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パスサッカーの大分を相手に連勝を

 サッカーに限らずですが、あるコンテンツを応援する人というのは、もしかしたら成果以上に進歩や成長過程を期待して追っているところがあるのではないでしょうか。
 アーティストにせよ、漫画やアニメにせよ、あるいは文学や美術といった芸術にせよ、次にどういった展開や変化があるのかを期待して、わくわくして待っている。
 時には"変わらない美学"もあるかもしれませんが、まったく同じものが続けばさすがに飽きがくるのではないかと思います。


 そう考えると、サッカーでも一勝すれば、確かにその瞬間は嬉しい。
 けれども、その勝利で何か手応えは得られたのか、今までとは違う進歩や成長が感じられたのか。
 そして、次につながるものが発見できたのかが、真に求められるところなのではないかとも思います。



 ジェフの5月からのリーグ戦における成績を、書き出してみたいと思います。

5/3  △ 1-1 讃岐
5/7  × 1-2 金沢
5/13 〇 5-0 長崎
5/17 × 0-3 東京V
5/21 △ 1-1 熊本
5/27 〇 4-2 愛媛
6/3  × 1-2 岡山
6/10 △ 0-0 福岡
6/17 × 1-3 水戸
6/25 〇 6-4 岐阜

 岐阜戦後にも言ったように、今年のジェフはハマれば大勝しますが、それ以外の試合では苦戦してしまう。
 しかも、その大勝する試合が続くことはなく、今季ここまで連勝はなし。
 もっとも、4-2や6-4といった2点差での勝利を、"大勝"と表現していいのかはわかりませんが。



 それだけに、岐阜戦を6-4というビックスコアで勝利できたことは良かったものの、これが次につながるのかはわからないところがあります。
 それだけに、手放しでは喜びにくいところがあると思います。
 実際6点取りましたが4失点もしているわけで、完璧とは言えない試合でした。


 失点の仕方もGK絡みのミスだったり、カウンターを防げずにやられてしまったり、これまでと同じようなパターンで、チームとしての進歩を感じにくいところがあります。
 攻撃陣は爆発しましたが、相手の守備の問題が大きかっただけに、しっかりとした守備を相手にどこまでやれるかが重要だと思います。
 今回こそは次へとつなげられるかどうかという意味で、明日の大分戦が非常に重要となってくると思います。



 今年のジェフはこれまで、名古屋、山口、岐阜とパスサッカーを志向する相手に強い傾向もあります。
 今週末対戦する大分もショートパスを積極的に繋いでいくチームです。
 ただ、名古屋や岐阜ほど極端にポゼッションにこだわっている印象はなく、ボールを持てばパスを繋ぐものの守備などはオーソドックスな守り方なのではないかと思います。


 現在の大分は市船出身GK上福元や元ジェフDF竹内を含むDFラインを中心に、ショートパスを素早く繋ぐのが特徴だと思います。
 岐阜のように前にパスを出してタメを作ったり、名古屋のように常に間を狙うというよりも、まずは後方でどんどんパスを繋いでプレスを分散させ、そこから縦パスを出してバイタルエリアを狙った攻撃を作っていく。
 ワンタッチを多用するスタイルで、テンポの良いパスワークが武器となっている印象です。



 前節の大分は群馬戦と対戦。
 積極的にプレスをかける群馬とショートパスで掻い潜ろうとする大分との攻防で、立ち上がりから一進一退の展開でしたが、37分に大分が先制。
 大分が浮き球のボールをバイタルエリアに繋ごうとしたところから、こぼれ球を拾った川西が縦に繋いで三平が受けてシュートを放ち、最後は後藤がつめてゴール。


 55分には竹内からの楔のパスを三平が中央で粘って右前方の後藤に繋ぐと、後藤がドリブルで切り替えしてゴールを決め2-0に。
 63分にも左後方の福森からバイタルエリアを取る浮き球のパスを出し、後藤が右前方に繋ぐと岸田が相手の前を取って倒されPK。
 これを後藤が沈めてハットトリック達成。


 66分に決まった4点目は右CB鈴木義宜からのアーリークロスを、伊佐が頭で合わせてゴール。
 鈴木義宜からのピンポイントのクロスで、伊佐をフリーにしてしまった群馬の守備にも問題があったように思います。
 しかし、その前に大分がくさびのパスを含めたパスワークで左右に揺さぶっており、それが効いた展開だったようにも思います。
 その後も群馬はプレッシャーをかけてきて大分を押し込みますが、スコアは動かず4-0で大分の勝利となりました。



 群馬は前から積極的にプレスをかけていき、コンパクトに戦うサッカーとなっています。
 ジェフ戦でも感じましたが、ジェフにも近い戦い方で、結果的に相手を押し込むことでボールを持つ時間が長くなっています。
 しかし、そこからどう点を奪うのか、どう守るのかといった点が甘く、安定した勝利に結びついていない印象です。
 やはり相手を押し込むだけではダメということではないでしょうか。


 大分の攻撃で特筆すべきは、バイタルエリアを使うことでしょう。
 後方でパスを繋いでいると誰かしらがバイタルエリアで受ける動きをして、浮き球のパスでもいいのでそこへ繋ごうとする。
 そこからバイタルエリアで前を向ければ、サイド攻撃より選択肢が広がるしゴールにも近くなる。



 あるいはバイタルエリアポストプレーなども含めて起点が作れれば、相手の守備を中央に釣ることが出来るので、そこからサイドに展開してチャンスを作ることが出来る。
 確かに中央からの攻撃はカウンターを受けるリスクも大きいという意見もあるでしょうが、やはり最終的には中央で勝たなければゴールは生まれない。
 大分は点を取るためのパスワークをしている印象で、ジェフは1ボランチですからどうバイタルエリアを守るかが重要となってくるのかも入れません。


 守備においては、基本的にはシンプルな3バックのゾーンディフェンスだと思います。
 前からのプレスは積極的ではないので、プレスに苦しむジェフとしてはそこで優位に立てるチャンスなのかもしれません。
 そこから相手を押し込んで、指宿などを中心にゴールを狙うという展開になっていくのでしょうか。



 個人的には、昨年から大分でキャプテンマークを付けている山岸との対戦も楽しみです。
 群馬戦でもバランスを取りながら、要所要所で仕掛けて攻撃のアクセントになっていました。
 山岸、岸田の両WBが頑張れているからこそ3バックが実現でき、2シャドーがうまくギャップを取れているところもあるのではないでしょうか。


 現在の大分は8位で、13位のジェフより上の順位にいることになります。
 ただ、ジェフは古くから大分とは非常に相性の良いところがあります。
 しかも、ここまで無敗のホームでの試合ということもあるわけで、ここで今季初連勝を成し遂げて、次につながる手応えをつかみたいところではないかと思います。