対して、散歩の次のステップとして運動をするキッカケを作れるように、今回のようなイベントを実施するということになりました。
そこで今回実施したのが、ドイツ生まれの「バルシューレ」でした。
ドイツでも子供の運動不足が問題視されているそうで、それを解決するために考えられた、子供が楽しんで運動することが出来るスポーツプログラムです。
それを今回は主に精神障がい者を対象として実施するというイベントで、「バルシューレ」を日本で広めている元ビーチハンドボール日本代表監督でもある講師の方に来ていただきました。
午前中には講習会を実施。
スタッフである私も、講習会に参加させていただきました。
「バルシューレ」の生い立ちや現状、日本での実施実績や基本原則などを聞くことが出来ました。
子供の頃から競技性ばかりを重視せず、多様性を大事にすること。
反復練習ばかりしていてもダメで、遊びから学ぶことが重要であるということ。
ドイツでは高学年になってから競技が決まるけれど、日本では6歳頃から競技が決まって詰め込み型の指導をしてしまう問題があるなど、スポーツファンとしても勉強になる話がたくさん聞けました。
以前、ジェフでおとどけ隊を実施し、京都などでも活躍された池上コーチなども似た話をされていました。
子供の頃は勝敗などよりも、スポーツを楽しむことが重要であると。
池上コーチもドイツなどで学んだ実績がある方ですので、ルーツは同じところにあるのかもしれません。
また、知識を詰め込むだけでなく、使い方が重要であるという話もされていました。
これは多数のNPO法人にアドバイスをされていた方もおっしゃられていましたが、現在の日本の教育でもそこが課題であるとおっしゃっていました。
知識の使い方を習得するためにも、練習メニューなどを押し付けるのではなく自由に遊ばせることで、そこから子供たちが自発的に考えていくことが重要であるとのことです。
講習会は医療従事者が中心でしたが、勉強熱心な某Jリーグクラブのスクールコーチ(残念ながらジェフではありません)も来られていました。
その方によると、子供よりも親やコーチの方が勝敗を気にし過ぎてしまうとのことでした。
池上コーチやVIVAIO船橋の渡邊代表、先日VONDS市原の代表に就任した祖母井さんの3人が講師をされた講習会に行ったこともありますが、そこでも同じようなスクールコーチの悩みの声が上がり、その時も結局「変わらなければいけないのは子供ではなく大人の方である」という話をされていました。
また、「バルシューレ」は基礎的なメニューはあるものの、状況や個々に応じてアレンジすることが重要であるとのことです。
指導者の豊富なアイディアからなる練習メニューのアレンジや、楽しくスポーツさせることの重要性。
それによって対象者の多様性や考える力を伸ばすことなどは、オシム監督の指導にも似たところを感じました
午後からは、実際に精神障がい者の方たちも参加されて「バルシューレ」を実施しました。
具体的な内容は写真なども掲載したイベントの公式ブログに譲りますが、皆さんが本当に楽しそうに運動されているのが印象的でした。
普段運動されていない方も多く、ご高齢の方たちもとても元気に参加されていました。
午前中の講習会でお話を聞いて動画も見させていただきましたが、実際に生で実施して笑顔で運動されてる方たちを見ると、これ以上ない説得力を感じました。
子供たちだけでなく、ご高齢の方や障がいをお持ちの方も工夫を凝らせば、楽しく元気に運動をすることが出来る。
スポーツの更なる可能性を目の当たりにできた印象でした。