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羽生、印象的なオシム語録は『野心を持て』

 中断期間が長くサッカーが待ち遠しい日々ですが、じっくりと昔を振り返ることが出来るタイミングとも言えなくはないと思います。
 シーズンが始まると毎週試合があるため、それを追うだけで一杯一杯になってしまうところもあるわけで、どうしても引いた眼でチームの現在地を捉えたり、過去の話を話をすることも難しくなります。
 ただ、あくまでも試合内容の吟味が重要であり、コメントなどはそれに付随するものだと思いますから、振り返りをするにしてもエピソードなどではなく試合を見たいところではありますが。

 ここ最近は、ジェフでもプレーした羽生が、いくつかの記事でインタビューに答えています。
 オシム監督にまつわる話も多く、興味深い内容もあったので取り上げてみたいと思います。
www.soccerdigestweb.com

アップのボール回しの時は、いつも通りみんなリラックスしてやっていました。ところが僕が開始2分ぐらいでミスしたら、『お前、何やってるんだ。走ってこい』といきなり、叱られて。『え、これアップじゃないの?』と思いましたよ」
「走って練習に戻ろうとしたら、『試合で開始2分に同じようにミスして点を取られたら、責任取れるのか。もう始まっている。責任を取れないなら、まず練習で示せ』とひどく怒られて。そこからですね、真剣にアップをやるようになったのは。

 この件は、以前よく羽生が話していた内容だと思います。
 非常に厳しい監督で、アップから意識から変わったと。

 一方で常に厳しいかと言うとそうではなく。

「厳しい練習の中にも、楽しめる、リラックスしてできるメニューもあったので。その時のホッとした安堵感と言ったらなかったですね(笑)」

 私も当時の練習を何度か見に行きましたが、オシム監督が練習場に着いた途端、雰囲気が一変して選手たちの表情が変わるのがわかったものでした。

 オシム監督は毎回遅れて練習場に入るので、選手たちは先にアップをしていることが多かった。
 選手だけでアップをしている時は和気藹々としているのですが、オシム監督の姿が見えると張り詰めた空気になる。
 あるいは、ジョギングやダッシュなどフィジカルトレーニングなどの時は選手も笑顔を見せており、オンオフがはっきりしていた印象です。

 その変化がすごく印象に残っていて、それだけ選手たちがオシム監督に集中していたし、一挙手一投足に注視していたように思えます。
 怖さもあったのでしょうが、それだけでは選手はそっぽを向いてしまうはず。
 羽生もこのように話しています。

「厳しいですけれど、全員を平等に見ているし、みんなを成長させてあげたいという愛情が伝わってきましたね。」

 また、結果がついてきたことも大きかったと話していて、そこは純粋に監督としての指導力や指揮官としての能力も大きかったのだろうと思います。

 勇人もこのような話をしています。
www.footballchannel.jp

先日横浜F・マリノスで入閣した旧知のスタッフから、現チャンピオンの状況を聞いた。
「90分間から2時間程度のトレーニング中は、スタッフも含めてピッチ上の全員が休むことなく稼働しているそうです。次のメニューへと移行するのにコーチが走り、選手たちも水分補給にダッシュで行く。ジェフも(イビツァ)オシムさんの頃は、もっと凄かった。
(中略)
オシムさんのトレーニングは、身体も頭も疲れました。答えは教えてくれず、自分で考えて見つけなければならなかった。」

 現在の横浜FMがどのような状況なのかはわかりませんが、勇人もオシム監督時代はかなり厳しかったという印象があるのでしょう。
 しかし、勇人もただ厳しいのではなく、「身体も頭も疲れました」と話しているように、厳しい指導の中身が重要なのではないかと思います。


 羽生は「それまでのジェフは中間順位で終われば、『残留できて良かったな』という雰囲気だった」とも話していますが、それは今のジェフにもどこか当て嵌まるところがあるのではないかなと思ってしまいます。
 ここ数年のジェフ選手たちのコメントを読んでも、ただ目の前の試合に勝てば満足しているところがあるのではないか、内容などはあまり気にせず志が低いのではないかという印象を受けることもあったように思います。
 確かにネガティブになりすぎるのは良くないことではあるのでしょうが、内容が伴っていなければ次に繋がることはないのがスポーツの厳しさですし、しっかりと反省して修正し、より上のチームを目指さなければいけないはずです。

とくに印象に残っているのは、『野心を持て』という言葉ですね。ジェフでは、『中間順位で満足なのか』『なぜサッカー選手なのに一番を目指さない』と指摘されて。『中間順位ならプレッシャーもないし、それでいい服着て、いいクルマ乗って、いい時計して、美味しいもの食べられれば楽だよな。でも俺はそれが幸せとは思わない。なぜ上を目指さない? 君たちはそういうクラブだからと思っているかもしれないが、俺はそうは思っていない』と言われたのをよく覚えています。

 今のジェフは、J2の中では年俸も良く、練習場もスタジアムも美しく、負けてもサポーターが集まり、優しく対応してくれている。
 どこかそこに甘えているところがあるのではないかといった印象があります。
 昨日も取り上げましたが、この新型コロナ問題で本当に経営が厳しいのであれば、全体の年俸を下げたり、お金のかかるベテランや中堅を減らし若手を増やすなどして、より過酷な状況にチームを追い込んだ方が良いのではないかと割と本気で思うところがあります。


 チームに関しては、ただ厳しいだけの指導では意味がないように思います。
 ハードトレーニング、ハードワークを求めた監督は低迷後もいたかもしれませんが、羽生や勇人が話している通り、オシム監督はただ単純に選手を走らせていたというわけではないでしょう。
 メンタル的に大きな変化を求めていたわけだし、考える部分の強化なども重視していた。

 こちらの記事にもこのような記載があります。
www.soccerdigestweb.com

オシム監督が選手はもちろん、クラブスタッフにも求めていたのが『勝者のメンタリティ』だった。オシム監督は当時の千葉のクラブの体質を、現状に満足して挑戦していないと評した。

 この前にも書かれているように、オシム監督就任前から欧州路線でチームの下地は作っていたし、若手育成にも成功していた。
 そのうえで、オシム監督が『勝者のメンタリティ』を求めたことで、より強いチームになっていったとも言えるのかもしれません。

 そうやってオシム監督時代の成功が生まれたわけですから、今のクラブはより抜本的な変化が必要なのではないかと思います。
 そういった変化の兆しを、今期期待できるのかどうか。
 小手先の変化ではなく、チームとして、選手として、本当の意味で成長することが求められるのだろうと思います。