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ジェフ経営情報'16前編「広告料収入」が過去最高に

 今年も7月にJクラブの経営情報が、Jリーグ公式サイトにて公開になりました。
 当ブログでは毎年取り上げていますので、今年も見ていこうかと思っていたのですが、その直後にジェフの監督交代があり遅くなってしまいました。


 ここ数年はクラブライセンス制度の導入によって、"債務超過"と"3期連続赤字"が注目されていました。
 しかし、今年の開幕前に高橋GMが「移籍金にかける割合が尋常じゃなかった」と発言したことにより、その実態も気になる状況となりました。
 もちろん具体的な内訳などは公表されていないため詳細に関してはわかりませんが、そこまで大きな額なら表に出る可能性もあり注目のポイントだったのではないでしょうか。
■「広告料収入」が大きく増加


 情報開示の内訳が変更となった11年度から、2つの表にしました。
 前年度に比べると15年度は「広告料収入」が約1億円増加し、『営業収益』全体も押し上げることになりました。


 15年度の「広告料収入」の16億4100万円は、経営情報公開されることとなった5年度以降で過去最高額ということになります。
 「広告料収入」が16億円を超えたのは、11年度、12年度と15年度の3回だけ。
 J2に降格してから「広告料収入」が増えている傾向が見られますが、スポンサーの数に関してはJ1後期の方が多かったように思います。


 それだけ大口スポンサーを獲得しているという可能性もありますが、そういった形跡は見られないと思います。
 それよりもやはり親会社であるJR東日本が力を入れ始めたこともあって、関連会社のスポンサー単価が高くなっている可能性が考えられるのではないでしょうか。
 その分、JR東日本によるクラブへの影響力も増しているということの表れなのかもしれません。



 また、15年度は前年度に比べて「入場料収入」が約5500万円。
 「その他」が約6000万円、増加しています。
 「その他」に関しては「移籍金収入」がここに入ってきている可能性がありますので、05-06オフでの大幅入れ替えによる利益が出ているのかもしれません。
 「移籍金」は税金対策もあり分割で支払われることが多いとはいえ、思ったよりも増加分は少ないと感じる数字ではないでしょうか。


 『営業収益』全体では、前年比で2億円増加となっております。
 これは10年度以降で最も大きな額であり、J2降格以降ゆるやかに減少傾向にあった状態に歯止めをかけたとも言えるのかもしれません。
 しかし、それに対する一番の要因が「広告料収入」の増加であり親会社の支援が大きいということになるのであれば、親会社の意向次第で来年度以降の経営状況も大きく変化してしまう可能性があるわけですから、今後も注意していかなければいけないと思います。
■『営業費用』は前年と大差なし


 『営業費用』は前年度から約4900万円増加となっており、全体で言えば大きな変化は感じませんでした。
 内訳を見ると「トップチーム運営経費」が約3600万円減少していますが、「販売費及び一般管理費」が約9600万円も増加しています。
 「販売費及び一般管理費」だけで約1億円も「費用」が増したことになりますから、原因が気になるところですね。



 注目の「チーム人件費」は、2000万円の減少にとどまっています。
 昨年の経営情報エントリーでお話したように、14年度の「チーム人件費」には14-15オフの「移籍金」がかかってくる可能性がある。
 もしそれが正しければ15年度は「移籍金」が少ない年になるはずで、「チーム人件費」も大きく減少するのではないかと思っていたのですが、ほとんど変化は見られなかったですね。


 もちろん「移籍金」が分割であれば残りを支払わなければいけませんが、高橋GMの話の流れからして「移籍金」の残っている選手は移籍と共に、「移籍金」残金の支払いが次の移籍先に移るのではないかと思います。
 その分「チーム人件費」が少なくなるのではないかと思っていたのですが、"尋常ではない移籍金"が動いたわりには、その形跡を感じられなかったといった印象です。
 来年以降にそこが出てくる可能性があるのでしょうか。



 結果的に前年は赤字だった経営状態が改善されましたが、少なくとも開示されたデータから読み解くと選手の大幅入れ替えがもたらしたものというよりは、「広告料収入」が増えたことによって『営業収益』が増した結果であると言えると思います。
 ジェフに限らずどのクラブも「広告料収入」の割合が大きいため、そこに左右されるのは仕方のないところでしょう。
 しかし、一つの企業やグループ会社に「広告料収入」を頼っていると、どうしてもそこへの依存率や影響力が高まってしまうため、そこ以外からの収入を増やすことでリスクを分散したいというのが理想であるはずです。


 評判の悪かった淀川社長や古河時代ですが、後期には1つ1つは小口であっても地元スポンサーを数多く獲得することで"自主自立の経営"を目指していましたし、その方向性に関しては大きく間違っていなかったのではないかと思います。
 今でもジェフは"自主自立の経営"を掲げていますが、具体案は見えてきていませんし、むしろJR東日本の存在感は増しているようにも思います。
 もちろん親会社には感謝の気持ちもありますが、今年名古屋が失敗したのも親会社の意向が強かったためではないかという見方もあるわけで、親会社に頼ってばかりではどこかに弊害が生まれてしまう可能性も考えられるでしょう。
 今回「広告料収入」が増えたところで、改めてそのあたりを考えていきたいところなのではないでしょうか。
 後半は来週に続きます。