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2016シーズンを振り返る 長谷部監督編 その2

 いつまでも立ち止まってはいられませんので、チームその総括の続きをアップしたいと思います。
 その1で今季後半の流れを振り返ったところで、その2から来季以降の方向性などを考えていきたいと思います。
 本来はその2で終えようと思ったのですが、文章量が増えたことや時間の問題もあって、その3で締めることにします。


 来季以降の方向性を考えるためには、まず現在のチーム状況や今季の目標設定が妥当性などを振り返る必要があるでしょう。
 古くからPDCAサイクルなどが言われていますが、過去や現在などの見直しを踏まえた上で、プランの決定・修正をしていくのが組織の基本だと思います。
 ジェフの場合はそこに欠けている印象があり、毎年のように全く新しい方針で戦おうとするため、積み上げが出来ていないところがあるのではないでしょうか。
■厳しい戦力事情とクラブの本気度
 2016年のジェフは関塚監督を続投しましたが、監督を替えるのではなく選手を大幅に入れ替えることによって、チームに変化を与えようとしたのではないかと思います。
 関塚監督続投で選手も同じではあれ以上は伸びないと判断したのか、それとも監督続投に選手が不満を示したのか。
 ともかく、選手より監督を選んだ形になったと思うのですが、その結果昨年より戦力は落ちたのではないかと思います。


 特に守備陣に関しては、苦労が多かった印象です。
 以下は厳しい話になりますが、軸と期待された阿部は序盤以降低迷し、近藤も大事なところでマークを失うことが多く、全体的にDFラインはマイナス面が大きかったのではないでしょうか。
 GK佐藤優也もキャプテンとしてまとめようとしてくれましたが、安定感に欠くところがあり終盤は岡本にポジションを譲る形となりました。



 攻撃陣も関塚監督の意向もあったのかもしれませんが、技術があり個人で打開できる選手が増えたものの、その分サイズのある選手が少なくなり、セットプレーなどで苦しみ戦力の幅も狭くなってしまった。
 また、今季も決定力に悩まされ、これが上位チームとの大きな差になった印象もあります。
 町田が覚醒したから良かったものの、それがなかったらどうなっていたか…といった状況だったと思います。


 当初は昨年より戦力が増したと感じていたボランチも、山本、アランダ、勇人、富澤とこぞって主力候補が離脱。
 選手層にも問題があり、結果的に一番のネックとなったポジションだったようにも思います。
 ここも長谷部監督が就任して長澤がボランチで機能し始めたところで穴が埋まった感があり、地味でも安定感のあった健太郎が懐かしく感じたこともあります。



 主力選手の年齢層が高かったことも影響したのか、前年まで常時出場していた選手が少なかったためか、全体的に負傷者が多くコンディションが不安定だった上に、登録人数も少なかったため選手のやりくりに苦労した1年だったと思います。
 また上位4チームだけでなく岡山や京都と対戦しても「相手の方がタレントが上では?」と感じることがあり、昨年と比べて戦力的に厳しいシーズンだったのではないでしょうか。
 確かに単純な予算ではジェフの方が上回っている場合もあるかもしれませんが、他チームは数年をかけて選手・チームを育ている分、トータルでの投資額ではジェフの方が下回っているのかもしれません。


 そういった意味では、関塚監督も苦労は多かったのでしょう。
 ただ、関塚監督の場合は、結果以上に内容が問題だったと思います。
 昨年も序盤以降は大きく低迷しいつ解任となってもおかしくない状況でしたが、"背水の陣"で臨んだ今季、選手が変わったにもかかわらず同じような問題が発生して苦しんだわけですから、もう言い訳はできない状況だったと言えるでしょう。



 長谷部監督に関しては新人監督であるにも関わらず、成績も内容もビハインドの状況からPO進出を課されたわけですから、より大変な役回りだったと思います。
 しかも、フィジカルコーチの補填もなく、コーチの人数も少なくなった上に夏の補強も丹羽のみ。
 PO進出というノルマは課されたものの特に監督交代以降、クラブとしてどれだけ本気で臨んでいたのか大きな疑問が残ります。


 西部謙司氏も長谷部監督に関して、このように評しています。

関塚隆前監督の解任を受けて、初の「監督」に就いたわけですが、かなり頑張ってくれたように思います。目標に掲げていたプレーオフ圏内は果たせませんでしたが、それは最初から高望みというもの。守備を整備しつつ、攻撃面でも特徴を引き出してくれたのではないでしょうか。(犬の生活

 ちなみに関塚監督の今季の成績は、8勝8敗9分で平均勝点は約1.3。
 その状況から1.5〜1.6をノルマとして掲げられたわけですが、結果は5勝7敗5分で平均勝点は約1.2にとどまりました。


