ここ4試合勝ち星のないジェフ。
明日対戦する山口は、これまでの相手とは少し趣の異なるサッカーをしています。
山口はオフに中山、福満、島屋、望月、庄司、小池、北谷、ユン、一森など、多くの主力選手が移籍。
元ジェフの福元や健太郎をはじめ、前貴之、渡辺広大、高柳、小塚などを補強するも、戦力的は厳しいのではないかと思っていました。
しかし、これだけメンバーがかわっても、昨年までと同じく攻撃的なパスサッカーを展開しています。
今年もピッチ全体でパスを回して、前を向く形を作るのか非常にうまいチームで、そこから飛び出していった選手に繋ぎチャンスを作る。
その中でも大事な役割を担っている選手の1人が、健太郎ではないでしょうか。
昨年の司令塔である庄司のポジションに入ってバランスを取りながらパスを散らし、ボランチの相方である小塚が縦に鋭いパスを狙うチームになりつつある印象です。
ただし、ボランチが前を向いて縦パスを出す展開は作れていたものの、2列目から先の細かなパスワークが作りきれていない印象でした。
それもあって、開幕から4試合は勝星なし。
現在も順位は19位と苦しんでいます。
しかし、前節好調な徳島との試合では、スピードのある米澤を1トップに起用。
積極的に長いボールも出して、落としたところを繋いで崩していくサッカーを展開してきました。
徳島の堅い中盤の守備を飛ばそうという意図だったのかもしれませんが、これが功を奏して前半から良い形を作っていきます。
38分には小塚の浮き球のパスを米沢が頭で裏に繋ぎ、星が飛び出して、小野瀬、星とシュートを放ちますが、徳島GK梶川がファインセーブ。
42分にも小塚からのロングスルーパスに前が飛び出していきますが、GK梶川がうまく飛び出して対応。
前半アディショナルタイムにも、右サイドで前と小野瀬がパス交換をしてグラウンダーで中央に繋ぎ、米澤がシュートに持ち込みますが、相手DFがブロック。
徳島もセットプレーから決定機を作っていましたが、山口の方が良い攻撃を作れていた印象です。
ここまで結果を残してきた徳島ですが、この試合では動きの重さが目立ちました。
それでも大事なところではやられないところはさすがとも思いましたが、勢いは下降傾向なのかなと感じました。
前半は流れが悪かったと見たのかシステムのミスマッチを埋めたかったのか、徳島は後半開始と同時に選手を代えて4バックに変更。
しかし、後半からより積極的に山口が前への圧力をかけていき、リズムをつかんでいきます。
それによって徳島の中盤にスペースが出来始めると、グラウンダーのパスを繋ぎチャンスを作っていきました。
そして72分、星のグラウンダーのクロスを、逆サイドの前がシュート。
GK梶川がこぼしたところを、星が詰めてシュート。
これが決まって、山口が先制ゴールを上げます。
その後も山口が良い形で攻めていきますが、80分過ぎからは守りを固めていきました。
しかし、山口は昨年もそうですが、前からプレスをかける時は良いものの、引いた守備には甘さが目立ち、強さも足りない印象があります。
徳島戦でも後半アディショナルタイムに失点し、1-1の引き分けに終わりました。
攻撃面においては新メンバーでの連携も深まり成長を感じますが、このあたりの甘さが大きな課題なのかもしれませんね。
失点シーンではカルリーニョスからの大きな展開を受けた広瀬がセンタリングを上げ、渡が決めた形でしたが広瀬はほぼフリーな状態だった。
チーム全体として守備を引き締められるかどうかが、今後の大きなカギを握っていくのでしょうか。
ジェフとしてはパスサッカーを志向する相手となると、2-0で勝利した名古屋戦も思い出します。
しかし、山口は徳島戦前半のように、長いボールを蹴ってくることもあるチーム。
名古屋や岐阜あたりとは、考え方の違いがあるのではないでしょうか。
名古屋や岐阜などはどちらかといえば徹底して細かいパスを繋ぎ、その中で相手とのギャップを付いて崩そうというパスサッカー。
しかし、山口は縦に飛び出す選手に対して、いかにボールを供給するのかを目的としているパスサッカーなのではないかと思います。
そのために中盤で繋ぎ、前を向いた選手を作り上げ、そこから縦に展開したいという発想なのではないでしょうか。
だから、状況によっては長いボールを出すこともあるし、それによって相手が引いて中盤にスペースが出来れば、グラウンダーのパスも繋ぐと。
そのため、昨年もパスを繋ぐチームでありながら、「縦に鋭く速い」というイメージの強い攻撃的なチームだったように思います。
それを今年これだけメンバーが変わっても展開できているわけですから、上野監督の手腕というのが大きいのでしょうね。
ただし、守備においては不安がある。
要所要所で寄せが甘くなる傾向があるし、マークを見失うことも多い。
リトリートした状況での追い方もアバウトなところが多い印象で、ジェフとしてはそのあたりを突きたいところでしょうか。
攻撃的なチームが相手ということで今までとは違った展開になる可能性がありますが、もう1つの大きな違いは相手が4バックであるということ。
今季は3バックのチームが極めて多いだけに、ジェフがどのようにミスマッチを埋めるのか。
第1節町田戦ではサイドで優勢に立ち押し込む時間が長かったため問題は生じませんでしたが、攻め込まれた時にどう守るのかがポイントとなるかもしれません。
もう1つ気になるのは、選手起用に関してではないでしょうか。
前節群馬戦で後半から出場した町田が、完全復帰となるのか。
そして、群馬戦ではベンチからも外れたアランダが今後どうなるのか。
キムもCBとしては不安定なところがある印象です。
それでもキムのCB、熊谷のアンカーを続けるのであれば、ある程度やり方や考え方も代えなければいけないのではないかと思います。
当然、細かな連携も深めていかなければいけないでしょう。
ジェフとしてはホーム2連戦で下位2チーム相手に勝星を上げられなかったわけで、これ以上勝利から遠ざかることは避けたいところ。
確かに山口の攻撃は見事で開幕時よりも成長を感じますが、守備などには甘さのあるチームだと思います。
順位も19位と低迷しているチームですし、勝星を狙いカードとなるのではないでしょうか。
ただ、両チームともに決して良い状況ではないかもしれませんが、それでも山口は徐々に状態を上げてきている。
ジェフは逆に開幕時に比べると状況が悪くなっている印象がありますから、より深刻なのはジェフの方とも言えるかもしれません。
ジェフとしてはその流れを食い止めることが、何よりも今求められるところだと思います。
昨年もジェフは、4月23日に山口相手に2-4の大敗を喫しています。
そして、そこから成績を落とし、低迷していきました。
今年も同じような時期に対戦することになるわけで、チームが昨年の二の舞とならないためにも、リベンジを果たすためにも良い結果を期待したいところですね。