2023年から2024年のオフは左SHの補強が必要ではないかと思っていたのですが、あまり大きな動きはなく。
しかも、2024年のジェフは右SHではなく、左SHもワイドに位置取りして、縦に仕掛けさせる左右のアイソレーションを実施していきました。
2023年終盤のジェフは左SHにドゥドゥが主力として入り、ゴール前に飛び出す動きを見せる形がパターン化されていたのですが、2024年は開幕戦で左SHに入ったドゥドゥもワイドに張ることが多く、チームとしてこの形を狙って作ろうとしたのでしょう。
その分、中央では後方のビルドアップに加勢しがちだった左インサイドを高い位置に固定化し、明確な2インサイドにして戦うようになりました。
これによって、4‐1‐2‐3をはっきりとさせて前への人数を増やし、ハイプレスなどをよりアグレッシブに仕掛けようという意図だったのではないでしょうか。
根本的な戦い方は変わっていないと思いますが、システムや動きには多少の変化があり、それによってタスクも少しずつ変わった部分があったと思います。
ただ、左SHの有力候補だったドゥドゥはゴール前への飛び出しに持ち味のあるタイプだし、高木もオールマイティな2列の選手。
田中や岡庭などは左サイドでもプレーできるとはいえ、左サイドをワイドに仕掛けられる本職のアタッカーというのは少なく、椿くらいだったと思います。
その状況から考えると、開幕前からかなり期待されていたのではないかと思いますし、実際に第2節藤枝戦から第13節いわき戦までは主力の左SHとしてプレーします。
しかし、シーズン中頃は怪我などもあって活躍できず。
8月に行われた第27節いわき戦、第28節仙台戦で復帰しスタメン起用されるも、その後は杉山の加入もあって再びベンチに。
右SH杉山、左SH田中の両翼が主力となっていきますが、これもしっくりいかず、第36節藤枝戦から最終節山形戦までは椿がスタメンの座を勝ち取っています。
スタメン復帰となった藤枝戦ではゴールを決めて、逆転勝利に貢献しています。
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— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年10月26日
2点差をひっくり返す逆転弾🔥
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🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第36節
🆚 藤枝vs千葉
🔢 2-3
⌚️ 78分
⚽️ 椿 直起(千葉)#Jリーグ pic.twitter.com/nnmk8svw5L
鋭いキレのあるアタッカーで、縦へ仕掛けてのクロスもあるし、カットインからのシュートもある。
基本的には右利きですが、左足も使えるテクニックのある選手だと思います。
ぐいぐいとしかけてシュートまでいけて、スピードもあってカウンターでも強さを発揮できる、小林監督好みのアタッカーといえるのではないでしょうか。
ただ、守備面に関しては課題もあって、プレスにいく姿勢は見せるのですが、ボールを奪いきれる強度はないタイプだと思います。
また、戻っての守備にも不安があり、時には守備に戻り切れない場面も。
攻守に調子が良ければ大きく活躍できるのですが、プレーに波がある印象も受けます。
このあたりが期待はされていたけれど、確固たるレギュラーとまではなり切れなかった要因なのではないかと思います。
とはいえ、22試合という出場機会を考えると、5ゴール3アシストという結果は見事。
2023年はラストプレーの質にも若干の課題を感じましたが、2024年は少ないチャンスをしっかりとものにしていたことになります。
今年は讃岐から、同じ2000年生まれの吉田が加入します。
どちらも左SHが主戦場のドリブラータイプということで、直接的なライバルといえるでしょう。
先ほども話した通り、昨年は左サイドにもアイソレーションを求めた割には、純粋な左のサイドアタッカーが少なかったわけですから、吉田でその層を埋めたということになるのかもしれません。
しかし、一方で今オフにはドゥドゥ、岡庭、高木といった、昨年まで活躍した2列目の選手が一気に抜けたことにもなります。
その分、椿などが大きく飛躍することが期待されているのではないかと思いますし、攻守にさらなる成長を期待したい選手ではないでしょうか。