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福岡のパスワークとペチュニク以外の得点力

 開幕戦から3連敗で苦しいスタートとなった福岡ですが、第4節熊本戦で今季初勝利を上げるとそこから11戦負けなしの好成績をマークしています。
 しかし、5月24日の讃岐戦で1-3で敗れると、続く大宮戦でも0-2で敗戦。
 前節徳島戦で何とか1-0で勝利し連敗をストップしましたが、それまでの勢いからは若干落ち着いたのかもしれません。
 そして、今週末はアウェイでジェフと対戦することになります。


 「アジアの壁」とも呼ばれた井原監督ですが、守備に関しては比較的オーソドックスな印象です。
 3-4-2-1で前線の3人がサイドにボールを追い込み、同サイドのウイングバックがマークについて、シャドーのプレスバックと共に挟み込んで守る形。
 最終ラインはスライドして、逆サイドのウイングバックがスペースを埋め4バックに変化する動きが、基本となるのではないかと思います。
 人に付く意識が強めで、プレスバックが特徴的なディフェンスなのかもしれません。


 守備以上に気になるのが、攻撃面。
 ボランチやCBなどを使い細かくつないでいって、サイドに相手を揺さぶりつつ、楔のパスを狙う展開。
 特にサイドの低い位置から斜め前へ、グラウンダーで楔のパスを入れる動きが印象的でした。



 前節徳島戦では相手が1ボランチということもあってか、特に積極的に斜めへの楔のパスを狙っていたところがあったのかもしれません。
 ボックスの守備だと選手1人1人が前後左右の関係で守るため、縦と横への対応は強いのだけど、斜めに対しては弱さがあると言われています。
 鈴木監督もCBから斜めへの楔のパスを狙っていたわけですが、福岡の場合はウイングバックなどが低い位置からFWやシャドーを狙う形でパスを出し、そこを攻撃のスイッチとしている印象です。


 サイドの低い位置から斜め前へのパスコースを狙われると、守備陣としては対面のSHによる対応だけではなく、ボランチも斜め前に出てコースを消さなければいけなくなる。
 ボランチがサイドに釣り出されると今度は中央が空くので、攻撃側としてはボランチからの縦パスが出しやすくなり、バイタルエリアも取りやすくなっていく…と。
 このサイドの低い位置から斜め前へのグラウンダーのパス狙いは金沢や群馬もやっていましたし、現在のトレンドの1つなのでしょうか。



 金沢や群馬のパスワークに苦しんだジェフとしては、苦手な相手といえるのかもしれません。
 基本的に今季のジェフは相手が単純にロングボールを蹴ってくれれば、パウリーニョ、キム、大岩で跳ね返すことが出来る。
 しかし、パスワークに関しては中盤のバランス管理に問題があり、スペースが出来がちで対応が後手になることが多い印象です。


 前節札幌戦での戦い方に関塚監督が手応えを掴んでいる印象であることを考えると、中盤の圧力で相手を抑え込み、守備で先手を取ってパスワークを自由にさせない。
 これができるかどうかが、この試合の大きなカギになるのかもしれません。
 そこでパスワークを封じ込めずに、相手が簡単に繋げてしまう状況になると、苦しい試合になる可能性があるのではないでしょうか。



 一方、攻撃面においては、ペチュニクが出場停止で欠場。
 もともとスロベニア代表に選出され欠場見込みの試合だったので、結果的には良いタイミングで累積警告を消化できたともいえるのかもしれません。
 しかし、ペチュニクの離脱の影響はチームにとって大きいのではないでしょうか。


 前節もサイドに流れすぎる動きが、1トップになってより目に付きましたが、それでも最後はペチュニクが同点ゴールを決めてしまいました。
 森本、町田、オナイウといった前線のパートナー候補がともに得点力で悩んでいることもあって、チームにとってペチュニクの得点能力の高さ非常に重要なものになっています。
 ペチュニクの不在、森本の復帰でどのような前線の組合せになるのかも注目ですが、単純にペチュニク以外で誰がゴールを奪うのかといったところが気になりますね。



