2025年の新体制発表会も行われて、新チームの選手構成も明らかになりました。
スタッフは大きく変わりませんでしたが、2021年にジェフ、2022年には横浜FM、2023年から昨年までは町田で活動されていた山崎亨フィジカルコーチが復帰。
ハイプレスを志向する上でフィジカル面の強化は大事な部分だと思っていましたので、どこまで効果が出るかはわかりませんが、納得の人事ではないかと思います。
年末年始に多くの選手が入れ替わりましたが、ここでは全体的なオフの移籍と選手構成をまとめてみたいと思います。

キーパーは鈴木椋大以外は入れ替わり。
藤田、高木和、青嶋が退団となって若原、岡本、薄井が加入し、それぞれ立ち位置も近しいものとなるのではないでしょうか。
若原だけでなく岡本、薄井も比較的アグレッシブなタイプのようなので、GKからのビルドアップを期待しているのかもしれません。
CBは鳥海、河野が加入しましたが、佐々木、メンデスが退団。
鈴木大輔、久保庭、谷田は残りましたが、レンタルの山越も離脱しましたので、人数的には若干心配な印象もあります。
補強した選手たちは怪我が少ないと評価したのか、緊急時はまたレンタルで補強すればいいという判断でしょうか。
昨年のチームはCBのロングキックによるビルドアップが目立っていましたし、佐々木のキック精度は戦術的にも重要だったと思います。
また、メンデスの前への強さもハイプレスにはまっていたところもありましたが、2人とも細かな守備面の動きに関しては課題もあったと思います。
守備の安定感においては、プラスに働く可能性があるのではないでしょうか。
また、SBでは小川、矢口が移籍して、前、植田が加入。
前の加入で高橋などが離脱する可能性も考えましたが、状況からすると右SBも左SBもこなした小川の代わりに前ということになるのでしょう。
植田に関してはJ3大宮で出番が少なかったようですし、まだ20歳ということで期待枠的な扱いなのかもしれません。
昨年山口で右SBの主力だった前が、左SBなどの控えになるのは贅沢な印象もあります。
ただ、昨年の左SB日高は怪我が多く、22試合しか出場できなかったこと。
そして、その日高に代わって左SBに回ることも多かった佐々木も離脱したということで、そこも加味しての前補強だったのかもしれませんが、小林監督体制だと右利きの左SBははまらないことが多いだけに若干の心配もあります。
中盤には安井が加入しましたが、今オフの町田は多くの選手が退団しているので、その一環なのかもしれません。
本人は「二桁ゴールを取りたい」と話していることから、SHやトップ下などでのプレーもありえるのかもしれませんが、個人的にはボランチでプレーした2022年の方がイメージに残っていますし、ジェフのチーム状況からしてもボランチ兼インサイドの位置の方がチャンスがあるのではないかと思います。
また、大卒新人の猪狩も「トップ下がやりたい」とインタビューで答えています。
SHに関しては、2024年より成績は落ちたものの30試合に出場したドゥドゥ、経験豊富な高木などが退団。
そして、こちらも30試合に出場した岡庭も、山口へ再レンタルとなってしまいました。
ドゥドゥ、高木は年齢も考えれば退団も理解できるとはいえ、代わりの補強はJ3讃岐で活躍した吉田と大卒新人の岩井だけということで層の薄さが懸念されます。
CFはJ2得点王兼MVPの小森の抜けた穴が、極めて大きいと思います。
新外国籍選手デリキはここまで大きな実績もないようですし、動画を見てもサイド起用されてクロスを上げたり、ドリブルで仕掛けたりと、オールマイティなタイプで点取り屋といった印象を受けませんでした。
石川も守備面や活動量に関しては不安が残るイメージもありますし、どちらにせよ小森と比べると厳しいでしょう。
ただ、小森の代役を探すのは簡単ではないでしょうし、その分2列目を厚くするという考え方もできたと思います。
しかし、昨年もなかなか主力が固定化されなかったSHは、むしろ選手層が薄くなった印象すらあります。
正直、スタイルにはまらなかった杉山や試合に出れなかった米倉が残留したのは意外だったのですが、契約などの絡みもあったのでしょうか。
オフの動きを三行でまとめると。
・守備面では安定感が増したものの、攻撃面は不安も
・怪我人多かったポジションを補強した分、他に手が回らなかった可能性
・ボランチの聖域には、手を付けられず
守備面への期待と攻撃面への不安は、上記で記載した通り。
怪我人が多かったポジションというのは、主にCBと左CB。
そして、田口、エドゥアルドの離脱が多かったボランチ兼インサイドで、そこへの増強として最後に安井を補強したのかなとも思います。
しかし、その分、2列目などを強化する余裕が生まれなかったのかもしれません。
また、ボランチという聖域にメスを入れられなかったことにも、影響が及んでいるでしょうか。
個人的には年末にも書いたとおり、小林監督がハイプレス重視で戦うのであれば、よりハイプレスに適した選手構成にするべきではないかと思っていました。
しかし、昨年終盤の軸だった品田はプレスが得意なタイプではないし、田口も怪我が多くなっている。
そのため、品田は試合から消えてしまうことも多かったですし、オフにボランチという聖域にメスを入れるのもありではないかと思っていました。
また、前線でも石川や吉田はプレスタイプではないと思いますし、デリキもどこまで守備面で期待できるかはわからない。
総合的にみてあまりプレスを強化するといった印象は、感じない補強だったとも思います。
そこは新体制発表会で「もう少し大人なサッカーになっていく」という話を小林監督がしたこと以上に、小林監督と鈴木GMが「2年間積み上げてきた」と話していることから、現状の出来にある程度満足しており、このオフは「変化」よりも「現状維持」を選んだということなのかもしれません。
ただ、個人的には現状のままでは不安も大きく、そもそも現チームへの評価が異なるということなのでしょう。
2年間成績も内容も大きく変わらなかった以上は、思い切った変化も必要ではないかと考えていたのですが、マイナーチェンジのまま進化できるという判断でしょうか。
そこはもうお手並みを拝見するしかないですね。

最後に今季の編成図をまとめ。
今年も攻撃時は4‐1‐2‐3で、守備時は4-4-2となり左インサイドが下がって、右インサイドが上がるシステムになるのではないかと思います。
場合によって、左右の入れ替わりはあるのかもしれません。
一応スタメン予想も兼ねていて、GKは若原を上位に記載しましたが、昨年終盤にレギュラーの座を勝ち取った鈴木椋大にも期待したいですね。
また、鈴木大輔もベストな状態になれば鳥海とCBを組むレギュラー候補となり、河野が控えとなるのではないでしょうか。
CFは呉屋の方がハイプレスなどにはまりやすそうでしたが、あまり昨年出番がなかったですし、デリキか石川かでデリキにしておきました。
小森、佐々木の退団、鳥海の補強などはありましたが、全体的に見れば構成は大きく変わらず、動きの少ないオフだったのかなと思います。
これによって、大崩れする危険性は減ったのかもしれませんが、大きな強化も期待しづらいかもしれない。
その分、チーム内部での成長・進化を成し遂げることができるかが、重要な年といえるのではないかと思います。