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巻誠一郎、ロシアリーグに移籍?

 昨シーズン終了の時点で、巻はジェフ残留を迷っているという報道が出ていました。
 個人的にはその時から「ぜひ残留してほしい」という思い以上に、「江尻監督としっかりと話あってほしい」と思っていました。
 巻は特徴のはっきりとした選手だしネットというまたタイプの大きく異なったFWもいたわけで、江尻監督の目指すサッカーと巻という選手のスタイルが合わなければ、巻が厳しい立場になってしまう。
 そう思った上でのことでした。



 結果的にではありますが、見事にその不安が的中してしまいます。
 昨日も話したように、江尻監督はテクニックを主眼に置いたバルサ、スペイン流のサッカーを目指し始め、足元でボールを受けるよりも動くこととフィジカルに特徴のある巻は徐々に立場を失っていきます。
(加えて江尻監督は1トップがサイドに流れるなど多くの仕事を要求したわけですが、これが今年巻が苦しんでいる理由の1つだと思います。しかし、一方でサイドに流れる回数の少ないネットが起用されており、そのあたりの明確な線引きが出来ていたのか疑問が残ります。本来なら巻もなるべくセンターに残ってクロスボールを待っていたいタイプなはずで…。)
 それだけなら仕方ないにしても、チームは攻撃の最後の部分を個人での突破力に頼る傾向が出てきてしまいました。
 確かに結果も必要な今期ですから早期に結果の出せる個の能力に頼りたくなる気持ちもわかりますが、それにしてもそちらに振られ過ぎ、前線で周りを活かす選手を使いきれていなかった印象が自分の中にはありました。


 それでも巻はネットの出場停止もあってスタメン起用された愛媛戦で、素晴らしいプレーを見せてくれました。
 体を張ってポストプレーをし、走りまわってスペースを作り、最後はフラフラになりながらも相手に向かってチェイシングをし…。
 しかし、その試合で本来のスタイルではなかったと言われると、次の甲府戦で活躍できなかったこともあってか、先日の練習試合では若手やリザーブズの選手達と一緒にサブ組でプレーさせられることになります。
 サブ組といってもネット、孝太に続く実質3番手ということになりますね。


 その時は言いませんでしたけど、さすがに「ん?」と感じてしまいました。
 確かにチームを本来のスタイルに戻したと言えばその通り。
 しかし、あまりにも選手の気持ちを考えてあげられていないのではないか…と。
(まぁ、もしかしたら、その頃には今夏の移籍を考えていた可能性もあるのかもしれませんが…。)
 江尻監督は昨年の初采配の時にも当時SHとして途中出場で活躍していた益山をいきなりSBで使って大失敗し、「自分の責任」と言いながらそのまま益山にはチャンスを与えずシーズンを終えてしまった…なんてことがありましたし、今期も同様にスタメンで起用した鎌田や米倉を次の試合でいきなりベンチからも外すなんてことをしています。



 そんな状況ではありますが、一方でチームとしての結果に関しては最低限の数字が出ている(あくまでも最低限のですが)。
 このまま状況が大きく変わらないのであれば、巻は今オフ末に移籍しても仕方がないのではないかと思っていました。
 けれども、国内移籍となれば障害もあるかもしれない。
 巻は07年末、あの大混乱の中でもジェフに残ってくれた唯一の主力選手。
 それほどまでにジェフに思い入れを持ってくれている巻にとって、他のJリーグクラブに移籍するというのは巻の信念からは少しずれる部分があるのかもしれません。


 そう考えていくと海外移籍というのは、巻にとって決して突拍子のない選択ではないようにも思うのです。
(でも、W杯出場経験がある巻とはいえ現在は活躍しているとは言えず、良い行き先が見つかるかなぁ…と思っていたのですが、もしかしたらそこは日本代表のW杯での活躍が後押しになった部分があるのかもしれませんね)。
 今回スポニチが報じたのはロシアリーグ1部のアムカル・ペルミ
 巻にとっては決して悪くないリーグだと思うのですが、大切なのはチームの状況ですね。
 どのようなサッカーをして、巻のような選手を必要としてくれる状況にあるのかどうか。
 そのあたりがしっかりと合致したのであれば、頑張っていってきてほしいとも思うのです。
(追記:共同通信によるとジェフも移籍交渉中であることを認めたようですね。)


 むしろ気になるのはジェフの方で。
 巻はジェフにとって、クラブ史上最大の功労者といっても過言ではないかもしれませんん。
 Jリーグ通産53ゴールは、チェ・ヨンスの54ゴールに次いでクラブ2位。
 ナビスコカップ天皇杯を加えると68ゴールとなり、ジェフ歴代トップのゴール数となるはずです。
 ジェフ史上初のナビスコカップ優勝、そして2連覇に貢献したことはもちろん、W杯にも選出されクラブの知名度も高めてくれた。
 そして、ジェフに残った08年には、チームが残留争いをする中、11ゴールを達成。
 1部残留に大きな貢献をしてくれました。


 そんな選手に対して最後は居場所がなくなり、言葉は適切かどうかはわかりませんけど、結果的に追い出すような形になってしまったというのはどうなのかと。
 もちろんスタメンだけがすべてではないのですが、巻のようにジェフのために頑張ってきた選手に対して、例えベンチスタートであっても気持ち良くプレーさせられる環境を作ってあげられなかったことが私には残念でなりません。
 監督の問題や本人の問題、スタッフによるメンタルのケアなどさまざまな要素が考えられる(現状の問題だけではないとも言えるのかもしれません)と思うのですけど、全体を通してクラブとして器の大きさのようなものを感じられなかったような気がします。
 いろいろな問題が起こって、「選手に優しくないクラブ」と言われることもあったジェフ。
 今はそんなことはないと思いたい…のですが。



 巻の移籍に関しては寂しい気持ちもありますけど、ジェフで悩んでいる巻を見るのも同じくらい辛い部分があっただけに、今回のチャレンジは巻にとってもポジティブなものだと思って応援したいと思います。
 ただ、なぜこうなってしまったのかに関しては、どうしてもいろいろと考えてしまいますね。