大宮戦でのジェフは54分という早い段階で、森本、金井に代えてオナイウ、田中を投入。
右SBの大岩を右ストッパーにして、右ウイングバックに水野、左ウイングバックに田中。
左からペチュニク、松田、オナイウという並びの3トップにして、3-4-3のシステムに変更しました。
そして、66分には健太郎に代えて谷澤を投入。
谷澤と松田をトップ下にして、FWにペチュニクをオナイウを並べた、3バックの2トップ2シャドーの変則的なシステムになりました。
これに関して関塚監督のコメントを聞きたかったのですが、ジェフ公式サイトでは出ていないようです。
アウェイだと、会見は短くなりがちではありますが…。
基本的に現在の攻撃というのは、森本、松田に長いボールをあてて2人の前へのパワーを活かすか、こぼれ球をペチュニクなどが拾って個人技で打開する形がメインではないかと思います。
そこがダメなら逆サイドのSBを狙って、サイドに大きく展開する形。
そこからSBが縦に仕掛ける、SBがSHと絡んでチャンスを作る展開はあまり作れていないですが、大きく展開することで相手を揺さぶるという大筋での狙いはあるのでしょう。
中央でボールを繋げないので、サイドを使って何とか打開したいという思いも感じます。
しかし、大宮戦での選手交代により、森本がいなくなって前への圧力が弱まってしまった。
オナイウも最終的にはゴールを決めてはくれましたが、相手に圧力をかけ続けるタイプではない。
ペチュニク、松田、オナイウの連携も出来ておらず、戸惑いながらプレーしているような印象を受けました。
そして、3バックへの変更によって、大きなサイドへの揺さぶりも出来なくなってしまった。
もちろん3バックでもサイドチェンジが出来ないわけではないですが、相手のサイドには2人いる状況で、こちらのサイドには1人しかいない状況。
そこへ単純にロングパス一本で展開しても、有利な状況は作れない。
うまくいかない3バックにありがちな、ウイングバックがボールを持ってもフォローが少なく、大外に追いやれる状態になることが多かったと思います。
サイドにつなげなくなったこともあって、チーム全体のビルドアップはさらに迷いが生じた印象を受けました。
それでも初めの二枚替えに関しては、3-4-3にして松田を3トップの頂点に置くことで、松田の前への強さを活かすシステムを考えているのかなぁと当初は思っていました。
しかし、その約10分後には谷澤を投入して1ボランチにして、松田は谷澤と共にトップ下へ。
現在ジェフで最も得点が狙える選手を最前線から下げたことになったわけで、ますますチグハグな状況に陥っていった印象でした。
これにより3-4-3の狙いもなんだったのか、よりわかりにくくなったように思います。
無論それでも失ったもの以上のメリットが期待できるのであれば、成功と言えるでしょう。
けれども、この交代も明確な意図といったものは感じられず。
谷澤がトップ下の位置でボールを触る機会も少なく、前線に人数をかけてパワープレーを徹底するようなそぶりもなく。
結局、攻撃的な選手を増やしたことと、何でもこなせそうな松田をトップ下において、中盤から前へのつなぎの部分も期待したのかなと感じてしまいました。
しかし、それでは現在最大の武器が、前線から失われてしまうことになるわけで…。
守備の改善から立て直そうとした可能性も否定はできませんが、2点ビハインドの状況であることを考えれば点を取らなければいけない状況だったはずです。
1ボランチ気味のシステムになったわけですし、守備的な交代とは言い難かったように思います。
実際の流れでも、守備に関して大きな改善というのは見られなかった印象です。
3バックに代わってから手探り状態になってしまったのは、かなりショックな事実なのではないかと思います。
4バックに関してはメンバーが変わったり前線の形が変わったりしても、長く時間をかけてやっているので選手個々で連携を取れていた部分はあるでしょう。
しかし、3バックは"時間による熟成"はないために、その分素の状態での連携や戦術面が見えてしまったような気がします。
それだけ、現在のチームには戦術的な基盤が出来ていないということが言えるのではないでしょうか。
システムを変更しても意図が見えないということで、チームのデザインも作れていないということになると思います。
加えて、関塚監督は比較的試合中のシステム交代が多い監督だと思うのですが、ほとんどあたったことがない印象で。
明確に何かをしようという意図よりは、どうにか状況が変われば…と願って、何かしらのアクションを起こしてみたということだったのかもしれません。
選手交代も戦術面も含めて、アバウトな面が多すぎる。
昨年から感じてはいたのですが、攻撃にせよ守備にせよ、細部を詰め切れていない印象があります。
アバウトと言っても前線の選手が仕掛けられる状況などを作れればいいのでしょうが、そこまでも出来てない。
関塚監督自身、以前からどこかチーム作りの詰めが甘いというか、最後のところで雑な部分があるように思わなくもありません。
関塚監督もロンドン五輪本戦こそ結果を残したものの、それまでのチーム作りには疑問点も多く、サッカーに詳しい方ほど評価が低い印象がありました。
その後磐田でも大きく失敗しているわけですし、今回のジェフでのチャレンジというのは、プロの監督として背水の陣とも言えなくもないのかもしれません。
今季の残り数試合で問われる部分は、多くなりそうな気がしますね。