 前線の選手たちにはペチュニクの欠場をチャンスと思って、一層の奮起を期待したいところです。
 セットプレーからの得点も武器となってはいますが、セットプレーだけでは長いシーズンを乗り越えられないと思いますし、やはり流れからの攻撃をもっと作っていってほしいところだと思います。
 ジェフとしては2戦連続ホームゲームで、コンディション面では有利といえるのではないでしょうか。
 対戦相手は札幌、福岡とどちらも遠くからの遠征組ですし、コンディションに左右されるところが大きい印象のある今季のジェフとしては強い追い風と言えるのではないかと思います。


 しかし、順位でいうと前節の結果で、福岡は現在4位に上がりジェフは5位に後退。
 相手の方が上にいる状況ですから、決して楽な試合にはならないかもしれません。
 4戦勝ちなしと苦戦しているジェフとしては、ここで何とか踏ん張りたいところですね。

イラク代表との親善試合は4-0の勝利

 イラク代表の守備に締りがなく大差になってしまったので取り上げるかどうかも迷った試合ですが、今日取り上げておかないとこの試合に関して取り上げるタイミングもなくなってしまうのでとりあえず。
 イラクも16日には台湾とのW杯予選を控えているわけですが、「本番になれば本気を出す」というメンタリティなのでしょうか。
 今回は調整試合くらいに考えているのかもしれませんね。


 5分に決めた日本代表の1ゴール目は、イラクオフサイド崩れ。
 9分には2得点目はCKからニアで競って、どフリーになった槙野がゴール。
 もちろんそこでしっかりゴールに結びつけるのはさすがとも感じたのですが、相手が試合の立ち上がりでエンジンがかかり切っていない印象がありました。
 実際それ以降もイラクの守備は前にプレスに行けるでもなく、後方のスペースを埋めるでもなく甘さが目立ちましたが、日本代表も立ち上がりほど良い時間帯ばかりではなかった印象で。
 特に後半入って大幅にメンバーを変えるまでは、動きも重くなり攻撃の勢いも落ちていった印象でした。



 ジェフもそうですが、前に速さ、強さを重視するチームだからこそ、立ち上がりに相手を押し込みやすいところがあるのでしょうか。
 加えて相手の守備に甘さがあるチームには強いというところも、共通しているように思います。
 当たり前ではありますが、前に速い攻撃ということは、相手の守備が揃う前に攻めきるというところが大きなポイントとなる。
 守備の甘いチームは守備を揃えるのが遅くなりがち(あるいは揃えきれない)なわけで、そこに対して積極的に攻め込むことでチャンスを作れるとうことになると思います。


 それだけに問題になるのは、守備が整った相手にどのような攻め方ができるかということになると思うのですが、今回はそこのテストにはならなかったですね。
 ただ、ハリルホジッチ監督が指揮してからの2試合に関する感想でも話しましたが、単純に縦に速いだけではないところはあるように思います。
 あの時もボランチからの楔のパスにFWが受けて、他の選手が走りこんでそこを狙って速いパスを出すという形が見られたように、今回も同様の攻撃は作れていたように思います。


 後方からのパスに本田や岡崎が受けに下がって、そこに出た瞬間に反応して走りこんでいったSBに横パス。
 あるいは後方に一度戻して他の選手が裏で走りこんだところに、ダイレクトでスルーパスを狙うといった形でチャンスをつくろうとしていた。
 これがどこまで熟成されていくか。
 守備が安定しているチームにも通用するかどうか。
 これが特に相手に警戒されるであろうアジアでの試合では、重要になってくるかもしれない。
 結局、攻撃面でのポイントは早い攻撃ではなく、そちらになってくる可能性もあるのかもしれません。



 その他、縦からのプレッシングからのハーフカウンターは、アギーレ監督時代からも見られたこと。
 もっと言えば今話した、縦パスをSHが受けてサイドや裏に展開という形もアギーレ監督時代からあったものです。
 細部はもちろん違うものの偶然継続した形なのか、あえて残したのかといったところは気になるところです。


 ともかく、まずは16日のシンガポール代表戦でしっかり勝つことが重要ですね。
 ホームでもありますし、結果が求められる試合となりますので、そこに標準を合わせて頑張ってほしいと思います。