2016年の比嘉は9試合に出場し、7試合がスタメン出場でした。
初のスタメン出場となったのは6月12日の東京V戦でしたが、この時は右SBでのプレー。
しかし、その後はチャンスが巡って来ず、出場機会が増えたのは8月11日の北九州戦からでした。
この時は左SBとしての起用でした。
阿部を取り上げた際にも話したように、シーズン序盤以降なかなか阿部の状態が上がってこなかった。
そこで関塚監督解任の後を受けた長谷部監督が、阿部をスタメンから降格。
代わりに起用されたのが比嘉でした。
比嘉は左SBの位置から、運動量豊富にアップダウンすることで攻撃を活性化。
左SHで起用された町田との相性も良く、以前に図でも説明した通り、比嘉が左サイドで積極的に上下動することによって、町田がゴール前に飛び出せる状況が作れていたように思います。
スピードもある選手で、阿部が走れない状況が続いていたからこそ、比嘉の動きが目立ってみえた部分もあったのだと思います。
また、意外な武器として、守備時の反応の速さがあげられるのではないかと思います。
セットプレー時などのこぼれ球に対して、一歩目のアクションが非常に速い。
周りが反応できていないタイミングで、いち早く反応してボールに潰しに行く動きには驚きすら感じました。
加えて、守備範囲も広い選手で逆サイドから攻め込まれた場面で、中央をカバーしていることも多いように思います。
大学時代にはCBでもプレーしていましたし、その経験が生きているのかもしれません。
ただ、若狭と同様にどこか軽率なプレーもあるような気がしますね。
左SBとして比嘉が出場し始めた効果は出ていたと思うのですが、残念ながらクロスの精度は大きな課題でした。
比嘉はロンドン五輪予選時代から、クロスの精度に難がある印象がありました。
昨年もせっかく高い位置まで駆け上がっても、クロスに関しては期待できない…という場面が多々ありました。
また、昨年は怪我にも悩まされていた印象で、コンディションが万全でなかったのか、試合から遠ざかっていた影響もあったのか、スタメン出場を果たしても90分間持たないことが多くありました。
スタミナにも不安があり、試合終盤に足を釣るのも恒例となっていました。
SBが90分間持たず毎試合のように交代枠を用意しておかなければならないというのは、さすがに厳しいものがあると思います。
そして、10月に入ってからも、怪我で戦線を離脱。
10月8日の京都戦からは阿部が一時的にスタメンに復帰し、10月13日の徳島戦からは2年目の乾がレギュラーに。
シーズン終盤の比嘉は、ベンチにも入れずに終わっています。
昨年は怪我に悩まされたシーズンだったと思うので、比嘉もまずは万全な状況を維持することが目標となるのではないかと思います。
3バックのWBには運動量を求める監督も多いと思いますし、左右のSBをこなせるというアピールポイントもあるので、控えとして便利な選手でもあると思います。
左SBは決して層の厚いポジションではないと思うので、しっかりと活躍してまずはチームの底上げを目指してほしいところではないかと思います。
また、チームのムードメーカーとしても期待ですね。
比嘉のTwitterなどを見ているとどこか危なげな印象も受けますが、チーム内を盛り上げるという点においては良いキャラクターなのでしょう。
そういった選手も大事だと思いますし、チームを盛り上げるためにもメンバーに入り続けることが重要なのではないか。
選手としては今年が正念場なのではないかと思いますので、頑張ってほしいところだと思います。