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羽生がオシム監督に「なんで指導者にならないのだ」

 昨日取り上げた羽生のインタビュー記事の最後に関して、もう1つ気になる話が出ていました。
www.soccerdigestweb.com

「スカウトを1年やってから、会いに行きました。『なんで指導者にならないのだ』と訊かれて、『オシムさんのような監督を相手に勝てる気がしないから』 と答えたら、『何を言っている」と笑っていました。」

 羽生は引退後、オシム監督に会いに行っているんですね。
 知らないところで、オシム監督に会っている日本の関係者も多いのでしょうか。

 私も羽生のような選手は、将来指導者になるのだろうなと現役時代に思っていました。
 真面目だしプレーもクレバーで、経験も十分に積んでいる。
 学生時代の卒論も「ルイ・コスタ森島寛晃と自分のプレーの違い」で、サッカーの研究に関しても興味を持っているのではないかと思っていました。


 ただ、コーチならともかく、監督となると優しすぎるというか、少し気弱なところもあるのかなとも思わなくもありません。
 先ほどのインタビューでも軽く触れられていますが、以前のインタビューでも日本代表時代の話がメインだったこともあり、非常に暗い内容となっています。
r.gnavi.co.jp

自分の力なさ加減と、ショックは……やっぱり大きかったですね。オシムさんが「今でも羽生は泣いているのか」と言っている記事を読んだことがあって、「今でも結構泣いてるんだよな」って。
(中略)
代表で何をしたって、自分でも別に何をしたわけでもないと思うし、ホント、半々です。気持ち的には。オシムさんに感謝してるし、経験できたことは間違いなく人生のプラスだったけど、どん底を味わった場所でもあるから……。

 羽生は先日公開された記事でもオシム監督に関して、「本当に幸せだったのか、会わないほうがよかったんじゃないか」という話をしています。
 これも上記のような思いが、どこかにあったのかもしれません。

www.soccerdigestweb.com

「僕の中でオシムさんこそ真の指導者。オシムさんが偉大すぎて、自分がそういう仕事をできない。幸せだと思うんですが、一方で本当に幸せだったのか、もしかしたら会わないほうがよかったんじゃないかとすら思う。会ってなければ、自分ももう少し緩くというか、心にゆとりのある生活ができたかもしれません(笑)」

 今となってはジェフとは直接かかわりのない状況ですし、羽生に気弱なところがあっても大きなことではないと言えるかもしれません。

 しかし、考えてみれば日本代表に選出された頃には、上記のような代表での悩みをジェフにも持ち込み、チーム全体が非常にネガティブな雰囲気になっていたように思います。
 これは羽生だけではなく、阿部や巻、山岸、水本、水野などにも見られた部分はあったと思いますので、羽生本人だけの問題ではないのかもしれません。
 ジーコ監督の失敗から代表への風当たりが強くなった上での招聘ということで、それだけ大きなプレッシャーのかかる特異な状況だったようにも思えます。


 ただ、今でも引きずっているところからしても、非常に悩んでいたことは事実なのでしょう。
 さらに日本代表との過密日程もあって、羽生を含む状況の選手たちはコンディション面も大きく落ち込み、メンタル面も含めてアマル監督時代の低迷に大きな影響を与えたように思います。
 その上でジェフサポーターは選手を擁護するのではなく、2007年などは開幕当初から大ブーイングを浴びせていたわけですから、それで成績が落ちないわけもない状況だったと言えるのではないでしょうか。

 このあたりは現在に繋がる低迷のキッカケを考える上で見逃せないところだと思いますので、改めて触れてみました。
 その後、アマル監督の解任もあって主力選手の大量流出が起こるわけですが、アマル監督解任に至った低迷に関しては、フロントだけでなく選手やサポーターにも問題があったと言えると思います。
 あまりそこは指摘されていないことだと思いますし、ジェフの過去を振り返るという意味でも良い機会となったのではないでしょうか。


 羽生の指導者の道に関しては、今からでも遅くないようにも思いますが、上記のコメントなどを見返しても、監督としては悩みすぎるところがあるのかもしれません。
 一方で羽生と仲の良かった勇人は、今年からジェフにフロント入りしています。
 勇人もピッチ上ではうまくバランスを取っていた選手ではありましたが、天性の才能と言うか勘で戦うところがあるタイプなのかなとも思いますし、指導者には向いていないのかなとも思います。

 しかし、クラブに「ぶつかっていきたい」と話していた勇人ですが、具体的な立ち位置はわからず。
 クラブユナイテッドオフィサー(CUO)という肩書がついたことからしても、結局は広報的な役割にとどまっているのではないかと感じます。
 広報から社長に昇格できるようなタイプでもないでしょうし、それならば強化スタッフとして現場の変革に専念した方が、まだクラブを変えられるのではと思わなくもありません。


 その他、当時の選手で指導者になれそうなタイプを考えると、実績で言えば一番の阿部が有力候補でしょうか。
 当時はまだ弱弱しい印象もどこかにあり、引退後も若年層などを見る方が向いているのかなと思っていたのですが、今では頼れる存在になっているように思えます。
 ただ、浦和はファミリー色の強いクラブでもありますし、ジェフ退団の経緯からしても、ジェフに戻ってくる流れは期待薄なのかもしれません。

 巻に関しても実績・知名度は十分ではありますが、あまり監督というイメージは沸きにくい気もします。
 本人が指導者を目指したいのであれば応援したいですが、スターである一方で叩かれやすい部分もあるキャラクターなのかなとも思います。
 オシム監督も「政治家になれる」と評していたようにカリスマ性のある人物だと思うのですが、それを利用しようとする人も現れるかもしれませんし、何をするにしても自分のやりたい道を進んでほしいですね。


 現状だと、監督候補の本命はジェフでもトップコーチに昇格した坂本でしょうか。
 個人的にはもう少しアカデミーで実績を積んだ上で、トップチームを見てほしかった気もするのですが、アカデミーの都合などもあったのかもしれません。
 GKコーチではありますが、性格で言えば櫛野にも期待したいところです。

 長谷部監督が指導者として可能性を見せるなど思ってもいなかったですし、選手時代からその後を予想するのは難しいところもあります。
 しかし、オシム監督の指導を受けた日本の選手が、その思いを受け継いで監督として成功を遂げてほしいなぁと個人的には思います。
 通訳を務めた間瀬監督などにも期待したいですし、鳥栖や岐阜で指揮を執った吉田恵監督や相模原を社長としても率いた望月会長など、オシム監督の指導を受けた選手が徐々にJクラブでも目立ち始めています。
 さらに指導を受けていない関係者にも多くの影響を与えているオシム監督ですが、オシムの弟子と呼べる日本人監督がもっと出てきてほしいですね。