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オシム監督の「列車は行ってしまった」を思い出す状況下での秋田戦

 2005年11月5日、ジェフはナビスコ杯でクラブ待望の初タイトルを獲得をしました。
 オシム監督の下、多くのJリーグ関係者が一目を置くアグレッシブなサッカーを展開したジェフですが、大きな成果もあげたことになります。

 リーグでも優勝争いをしていたジェフでしたが、ナビスコ決勝直後の磐田戦は2-2の引き分け。
 しかも、2‐0で前半を折り返していたにもかかわらず、後半2失点を浴びて勝点2を逃しています。
 さらに翌週のFC東京戦も、1‐2で落としてしまいました。


 それでも続く浦和戦では、優勝争いのライバル相手に1‐0で勝利。
 しかも、89分に水野晃樹がゴールを決めて勝点3をえるという、劇的な勝利でした。
 この勝利でジェフは4位ながらも首位G大阪から勝点4差となり、残り2試合でリーグ優勝の可能性を感じる展開となりました。

 しかし、浮足立つジェフ関係者を理解したように、オシム監督は試合後にぴしゃりと「こぼれたミルクは元に戻らない。ジェフは勝点を失ってきた」と話し、「列車は行ってしまった」と明言を残しています。
 「駅に着いたのが遅かった」とも。

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 オシム監督の予言通り、その後のジェフは2戦2勝でシーズンを終えていますが、優勝はならず4位に終わっています。
 最終戦前のG大阪との直接対決も2‐1で下したわけですが、順位は変わらずそのG大阪がリーグを制したことになります。


 オシム監督は過剰な期待を酷く嫌っていた印象で、ここでも「現実というか、足元を見るべき」と話しています。
 スポンサーから優勝を期待された際に、「それなら他の監督をあたってくれ」と答えたのも有名な話。
 スポンサー側は軽い気持ちで「優勝を目指して頑張ってください」と話をしたのかもしれませんが、それすらも許さなかったということではないでしょうか。

 可能性を煽り盛り上げるのはエンタメ的には悪くはないのかもしれませんが、真剣に戦っているからこそ現実を見て欲しいという思いがあったのではないかと思います。
 過度な期待はプレッシャーに繋がるのはもちろんですが、もし失敗した時に大きな落胆を生む恐れがある。
 ある種のカンフル剤のようなものですから、冷静に状況を見た上でいつも通り一戦一戦を大事に捉えるべきという発想だったはずです。


 ジェフは前節水戸戦で勝利しましたが、その前2戦を落とした後だったこともあり、このオシム監督の「列車は行ってしまった」をつい思い出してしました。
 確かに残り3試合でプレーオフ圏内と勝点4差の9位ですから、可能性はまだ繋がったことになる。
 さらに、2005年は優勝争いだったからライバルの取りこぼしも少なかったでしょうが、今回はPO争いですからライバルが勝点を伸ばしきれない可能性も高いでしょう。

 ただ、客観的に見れば、それはジェフも同じこと。
 残り3試合が秋田、琉球、山口と、下位チームとの戦いであることは追い風なのかもしれません。
 しかし、何よりもここ4試合は内容に乏しく、モチベーションにも不安があるというのが、大きな懸念材料ではないでしょうか。


 明日対戦する秋田は、現在13勝10分16敗の勝点49の13位。
 ジェフは現在15勝10分14敗の勝点55ですから、勝点6差となっています。
 水戸戦に続いて、中位同士の争いとも言えますね。

 現在の秋田は、フィジカルを重点に置いたサッカーを展開。
 4‐4‐2でゴール前で粘りの守備からのロングカウンターと、激しいプレスからのハーフカウンターが武器のチーム。
 ラフプレーが多いことは問題ですが、体の強い選手が多いのでセットプレーからの攻撃も特徴となっています。


 ボールをポゼッションする意識が薄く、長いボールをどんどん蹴り込むスタイルで、J2でも異質な存在と言えるでしょう。
 丁寧な繫ぎなどは少ないですが、一方でクロス時やカウンター時にゴール前に飛び込む人数が多い。
 そこはジェフも学ぶべき部分があるのではないでしょうか。

 フィジカル重視のサッカーであるためか、夏場は苦戦してジェフ戦以降12試合勝ち星なしという時期もありました。
 しかし、9月からの成績は、4勝1分1敗の好成績を上げています。
 前節もハイプレスから2ゴールを奪い、上位の熊本に2‐1で土をつけています。
 

 何度か話しているように、ジェフは攻撃に課題があるため相手に守られると苦しい傾向があります。
 守備でもロングボールでプレスを回避され、パワーで押し込まれると苦しくなるため、秋田のような堅守速攻のチームは苦手な印象があります。
 5月に対戦した際も、ジェフが0‐1で落としています。

 その苦手な相手を、シーズン終盤に克服できるかどうか。
 ここ数戦の勝利パターンで考えると、岩手戦も熊本戦も引いて守って相手のミスを待ち、相手の足が止まった流れでゴールを決めています。
 ただ、90分通して見るとどちらの試合も苦しかったですから、もっと自発的に動く展開を期待したいところではないでしょうか。
 ここ数戦元気がない印象もありますが、気温も涼しくなっているし、シーズンも最後ですから、思い切ったプレーを見せて欲しいですね。


 なお、最後になりましたが、1999年途中からジェフで指揮を執ったザムフィール監督がなくなったという悲報が伝えられました。
 ザムフィール監督はジェフが残留争いの渦中にいる中、J1残留に貢献してくれた指導者でした。
 欧州路線における監督の1人であり、あの時の残留がなければナビスコ優勝なども見られなかったもしれません。

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 今年は悲しいニュースが続きますね。
 お悔やみ申し上げます。