 総じて今年は戦力的に厳しかったように思いますし、監督も前年PO進出を逃した関塚監督でスタートしたわけで、J1昇格は厳しい目標だったように思います。
 加えて監督交代後のPO進出も「高望み」だったと思いますし、こちらも含めてクラブの目標設定に無理があったのではないでしょうか。
 目標設定が誤っていたということになればクラブの責任も大きく、降格以降ほぼ毎年J1昇格を掲げ失敗しているわけですから、現状を把握する能力の見直しが求められる状況と言えるでしょう。
■来季以降の方向性と監督選択
 大幅入れ替えの影響は今年だけでなく、来年以降にも響いてくのではないでしょうか。
 ほぼ全選手を移籍金なしで補強したジェフですが、やはりそういった形で補強できる選手はそれなりの選手なのではないかと思います。
 現在能力がある選手だけでなく、伸び代が十分に期待できる選手は、クラブもそう簡単には外に出さないでしょう。


 実際、今季1年で成長したと感じる選手、あるいは今後成長しそうだと感じる選手は、元々ジェフに在籍していた選手やレンタル加入の選手が多い印象です。
 町田、井出、北爪、オナイウ、岡野、乾、長澤、菅嶋…。
 オフに退団した選手の中にもまだ伸びる可能性のある選手はいたと思いますし、大幅な入れ替えは総合的な戦力がマイナスになっただけでなく、チーム全体の伸び代も狭めてしまった可能性があるのではないでしょうか。



 来季に向けて大幅補強でもしない限りは、戦力的に厳しい状況が続きかねない。
 さらに伸び代が小さいのであれば、来季大幅にチームが成長することも期待しづらく、逆に衰退していく恐れすらある。
 そう考えると、来季こそは一からじっくりチームを作り直して、"種をまくシーズン"にしなければいけないのではないかと思います。


 具体的に考えると、例えば北爪、オナイウ、岡野、乾など若い選手がポジションを争えるような状況を作り、2年後、3年後の成功を目指す。
 補強に関しても若手を中心に獲得して、ベテランなどの補強は"我慢"する。
 もちろん若手中心で戦えば課題も出てくるだろうしリスクも大きいですが、それくらいのことをしなければ現状は脱せないかもしれません。
 岡野や乾を見るとやはり若手にとっては出場機会が大事であることを感じた年でもありますし、チームの成長を期待するのであれば若手の出場機会を促す状況を作らなければいけないのではないかと思います。


 逆にもし来年の昇格を本気で目指すのであれば、各ポジションで戦力が足りていない印象ですからまた大幅な補強が必要でしょう。
 岡野や乾のポジションにも即戦力の補強が必要になってくると思いますし、その分2人の出場機会は遠のく可能性も考慮しなければいけません。
 特に来年はPOがなくなりJ2の3位がJ1の17位と入れ替え戦を行うという報道もありますから、昇格はより狭き門になる可能性がありますので、現状の戦力では厳しいと思います。
 このあたりの補強に関してもクラブの方向性によって狙いや評価が大きく異なってくるはずで、まずはどういったビジョンを描くかが重要となるはずです。



 来年こそはチームを作り直すという方針で考えるのであれば、個人的には長谷部監督が良かったのではないかと思います。
 その1で話したように、戦術の基礎を作れること、理論的なチーム作りができること。
 そして、若手を積極できる勇気があることと、選手の良さを引き出せる監督であること。


 加えて、数ヶ月ジェフを指揮をしたことによって、長谷部監督もジェフをわかっているし、ジェフも長谷川監督を理解している。
 監督交代をすればギャンブルになりかねないですが、逆に続投すればチームの継続性も期待できることになるはずです。
 オフの補強も今年のチームをベースとして、足し算・引き算をしやすいというメリットがあります。



 確かに、"勝てる監督"かどうかはまだわからないし、引き出しもどれだけ期待できるのかはまだ読めない段階です。
 ただし、長谷部監督は関塚監督就任当初のようにベースは鈴木監督のもので勢いをプラスしたような流れではなく、確実に自身の手腕で一からチームを作っていった。
 それができたことを考えると、来年チームを預けても大崩れすることはないのではないかと私は思います。


 何より今のジェフに必要なのは"勝てる監督"よりも、チーム・選手を"育てることが出来る監督"ではないかと私は思いますので、そこを優先するのであれば長谷部監督で良いのではないか。
 もちろん育成に定評のある監督を他から招聘できればいいのかもしれませんが、ジェフの現状を考えれば有力な監督を招聘するのはそう簡単ではないことは見えていたこと。
 前評判が良くてもクラブに合う・合わないもあるでしょうし、今オフこそは着実な策を取るべきなのではないかと私は思っていました。